実銃

2022/05/21

【実銃】M4から軽機関銃に変身できる画期的な銃器「FIGHTLITE MCR」

 

M249の置き換えを目指した意欲作

 

 AR15/M4のアッパーレシーバーを載せ換えるだけで、200連のベルト給弾軽機関銃に変身してしまうという驚きの製品があった。FIGHTLITEファイトライトのMCR(ミッション・コンフィギュアブル・ライフル)である。ショートストロークピストン方式ながら、過熱時の銃身交換は10秒以内に可能という優れた機能も持っている。今回はその実銃レポートを公開しよう。

 


 

 

ベルト給弾M4

 

 5.56mm×45口径のベルト給弾マシンガンといえば、やはり真っ先に頭に浮かぶのはアメリカ軍が配備しているM249であろう。この1984年に制式採用された軽機関銃はSAW(Squad Automatic Weapon:分隊支援火器)やミニミ軽機関銃とも呼ばれているが、各地の実戦でも活躍しているバトルプルーフされたLMG(Light Machine Gun)である。だが、M249は小口径フルオートベルト給弾という分隊支援火器としての効果に優れていた反面、メンテナンスの難しさや重量などのデメリットも抱えていた。

 そこで2005年、より軽量で効果的な小口径マシンガンへの要望から、IARトライアルが開始されることになった。当初は新たな100連発マガジンを使用することが考えられていたが、当時テストされたベータ製やシュアファイア製等のマガジンは信頼性の点で問題があるとされ、通常の30連マガジンを使用することが決まった。各社のプロトタイプをテストした結果、H&KのHK416ベースのヘビーバレル仕様が選ばれることになったのだ。このM27 IARは2010年に制式採用となり、アメリカ海兵隊でごく一部ではあるが、老朽化したM249の代替機種として使用されている。

 今回レポートするFIGHTLITEのMCRは、このIARトライアルを目指して開発されたライトマシンガンである。

 

 

FIGHTLITE MCR

  • 使用弾:5.56mm×45
  • バレル長: 16.25インチ(413mm)クイックチェンジ/12.5インチ(318mm)
  • ライフリング:1:7インチ(1:178mm) RHT
  • 重量:7.45lbs(約3,380g)
  • 発射機構:ショートストローク、ガスピストン
  • 発射速度:625〜800rpm

 

 FIGHTLITEは以前はARES Defenseという社名だったが、2002年にSHRIKEシュライクという軽量ベルト給弾マシンガンのコンバージョンキット(アッパーのみ)をリリースしていた。アッパーを載せ替えるだけで、ベルト給弾の100/200連マシンガンになるというのが基本コンセプトだったのだ。このコンセプトは現行MCRにも受け継がれ、各部のグレードアップとともにMCRのセールスポイントになっている。

 

作動方式はショートストロークガスピストンだが、ガスポートは左サイドにある。ピストンロッドはこの左側のレールの中を通っている

 

ハンドガード後ろのレバーを押し込むと、簡単にバレルを抜き出せる

 

弾薬ベルトの装填は簡単だ。カバーを開け、ベルトリンクの先端にあるタブを所定の位置においてカバーを閉じる。あとはボルトを引けば発射可能となる。全体的にスリムなのはベルト給弾マシンガンの魅力だ​​​​​

 

マガジン給弾も簡単だ。マガジンブロックを抜いて、マガジンを装填するだけだ。アッパーレシーバーには“ARES DEFENSE"の刻印が入っている。現在は社名変更して“FIGHTLITE Industries”となった

 

アメリカ軍制式弾薬であるM855 5.56mm×45弾の弾帯。弾頭の塗り分けから「グリーンチップ」と呼ばれており、スチールコア弾頭で貫通力は高い。これで車を撃ってみたいのは私だけだろうか?

 

 コンセプトが新しいだけに、IARトライアルが目標としていたM249のリプレイスメント(代替機)たり得るアドバンテージがいくつもある。

 

  • M249のフルオートオンリーに比べセレクティブファイア(セミ/フル)が可能なため、必要な際には精密なセミオートによる射撃が可能になった。
  • クローズドボルトからの射撃のため、射撃精度が高い。
  • 何せ軽い。M249に比べると約半分の重さなので、取り回し、運搬などが楽。
  • 外観がM4にそっくりなので、マシンガンガンナーとして標的にされる危険が少ない。
  • 上下フレームは簡単に取り外しできるし、バレルもクイック交換が可能なので、3分割して小さなバックパックに収めることができる。
  • ベースはM4/AR15なので、豊富に手に入るグリップ、ストック、トリガーシステム等のアクセサリーが幅広く引用できる。

 

 といった有利な点が多い。それではなぜ、MCRはIARトライアルで候補にも残らなかったのか。その答えは実射でおのずと見えてくることになる。次回はこの銃を実射したレポートを公開する。

 

実射レポートはこちら

 

Text & Photos:Hiro Soga

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年5月号 P.62~69をもとに再編集したものです。

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