2024/02/07
【解説】映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』で登場した「三八式歩兵銃」とは?
現在上映されている映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』。そのティザービジュアルではスーツ姿の水木が三八式歩兵銃を肩に担いでいる。三八式歩兵銃は戦時中、日本軍が使用した小銃として知名度が高いが、実際ははたしてどんな銃なのだろうか。今回はその三八式歩兵銃について詳しく解説する。
三八式歩兵銃とは?
三八式歩兵銃は、明治39(1906)年5月に制式が制定された。そして翌明治40(1907)年から製造が始まり、昭和16(1941)年まで35年間生産が続く。この間に、三八式騎銃、四四式騎銃、九七式狙撃銃といった派生型が生まれ、歩兵銃が約300万挺、三八式騎銃が約440万挺、四四式騎銃が約10万挺生産された。
九七式狙撃銃の生産数は、三八式歩兵銃の生産数に含まれ、単独の記録は残っていないが戦後にアメリカで行なわれたシリアルナンバー調査からの推定では、2万挺強が生産されたとみられる。
設計者は南部麒次郎大尉(設計当時、最終階級は中将)で、彼は三十年式銃の制式が制定されると同時に東京砲兵工廠小銃製造所員に配属されている。以降、三十年式銃の初期不良の解消に尽力し、その後の日露戦争での三十年式銃の大増産を現場で支えるなどの任務の中で、三十年式銃の問題点を洗い出し、三八式銃への改良を成し遂げている。
使用弾薬は、当初は三十年式銃同様6.5mm×50SR弾薬だったが、大正2(1913)年にラウンドノーズ弾であった三十年式実包から、スピッツアーノーズ弾の三八式銃実包に変更され、大正7(1918)年にはライフリングが6条から4条へ変更されている。
日本陸軍を代表する主力軍用銃
三八式銃は日本国内のみならず、海外にも数多く輸出された。第一次世界大戦の長期化により、ロシア、イギリス、フランス、中国などの国々で小銃不足の状態が発生したため、これらの国々へ数十万挺単位の三八式銃と膨大な実包が輸出されているのだ。
また製造に関わる工廠も、当初は東京砲兵工廠小銃製造所のみであったが、大正12(1923)年の関東大震災で東京砲兵工廠が壊滅的な被害を受けた後、名古屋工廠の拡大と東京砲兵工廠の九州小倉移転を受け、昭和に入るとこれらの工廠で製造が続けられた。そのため細部の仕様が異なるものが数多く存在する。
三八式銃はその製造期間が長く、かつ製造量も多いことと、昭和12(1937)年の支那事変以降最前線へ配備されていたことから、その後の対米戦の南方でも主力小銃として使用され続けた。その結果、三八式銃は日本陸軍を代表する主力軍用銃だったと今日でも評価されている。
三八式歩兵銃を再現したタナカワークスのエアガン
そんな三八式歩兵銃をタナカワークスはガスガンとモデルガンで再現している。特にガスガンはリアルなディテールに加えてガスガンならではの軽快なボルト操作が味わえることから、発売以来多くの支持を得ている。現在は仕上げとガス効率が見直されて実射性能がアップしたVer.2シリーズがラインアップされている。
ストックには実銃の三八式歩兵銃にも使われた木材である「鬼胡桃(オニグルミ=国産のウォールナット材)」を採用。特徴的な合わせ式の銃床も再現されている。なおボルトのみオリジナル仕上げのグレースチールフィニッシュとなっている。
タナカ
三八式歩兵銃
Ver.2 Black 鬼胡桃銃床仕様ガスガン
DATA
- 全長:1,280mm
- 全高:180mm
- 全幅:99mm
- 重量:3,080g
- 装弾数:10発
- 価格:¥107,800
- お問い合わせ先:タナカ
ガスボルトアクションらしい軽快かつスムーズなボルト操作に加えて、Ver.2仕様ならではのパワフルな撃ち応えが楽しめる。映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見て興味が出た方はぜひお手に取ってご覧いただきたい1挺だ。
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