実銃

2022/02/18

【実銃】実弾の威力を比較検証!! 9mm&.45ACPを実射!!

 

弾薬で違うハンドガンの威力

 

 ハンドガンの威力はどの程度のものだろうか。銃の弾薬(カートリッジ)が生み出すパワーは弾頭の口径、重量、形状、構造、材質、そして銃口初速によって大きく変わってくる。弾頭の重量と銃口初速から算出されるマズルエナジーの数値が一応の目安にはなるが、この数字が高いからといって対象物への効果が高いとは必ずしも言い切れない。今回は9mm×19と.45ACPの威力テストのレポートを公開しよう。

 


 

本当の“威力”がわかるバリスティックス

 

 ストッピングパワーという言葉がある。「向かってくる敵を無力化する力」と言えばわかりやすいが、その際銃火器から発射された弾頭が、いかに効果的にそのエネルギーをターゲットに対して発揮し、あるいはダメージを与えるかがカギとなる。

 単純に口径が大きく、弾速が速く、重い弾頭ならそれだけ大きなダメージを与えられそうなものだが、昨今は弾薬の技術も進化しており、一概にそれは当てはまらない。通常、この威力の目安として使われるのがマズルエナジー(ME:Muzzle Energy)の数値だ。日本語では初活力あるいは銃口エネルギーと訳され、発射された弾頭が銃口から出た時点での運動エネルギーを表している。だが、この数値を算出したところで、それが威力とはならないのが悩ましいところだ。銃弾の種類によっては変形することでより効果的にダメージを与えられるものもあるからだ。

 これら発射された弾頭の移動と挙動に関する研究はバリスティックス(Ballistics)と呼ばれ、日々研究されている。

 


 

ハンドガンの威力を検証

 

 では実際のところ、ハンドガンが放つ弾の威力はどれくらいあるのだろうか。月刊アームズマガジン2022年1月号では様々な弾薬を用意し、実射テストを行なったが、今回はその中から9mm×19パラベラムと.45ACPの実射レポートをご覧いただこう。

 

9mm×19(124gr FMJ)

 

 

 9mm×19のテストで使用するのは必要最小限のカスタマイズが施してあるグロック17 Gen3。バレルはストックの4.48インチ(約114mm)。使用するカートリッジのパウダー量は5.2gr、弾頭重量は124gr、マズルベロシティ(銃口初速)は平均1,110fpsだった。

 

コンクリートブロックへのインパクトの瞬間

 

FMJだけに貫通力は高く、コンクリートブロックの1枚目を抜けて小さくなった弾頭が2枚目に当たってばらばらになった

 

ガロンボトル3本に対するインパクトの瞬間

 

FMJだけに弾頭は早々に抜けており、水しぶきは大きい

 

.45ACP(165gr JHP)

 

 

 .45ACPのテストで使用するのは、スプリングフィールド 1911――いわずと知れた“フォーティファイヴ”。あちこち自分で手を入れてあるため、美しくはないが撃ちやすさは折り紙付き。230grFMJだとブロックの貫通に支障があることがわかっていたため、165grの+Pを選んだ。この.45ACP弾頭はやや特別で、軽量の165grを高速で飛ばしてエネルギーを稼いでいる。ホローポイントの中に支柱を立て、変形しやすいように工夫してあるのだ。パウダー量は7gr。

 

弾頭が軽い分リコイルはまろやかで撃ちやすい

 

コンクリートブロックに大穴を開けた。ただし1枚目でほとんどのエネルギーを使ってしまったようで、2枚目へのダメージは少なかった

 

ガロンボトルへのインパクトの瞬間。よく見ると射入口が見える

 

弾頭の変形がいまいちだったようで、水しぶきの勢いはそれほどでもない。それでも1本4kg近いボトルを弾き飛ばしている

 

大きく変形した弾頭を見つけた。典型的なセパレーションを起こしており、ジャケットと鉛のコアが分離してしまっている。こうなると効果的なダメージを与えにくい

 


 

 月刊アームズマガジン2022年1月号ではこのほかにも10mm AUTO、.40S&Wなどのカートリッジも検証し、その様子をレポートしている。拳銃弾の威力の違いに興味のある方はそちらもぜひチェックしていただきたい。次のレポートではマグナム弾の実射レポートを公開しよう。

 

マグナム弾実射レポートはこちら

 

TEXT & PHOTO:Hiro Soga

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年1月号 P.80~P87より抜粋・再編集したものです。

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