ミリタリー

2023/07/05

【総火演】大迫力な国内最大級の実弾演習 2023富士総合火力演習 前段演習レポート!【自衛隊】

 

防衛まもるのは「陸上」だけではない。

 

 陸上自衛隊が誇る火砲、戦車、誘導弾など各種装備が集結し、陸自の火力戦闘様相(実弾を用いた戦闘の様子)を展示する国内最大規模の実弾演習「富士総合火力演習(総火演)」が、今年も静岡県の東富士演習場で開催された。

 

 一般公開は昨今の情勢を鑑み、ここ数年はライブ配信のみとなっているが、本誌取材班は5月27日(土)の総火演本番を取材できたので、その模様を写真でお伝えする。
 今年度は新編されたばかりの16式機動戦闘車を装備する第3偵察戦闘大隊や第15即応機動連隊などに加え、間もなくの退役も噂されるベテラン74式戦車を装備する第10戦車大隊などが参加。後段演習は現代の領域横断作戦下(従来の陸海空領域と、宇宙、サイバー、電磁波など新領域の能力を組み合わせて作戦時の優勢確保に努めていること)の島嶼侵攻対処を想定したシナリオに沿って展開され、陸海空自衛隊の統合運用要素をさらに強調。また、各種ドローンやAIの活用なども盛り込まれるなど、日本を取り巻く安全保障環境の緊迫化、複雑化に対応すべく、よりリアルな状況を想定していることが実感された。

 


 

前段演習

 

 最初に会場で展開している装備品で紹介されたのはドローンだ。近年、陸上自衛隊でも偵察用途など各種ドローンの導入を進めており、総火演のライブ配信においてもその重要性がアピールされていた。

 

狭域用UAV 通称スカイレンジャー。比較的近距離の敵情を上空から偵察するための小型UAV。総火演では、さらに大きなスキャンイーグルUAVも使用されていた

 

Network Electronic Warfare System(ネットワーク電子戦システム)の頭文字から通称NEWSと呼ばれる。電磁波領域において、各種通信などの電波の収集・分析に加え妨害などを行なう、現代戦には欠かせないシステム。73式中型トラックをベースとする、数種類の車輌で構成される

 

 こちらも現代戦の主力を担う高射特科部隊や地対艦ミサイル連隊の装備となる。残念ながら東富士演習場での実弾射撃は制約があるため、会場では実射映像が流されていた。

 

軽装甲機動車(LAV)に積載された01式軽対戦車誘導弾(01ATM)を射撃する様子

 

少しわかりにくいが、奥から11式短距離地対空誘導弾、03式中距離地対空誘導弾、12式地対艦誘導弾、多連装ロケットシステムMLRSだ。実際に射撃が行なわれることはなかったが、ランチャーを起こす動作が展示され、発射の様子は映像で補完されていた

 

89式装甲戦闘車(89FV)による79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)の射撃

 

 野戦特科部隊からは60mm迫撃砲、81mm迫撃砲L16、120mm迫撃砲RT、155mm榴弾砲(FH70)、19式装輪自走155mm榴弾砲、99式自走155mm榴弾砲が参加している。

 

一斉射撃を行なう120mm迫撃砲RT

 

99式自走155mm榴弾砲(99HSP)

 

19式装輪自走155mm榴弾砲 野戦特科部隊の配備する新たな自走榴弾砲。FH70の後継となり、戦術​​​​​​・戦略機動性の向上、火力戦闘指揮統制システム(FCCS)や観測ヘリコプター等と密に連携した作戦展開が可能だ

 

新小銃である​​​​​20式小銃で射撃を行なう隊員たち。先日、空自と海自にも納入が決まり話題となった。今回射撃を行なった20式、よく見るとディオン光学技研製スコープが搭載されている

 

 陸上自衛隊の航空部隊からはOH-1とAH-1Sが参加。今年度もAH-64の姿は見られず、UH-60JAは直近の事故の影響から2機の展示となった。

 観測ヘリコプターOH-1による目標の識別、射撃指示を行ないAH-1Sから射撃が行なわれた。                                                                           

 

目標の識別、射撃指示を行なうOH-1

 

OH-1から情報を受け、目標に対して射撃を行なうAH-1S コブラ


 前段演習の最後は地上戦闘の花形である90式戦車、10式戦車および16式機動戦闘車の射撃が行なわれた。なお、今回注目となる74式戦車については、後段演習に登場している。

 

 

行進間射撃を行なう90式戦車。無骨なフォルムで重厚感を漂わせる

 

砂煙を立てながらスラローム射撃を行なう10式戦車。これほど激しい機動の最中に射撃して命中させてしまう能力に、いつもながら驚かされてしまう

 

射撃を行なう瞬間の10式戦車

 

16式機動戦闘車は前進しながら車載機銃を射撃、後進に主砲射撃を行なうという、少しトリッキーな戦い方が展示された

 

Photos:出雲

取材協力:防衛省陸上幕僚監部広報室

 


 

 月刊アームズマガジン2023年8月号でも総火演の取材レポートを掲載!

 本誌でしか見られない美麗かつ迫力満点の写真と詳細なレポートも特集しておりますのでぜひとも手に取ってお楽しみください!

 

 

 

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