実銃

2023/06/04

【実銃】コンバットライフル「Robinson Armament XCR」の魅力を実射レポート【後編】

 

 

Robinson Armament

XCR

 

 

 ロビンソンアーマメントのXtreme Combat Rifle(XCR)は、SCARプログラムでFNハースタルの後塵を拝した。しかし、その性能が劣っていたわけではない。この銃を実際に手にしてみて、その完成度の高さに驚いた。バトルプルーフが加えられれば、その名の通り、究極のコンバットライフルになるだろう。

 

中編はこちら

 

実射

 

Robinson Armament XCR-L
Mini Length Upper with Type 1 Gas Block & Mini Length Gas System
口径:5.56×45mm
バレル長:9.5インチ
1:9"(16インチや7.5インチも選択可能)
重量:3,400g
作動方式:ロングストロークガスピストン
マガジン装弾数:30発

 

 マガジンに弾を詰め込んでいるとき、馳せる気持ちを抑え込むようにして深呼吸した。マガジンを装填し、チャージングハンドルを操作し、アモをチェンバーに送り込む。そしてセイフティをオフにする。このセイフティもガタもなく、シャープな感触で親指の動きにちょうど合う60°という操作角度は正解かもしれない。

 

実際に構えてみると、とてもバランスが良いことがわかる。ロングガスピストンなのでフロントヘビーになるかと思ったが、そんなこともない。バランスが良いので、片手で操作するとき、コッキングやマグチェンジなども無理なくできる

 

 

丸いチャージングハンドルはうまく力を分散して非常にやりやすい。その引いた感触もガタやざらつきもなく、シルキータッチとは言わないまでも、とてもスムーズだ


 ターゲットに集中して射撃。ボルトの後端に配されたバッファーが効果を奏しているのかリコイルは最小限に抑えられている。残念ながらこれは特殊部隊やLE用のセレクティブファイアモデルではなく、民間市場向けのシビリアンモデルのため、セミオートオンリーだ。できればフルオートでのフィーリングを感じてみたい。

 

ボルトキャリア後端のリコイルバッファーの恩恵なのか、リコイルはかなり抑えられている。バランスも良いので射撃のフィーリングも良好。フルオートで試したい!


 射撃の前に銃の詳細を撮影した。まっさらな箱出しのXCRだが、分解してみると特にベトベトになるほどオイル漬けではなく、逆にかなりドライな状態であった。それをそのまま組立て射撃をした。一緒に射撃したアドリアンは、アメリカ製のライフルにありがちな“グリスが切れると動かなくなる”ということを気にして「オイルを注そう」と言ってきたが、ちょっと意地悪な気持ちでその乾燥した状態のまま射撃をした。


 XCRは何のトラブルも無く射撃をこなした。さすが“見た目はAR15、中身はAK”というイメージを裏切らない作動性だ。200発を射撃したが、小さなエジェクションポートからきちんと排莢され、トラブルは一切なし。射撃の後にニヤニヤして眺めているところをアドリアンに見透かされたようだ。

 

30発を一気に撃っても、ハンドガード、特にガスシリンダーのある上部もそれほど熱くならなかった。もっともフルオートで立て続けにマガジンを何本も空にする撃ち方をすればどうなるかはわからない


「良いよね。でも高いよ。3,000ユーロ(約39万円)だもの」

 アメリカ本国の倍の価格。そこそこのブランドのAR15なら2挺買える価格だ。フランスではそれがネックという所だ。


 実際に手にして射撃をしてみると、もし、ブランクファイア用のアダプターの納品が間に合っていて、量産にも対応、FN SCARと互角の価格を提示できたならUSSOCOMはいったいどちらを採用したのだろうか?

 

折りたたんで銃を保持しているとき、突如強襲を受けたとする。まずはそのままで斉射! そしてちょっと指でバットプレートの部分を写真のようにはねてやるとストックは一瞬で後ろに展開し、ロックが掛かる。そしてストックを使って正確な応射を敵に浴びせる。そんな使い方ができるのがXCRだ

 

 FN SCARも優秀だ。特に最近のSCモデルになってチャージングハンドルが射撃中に動かなくなったこともあり、更に磨きがかかって非常に優秀なアサルトライフルになったと思っていたが、XCRに実際に触れた今、コンパクトでスリム、扱いやすいXCRの魅力にもかなり惹かれるものがある。

 

 XCRを不運なライフルのまま終わらせるのはもったいないと感じるのだ

 

とにかくトラブルなく200発ほどを射撃した。期待以上の操作性と信頼性を見せてくれたXCR。もちろんお値段もそれ相応なのだが…

 

Photo&Report:Tomonari SAKURAI

撮影協力:Armurerie FMR Unique

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年4月号に掲載されたものです。

 

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