2022/10/22
【実銃】「グロック45」&「グロック17 Gen5」のカスタムを撃つ
カスタムグロック2挺を撃つ
ハンドガンの最新トレンドといえば、グロックを置いて他にあるまい。近頃では民間シューターも各々の好みに応じて手を加えたカスタムグロックを使い射撃を楽しんでいる。今回はそんなカスタムグロックを2挺紹介しよう。
最新トレンドハンドガンに歩み寄る
そもそも今回の記事を書き始めたきっかけは、いつもお世話になっているパリの射撃場でマイクロドットサイトを載せたハンドガンを置きだしたことだった。その中には当然グロックもあり、今この射撃場で定番となっているカスタムを施しているという。ポリマーフレームオートには苦手意識があった筆者だったが、食わず嫌いはよくないと取材に繰り出したのである。
こちらが件のカスタムグロックで、ベースになっているのはグロック45。ドットサイトにはHOLOSUNのグロック専用モデルを装着。グロック専用なのでスライドの幅にぴったり収まっているだけでなく、セレーションの位置まで合わせているという凝りようで、まるで純正品のような佇まいである。見た目にも目立つのがKagwerksのスライドリリースレバーだ。大型でハイマウントされている上にアンビと、見た目だけでなく使い勝手も大きく向上する。トリガーセーフティが赤く染められたAlpha Competition Series for Glock Gen 5トリガーによって、キレがやや悪いグロックのトリガーフィーリングを向上させている点もポイントだろう。これでレールにフラッシュライトなどを付ければバランスの取れた最高のグロックになるとのこと。
グロック45カスタムを射撃
実際に撃ってみると、ドットサイトが付いているのでエイミングに戸惑わずに済むのがありがたい。シアが切れる感触が分かりやすいおかげで、オリジナルのグリップでもしっかりとホールドできる。さすがに9mm弾よりは強いキックがあるが、コントロールは容易でオリジナルとはほとんど別物と言っていい。見た目はトリガーセーフティが赤くなっただけだが、フィーリングは大きく向上しているのだ。
こだわり抜かれたカスタムグロック
続いて紹介するのは、射撃場でアシスタントを務めているローマンがカスタムしたグロック。グリップのレーザーエングレービングやセラコートなどを施し、自分だけの1挺を作り上げている。それ自体は前から知っていたのだが、「これは俺の銃で見世物じゃない」と撮影には使わせてくれなかった。しかし、あんまり筆者がグロックを否定してばかりいるので堪忍袋の緒が切れたらしく、今回ついに「俺のを撃ってみろ!」と貸し出してくれた。こちらも紹介しよう。
ローマン・カスタムを実射
最初にローマン本人の射撃を見せてもらう。自分の銃だけあって、体の一部のように扱っている。見るからにリコイルは抑えられ、1発ごとにしっかりコントロールされている。筆者もそのローマン・カスタムを拝借して撃たせてもらう。レーザーエングレービングが施されたグリップはちょっとした手汗くらいならまったく問題にならない。ドットサイトはスライドとの間にプレートを介さない専用設計のため、ドットがアイアンサイトとほぼ同じ高さに収まる。これによって違和感なくエイミングが可能だ。サイトの背が高くなってしまうと、ドットを見つけるのに時間がかかってしまう。日に日に老眼がきつくなる我が目にはこの収まりのいいドットサイトがなんと心強いことか。何よりも驚いたのが、トリガーのキレのよさだ。ストライカーファイアだとハンマー式のようなキレのいいトリガーは作りにくい傾向にあり、グロックのようなセミコッキングのシステムはそれが特に顕著だという先入観があったため、これには目を見張った。進化したものである。レールに取り付けられたライトのおかげで前方が重くなり、マズルジャンプを抑えるのに一役買っている。もともと軽いポリマーフレームピストルにライトが付いたところで、総重量はメタルフレームの銃と比べても大差がない。総じて、非常に撃ちやすい優れたバランスの銃に仕上がっている。
今回は2挺のカスタムグロックを紹介・実射したが、次回はストライカーファイア式ピストルの新星、P320のカスタムを紹介しようと思う。そちらもぜひご覧いただきたい。
Special Thanks to
Le cercle de tir de Wissous:https://www.youtube.com/c/
LecercledetirdeWissous/featured
Photo&Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)
この記事は月刊アームズマガジン2022年10月号 P.202~209をもとに再編集したものです。