2022/09/19
【実銃】現代アメリカのAKカスタム3種をご紹介!!
これが現代アメリカでのAKカスタム
1949年に旧ソ連軍で制式採用されて以来、数多の紛争で使用されてきたAKライフルは、実戦における卓越した信頼性と耐久性を備え、生産性も高く様々な派生型が登場している。今回はカスタムされたAKシリーズ3挺の実銃レポートを公開しよう。
“気になるライフル”AK
元米海兵隊員でスカウトスナイパーの経歴を持つLAPDオフィサーのヴィクター・ロペスから、AKが3挺仕上がってきたから見に来るか、というありがたいお誘いがきた。銃規制前に登録し、希望の仕様にするためメーカーに出していたのがやっとこさ仕上がったのだ。
「AKというのは、私にとって感慨深い存在なのは確かだね。イラクやアフガニスタンでは実際に戦った敵兵が持っていたライフルだし、ミッションによっては7.62mm×39という威力のある口径に圧倒されたこともあったからね。
何よりも我々のM4との大きな差は、そのメンテナンスの容易さだね。海兵隊時代にイラクにいた頃は、ベース(基地)でのM4の掃除は毎日のルーティーン(習慣的にやること)だった。なにせ向こうでは、砂がすごいんだ。マガジンとマガジンウェルからの微細な砂が侵入するのには悩まされたよ。作動に必要なオイルをちょっとでも付けすぎると、まわりが砂だらけになってしまう。
その点AKは砂なんざモノともせずに作動し続けるからね。いつかは手に入れようと思っていたが、銃規制の強化でライフルが手に入りにくくなってしまう前に、気になっていたAKを1挺ずつオーダーすることにしたんだ」
今回ヴィクターが手に入れたのは、以下の3挺であった。
MINI-DRACO PISTOL
- 使用弾:7.62mm×39
- バレル長:7.5インチ
- ROMARMS/CUGIR製ベースガン
- ミッドウェスト・インダストリー製ハンドガード/レール
- ブルガリアンスタイル 4ピース・フラッシュハイダー
- US Palm製グリップ
- ストライクインダストリー製フォアグリップ
ピストルと名がつくが、これがピストルのカテゴリーに入るといわれても、少々無理がある。バレルが7.5インチというだけで、実際には肩付けができ、30連マガジンで撃ち続けることができる。7.62mm×39弾を使うが、7.5インチ銃身ということもあって反動はきつい。近距離での取り回し、制圧力には優れている。ハンドガードはミッドウェストインダストリー製。ただし、連射するとすぐに熱くなってしまうので、ストライクインダストリー製の樹脂製ガードを装着した。
AK74
- 使用弾:5.45mm×39
- バレル長:16インチ
- MDC製レシーバー ブルガリアAKパーツキット(16インチバレル、ボルトアッセンブリ、トリガーグループ、グリップ、ストック)
- MDC製セーフティレバー
- MDC製ハンマー/トリガー
ストックはフォールディングタイプだが、可動ボタンをなくして固定式に変更。鉄板を曲げただけのストックはやや心許ない。バレルもフルサイズなので、ここは樹脂製にしたいところだ。
SAIGA AK CUSTOM
- 使用弾:5.45mm×39
- バレル長:16インチ
- MDC製レシーバー
- ブルガリアAKパーツキット(16インチバレル、ボルトアッセンブリ、トリガーグループ、グリップ、ストック)
- MDC製セーフティレバー
- MDC製ハンマー/トリガー
SAIGA AKライフルは、アサルトライフルのカテゴリーに入るAKシリーズをSAIGA(サイガ)が改良。本来はハンティングライフルのようなストックを装着し、ピストルグリップをなくしてトリガーグループを後方に移設したモデルである。ようは厳しいアサルトライフル規制を逃れるために編み出された鬼っ子モデルなのだ。
昨今では全米におけるAK人気を反映して、国内でAKパーツを自社生産したり、本格的なカスタムを施す会社が増えてきている。今回ヴィクターが購入とカスタムをお願いしたMDCもそのひとつだが、ほかにもCREBS CUSTOMやライフルダイナミクスなどが最新のカスタムを手がけており、人気を得ているのだ。
次回はこのライフルたちをヴィクターとともに実射したレポートを公開しよう。
TEXT&PHOTO:Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2022年9月号 P.194~201をもとに再編集したものです。