実銃

2022/03/25

【実銃】BREN TENで撃つ!! 10mmAUTOの実力を検証!!

 

10mmAUTOの威力

 

 かのコンバットマスター、ジェフ・クーパーによってデザインされたBREN TENブレンテンはファクトリーの経営不振によって約1,500挺を生産したのみで惜しくも姿を消してしまう。だが、10mmAUTOを採用したその銃のデザインは当時において画期的なものであった。

 今回はそのブレンテンの実射レポートを公開しよう。

 

BREN TENについてはこちら

 


 

 

 今回の実射はブレンテンだけでなく、1987年にコルトが1911デザインの10mmオートとしてリリースしたデルタエリートの最終モデル(2017年リリースのアクセサリーレール付きシリーズ最終版)を持ち出して使用した。
 オリジナルの10mmAUTOは、200グレインの弾頭を1,200fpsで飛ばすという.357Mag以上のマズルエナジーを誇っていたが、その強力さゆえにガンへの負担が大きく、リコイルも強烈であった。その後1990年にあのFBIが10mmAUTO口径のS&Wモデル1076を制式採用して大きなニュースになったが、その弾薬はフルロードではなく180グレインのJHP弾頭を950fpsで飛ばすという、10mmFBI、10mmLiteと呼ばれるものであった。これは現在の.40S&W弾のバリスティックに非常に近いもので、実際に当時のS&Wとウィンチェスターではこの.40(10.2mm)口径の弾薬が開発中であった。

 

左は今回のゲスト、コルト・デルタエリート。レールガンとして、2017年にリリースされた。タイムプルーフされたデザインに、最新の工作精度を持って作り上げられた完成度の高いピストルである

 

実射でわかるパワフルさ

 

 ブレンテンでこのフルロード10mmAUTOを撃つと、手首を捻じ曲げるような強烈なリコイルが襲ってきて、とてもソニー・クロケットのように撃ちまくるのは難しいのがわかる。それでも太くて握りやすいグリップやその重量のおかげか、デルタエリートよりもマズルフリップはマイルドに感じられる。

 

「こいつはデザイン優先のピストルだったのだろう。ここから信頼性を築き上げていくのが大変だったんだ」

 

強烈なリコイルが襲い掛かる。シューターはベテランなので、左手のグリップもしっかりしている

 

おなじみジェイソンが撃つと、フルロードでもリコイルが軽く見える。「デルタエリートに比べると、数段撃ちやすい。グリップのデザインとバランスが素晴らしいね」

 

 また威力テストの一環として、タフなアメリカン・コンクリートブロックも10ヤードから撃ってみた。様々な10mmAUTOの弾薬で試してみたが、やはりHornady(ホーナディ)180グレインXTPの破壊力は抜群で、1辺を粉砕して、鉛の砕片が2辺目にへばりついていた。180グレインFMJのほうは、1辺目に20〜30mmほどの大穴を空けるにとどまっている。

 

強烈なインパクトでブロック全体が浮き上がっている

 

ちなみにデルタエリートで同じくホーナディを使用した様子。1ガロンボトル5本を吹っ飛ばす凄まじい威力を発揮している

 

復活を期待したい名銃

 

 ブレンテンはマガジンの不安定さなどの弱点を抱えている。だが、これらの弱点も、時代的な背景もあって金属の材質や焼き入れなどを検討し直せば比較的簡単に解決できてしまう問題であろう。それより10mmオート口径を一般的にしたブレンテンの基本デザインは、他に秀でたものであることは間違いない。

 ドーナウス&ディクソンがなくなった後、いくつかの会社がブレンテンの再生産に名乗りを上げたが、その後実現したという事実は今のところない。ポリマーフレーム/ストライカーファイア全盛の時代に、ブレンテンを復活させる意味はあるのかという意見をよく聞くが、秘かに心待ちにしている私のようなファンも確実にいるのである。さらに言えば、 .40S&W口径にしてもらって15連マガジン、アクセサリーレール付きにしていただければ絶対に欲しい! と力こぶを入れてしまうのは、私だけではないと思うのだ。

 このブレンテンの詳しいレポートは月刊アームズマガジン2022年3月号に掲載されているので気になった方はそちらも併せてご覧いただければ幸いだ。

 

TEXT & PHOTO:Hiro Soga

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年3月号 P.82~89をもとに再編集したものです。

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