実銃

2023/06/03

【実銃】特殊部隊向けライフル「Xtreme Combat Rifle」の特徴的な細部に迫る【中編】

 

 

Robinson Armament

XCR

 

 

 ロビンソンアーマメントのXtreme Combat Rifle(XCR)は、SCARプログラムでFNハースタルの後塵を拝した。しかし、その性能が劣っていたわけではない。この銃を実際に手にしてみて、その完成度の高さに驚いた。バトルプルーフが加えられれば、その名の通り、究極のコンバットライフルになるだろう。

 

前編はこちら

 

XCR

 

 

 信頼性を高める上でボルトも見直されており、AR15の7本ラグに比べて、より強力な3本にしていること。それに併せて耐久性を持たせたエキストラクターを持つ。この部分もXCRの耐久性、信頼性を総合的に高めているのである。

 

ボルト本体

 

ボルトが閉鎖されロックしている状態

 

ガスピストンに押されボルトキャリアーだけが後退。ラグで回転したボルトがロック解除された位置になっているのが分かる

 

 エキストラクターとエジェクターを中心に正確なエジェクションを計算しているのだろう。エジェクションポート自体は他の同じ口径のライフルに比べて小さい。最小限の大きさに留めることで、外部からの異物の混入を防ぐ事ができる。ダストカバーは最初から装備されていない。

 

AR15よりもロッキングラグが太く3本になっている。その分エキストラクターも強靱だ

 

ボルトキャリアーの後端にはかなり柔らかめのラバー製リコイルバッファーが装着されている


 グリップはAR15と互換性がある。サードパーティから供給されている多種多様のAR15グリップから好みのものを選んで使用できるわけだ。

 

ロアレシーバーの内部構造はAR15と基本的に同じだ

 

ロアレシーバーの後端は改良型Type 2だ。ラバーのリコイルバッファー付きボルトキャリアーに対応するもので、Type 1はこの部分にリコイルバッファーが付いていた

 

 トリガーガードは固定式だが、カーブを描いて内側を広く取っているのでグローブしている指でも操作を可能にしている。
 そのトリガーガードの先、マガジンハウジングの手前にボルトリリースボタンがある。CZ BRENなどと同様だ。

 

ボルトリリースボタンはトリガーガードの前方に配置され、グリップを握る手のトリガーフィンガーで押し下げることで解除できる。これも無理な力は必要なく軽く操作可能だ。もちろん反対側からも同じ操作ができる

 

マガジンハウジング。斜めにカットされており、素早いマガジン交換が可能だ。その前のボルトはバレルを固定しているものだ


 今回撮影したのはXCR-L。このLはライトの意味で.223Remあるいは300BLKのモデル。このほかXCR-Mがある。Mはミディアムを意味し、.308Win.に対応しているモデルだ。

 現在アナウンスされているバリエーションにXCR-Pがある。Pはピストルを意味するが、現代のラージファーマットピストルという意味ではなく、ピストルキャリバーを使用するということだ。つまり9mmパラベラムや.45ACPに対応する。XCRのサブマシンガンモデルと言えるシリーズになるだろう。

 

ストックも金属製で強度はじゅうぶん。折りたたんだ状態でのロックも絶妙で不用意に開くこともないが必要なときには最小限の力で開くことが可能。ストックのヒンジ部分に注目していただきたい。これは改良型でCで示したスクリューが追加された。これを調整することで、ストックを展開したときのわずかなガタつきをなくすことができるようになっている

 

チャージングハンドルを引いた状態。FN FALに似ている。ボルトとは連動しておらず、射撃時にハンドルは前後に動かない


 マガジンはSTANAGだ。同梱されていたのはスチールマガジン。手元にあったMAGPULのマガジンも追加して射撃した。


 トリガーの確認やストックの長さなど、実際にシューティングレンジに立って構えてみると、その銃の本質が見えてくる。まず感じたのは、そのバランスの良さだ。それは重量バランスでもあるし、身体にフィットさせやすいという事でもある。そして構えてみると見た目以上にコンパクトに感じた。

 

チェンバー部。下方の切り欠きはダブルカラムに対応する2つのフィーディングランプで、右の切り欠きは大型エキストラクターを含むラグが入る部分だ

 

バレルを抜いたアッパーレシーバーを覗いてみた。8の字の下の輪にバレルが収まる。その左下に見える突起はエジェクターだ


 チャージングハンドルを操作する。銃がコンパクト、スリムに見えるのに対してちょっと大きすぎて見た目のバランスを壊していたチャージングハンドルだが、引いてみると操作性が良かった。力を掛けやすいのだ。シンプルでちょっと大きめのダイヤルのようなチャージングハンドルなのだが、実際に操作してみるとその形状にした理由がわかった。

 

Type 3オペレーションシステムのガスレギュレーターを固定するスクリューが下部にある。オペレーションシステムは4タイプがある。Type 3が汎用型だ


 そしてドライファイアでトリガーを絞ってみた。マッチトリガーのような神経質なものはなく、かといって一般的な量産サービスライフル(軍用ライフル)のような荒削りさもない。適度な重さとしっかりとしたキレがある。エリート特殊部隊がコンバットライフルに求めるであろう(と想像する)、トリガーのあるべき感触だ。これだけ感触が良いと実際の射撃が楽しみになるし、ワクワクしている自分がいる。

 

アッパーレシーバーを下から覗く。エジェクターはこのように固定されている

 

続きはこちら

 

Photo&Report:Tomonari SAKURAI

撮影協力:Armurerie FMR Unique

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年4月号に掲載されたものです。

 

※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×