実銃

2022/11/19

【実銃】法執行機関から放出された銃「トレードインハンドガン」とは?

 

法執行機関のトレードイン・ハンドガンズ

 

 米国のハンドガンの世界では、各地のPD(ポリスデパートメント:警察署)が制式採用していたオフィサー達のキャリーガンが、世代交代などでメーカーやディーラーに放出され、ユーズドガンとしてリセールされているものを「ポリストレードイン」という。今回はその魅力を解説した実銃レポートを公開しよう。

 

ポリスサープラス

 

 いわゆる“サービスガン(制式銃:公用に供されたガンという意味)”には、耐用年数や世代交代があって、一定の時期を過ぎると一般に放出されることがある。これらは“サープラス”もしくは“トレードイン”と呼ばれ、コレクターやシューターたちから高い人気を誇っている。

 今回紹介したいのは“LEO(ローエンフォースメントオフィサー:法執行機関従事者)トレードイン”の方である。中でも“ポリストレードイン”は、比較的ポピュラーである。皆さんもご存じのように21世紀に入ってからはポリスの制式銃が二転三転しているという現実もあり、結構な数のポリスサープラスが市場に流れ込んでいるのだ。PDのロゴが刻印されている個体もあり、“NEW YORK P.D.”などと入っているモデルは、コレクターたち垂涎の的として、飛ぶように売れている現状なのだ。中にはほとんど撃っていない極上品もあるが、当然のごとく個人差はあるので、信頼のおけるディーラーから、細かくグレード分けされている各ガンを吟味する必要はあるだろう。

 

 

S&W Model 559

  • 口径:9mm Luger
  • 装弾数:14+1発
  • バレル長: 4インチ

 

 この個体は、LASD(ロサンゼルスシェリフデパートメント)のオフィサーが所有していたもので、あまりに程度が良いのでオークションに出品されたという曰く付きの1挺だ。いわゆる“セカンドジェネレーション”と呼ばれる世代で、1971年にリリースされた初代Model 559の改良版スティールフレームモデルである。スチールフレームであるが故に、ホルスターキャリーガンとしては重いが、撃ち始めるとリコイルはマイルドで連射しやすいバランスを持っている。ただしグリップのデザインは初代のままなので、手の小さい人には少々ツライ。また初代が抱えていたジャム病(100~200発に1発ジャムが出る)をそのまま引き継いでいるのが残念なところだ。

 

トリガー/グリップの位置からバレルのボアセンターまでの距離は果てしなく遠く2階建て感さえある。だが、Model 559はアメリカ初のハイキャパシティ・ダブルアクション/シングルアクションのセミオートなのだ

 

ダブルアクションのトリガープルは、お世辞にもいいとは言えない。ただチューンアップは可能だ

 

リアサイトはこのセカンドジェネレーションからフルアジャスタブルになった。狙いやすい。各部のフィット&フィニッシュも秀逸だ

 

ハンマーが落ち、撃発した瞬間。弾頭はまだバレル内にいる可能性が高い

 

フルリコイルでもこのくらいのマズルライズでしかない。ボアセンターが高いことを考えると優秀だ

 

 今回はS&W Model 559のポリストレードガンを紹介したが、次回のレポートではカリフォルニアハイウェイパトロールが制式採用していた(1996 ~ 2009年)、“S&W Model4006 TSW”などの実銃レポートを公開する。実際に法執行機関で使用された銃に思いを馳せていただければ幸いだ。

 

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TEXT&PHOTO:Hiro Soga

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年11月号 P.198~205をもとに再編集したものです。

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