2022/12/25
【実銃】競技用の最高峰とされたカスタムガン「LIGHTNING .38 Super」
競技用の最高峰とされたモデル
カスタムガン。この魅惑的な響きにつられて、いったいどのくらいの散財をしただろうか。世の中には様々なコンセプトのカスタムガンが存在するが、筆者が“カスタムガン”と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、スティールチャレンジやUSPSAといった競技射撃向けに特化したモデル、いわゆるレースガンのことである。そこで今回は1990年代に、スピードシューティング競技用としては最高峰といわれたBRILEY(ブライリー)のガンである“LIGHTNING .38 Super”をご紹介しよう。
LIGHTNING .38 Super
現在でも通用するパフォーマンスのレースガン
初めてフルカスタムガンの“LIGHTNING(ライトニング) .38 Super”を見た方は、そのスライドに開けられた5つの大きな軽量化ホールにぎょっとするだろう。その違和感はスライドを引くと倍増する。大きく開口したスライドから、バレルのロッキングラグが丸見えになってしまうため、まるでカッタウェイモデルでガンの内部構造を見せられたかのような感覚を覚えてしまうのだ。
スライドの軽量化にはいくつかの効能がある。まず重量が軽ければ、ホルスターから抜いて正確な初弾を撃つまでの時間を大幅に短縮でき、さらに次のターゲットに向けてガンを振った際、軽い分、急ブレーキが効くので、セカンドショットをより素早く撃つことができる。またスピードシューティングにとっては重要なファクターとなる“リコイルを抑える”という課題においても、軽量化によって、高速で前後動するスライドのモーメンタム(勢い、運動量)を抑え、さらに弾頭重量、火薬量を吟味し、リコイルスプリングとのチューンを詰めることによって、スライドの前後スピードを速くしつつもフェルトリコイル(体で感じるリコイル)を抑えてくれる。
上記の理由から、ライトニングに施されたカスタマイズは、スピードシューティングを極めるための利を集め、いかに素早くドロウし、速射をしつつ0.1秒単位の時間を競うべくして練り上げられているのだ。
驚いてしまうのは、現在でも通用するパフォーマンスを持つライトニングというレースガンが、25年前に存在していたという事実だ。個人的には、バレルをあと1インチ短くしてもっと小型のチタン製コンプを装着し、口径を9mmとすれば、理想のスティールガンとなると考えている。
月刊アームズマガジン2022年12月号ではこのカスタムガンと、ヴィンテージ・ハンドメイドカスタムの雄、Steve Nastoff(スティーヴ・ナストフ)作“.38 Super Comp”も紹介している。気になった方はそちらもチェックしていただければ幸いだ。
Text & Photos: Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2022年12月号 P.218~225をもとに再編集したものです。