「アームズフォトグラフ」は筆者が撮影した写真についてロケーションや設定、レタッチなど写真全般について色々語るコーナーだ。できる限り詳しく語っていこうと思っているので、ぜひとも写真を撮る際の参考にもしてもらえたら幸いだ。
第1回:「エアガン×車」編はこちら
第2回目は「陸上自衛隊習志野駐屯地 降下訓練始め」で撮影した写真についてだ。毎年年明けに行なわれ、新年を飾るに相応しい迫力のイベントだ。そんな「降下訓練始め」は訓練展示が始まると陸と空どちらでも様々なことが起き、フォトグラファーにとっては忙しい撮影になる。今回はそんなイベントで撮影した写真について解説をしていこうと思う。
撮影情報
- 被写体 : 空挺降下始め
- ロケーション: 千葉・陸上自衛隊習志野駐屯地
- カメラ : フルサイズミラーレス一眼
(24-105/4・100-400/4.5-5.6)
空挺降下を撮る
AirBorne
今回のイベント一番の見どころである空挺降下。多くの隊員や兵士が降下し、かつ隊員を載せる航空機も写したいとなると大忙しだ。そして今年度は空挺団だけではなくアメリカ陸軍の第82空挺師団、第11空挺師団、第1特殊部隊群第1大隊、イギリス軍からは第16空中強襲旅団、そしてオーストラリア軍から国防軍空挺学校と、各国空挺部隊のオンパレードだった。
今回の写真のほとんどはシネマチックを意識したので、多くの写真が21:9比率+シネマスコープを上下に入れている。21:9といった比率で撮影できるカメラは「Sigma Fp / Fp L」のみなので、普通のカメラで撮影する時は上下をかなり意識して撮ることとなる。
この画面比率は大きくトリミングをするため、カメラの画素数をフルで生かせなかったり、撮影時意識することが多い、編集に少し手間がかかる等のデメリットがある。だが、写真を映画風に表現できたり、今回の空挺降下であれば上下の余白を狭めることで画面から空の割合を少なくし、被写体に注視させることができる。
航空機を撮る
本イベントの魅力は空挺降下だけではない。離島奪還を目的とした演習ということもあり、多種多様なヘリコプターの登場も忘れてはならない。
ヘリコプターをカッコよく撮るコツはシャッタースピードを落とすことだ。P-3CやUS-2といった同じくプロペラが回転する機体でも、固定翼でターボプロップエンジンとなるとシャッタースピードが多少早くても回転している写真になる。
だが、ヘリコプターは回転数が遅めなので同じように撮ると「何だか迫力がないな…」といった写真になってしまう。しかし、落としすぎると次は機体がブレやすくなり失敗写真を量産してしまうので注意しよう。
個人的にはシャッタースピードが1/250~1/400がオススメだ。適度に回転翼がブレてくれるうえ、機体はしっかりとピンがあってブレてない写真になる使い勝手のいい設定となる。最初のうちはこの辺りの設定で慣れ、後に1/125や1/60といった遅めのシャッタースピードに挑戦しよう。ちなみに打率はすこぶる下がる。
陸上部隊を撮る
訓練展示も後半になってくると、離島に上陸し強襲をかける陸上部隊の姿も見え始め、総火演ほどではないがこれらも中々の見ごたえがある。
地上部隊はヘリコプターよりも速度は遅いが、同じ設定のまま撮影するとブレる事故もあるので注意が必要だ。そして実はヘリコプターよりも地上部隊のほうが全体的に遠いので、大きく撮りたいなら超望遠レンズは忘れないようにしよう。
地上部隊と言えばやはり流し撮りだ。航空機は動きが速いので割と雑に撮ってもそれなりに流し撮りが成功してしまう。しかし、陸上装備は航空機よりも速度が遅くしっかりシャッタースピードを落とし、縦移動しないように構え、レンズを被写体の移動速度に合わせないと、ただブレた写真を量産してしまうので注意だ。
今回は趣向を変えて自衛隊イベントである「降下訓練始め」で撮影した写真について撮影時やレタッチ時に意識したポイントを解説していった。
本イベントは動きが多いうえ、基本的にどこを切り取っても画になるので演習が始まると大忙しになる。上やら下やらでアクションは起き、シャッターチャンスを逃さないために航空機の動きの予想やらもあり、撮影時に細かく考えながらベストショットを狙うのは中々難しいイベントの一つだと筆者は思っている。
そんなイベントに今後もし参加する機会があれば、ぜひとも参考にしてもらえたら幸いだ。
▼前回の記事はこちら▼
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