2022/05/04
【実銃】アメリカ軍制式採用ハンドガンが競技用に進化「SIG SAUER P320 XFIVE LEGION」
米軍が認めた拳銃をさらに射撃に特化!!
アメリカ軍が制式採用したハンドガン「SIG SAUER P320」。それに、シューターが求める要素を詰め込み、射撃に特化させたハンドガンが「SIG SAUER P320 XFIVE LEGION」だ。今回はそのSIG SAUERの渾身の1挺を紹介した実銃レポートを公開する。
ストライカーファイアらしくないストライカーファイア
SIG SAUER P320が米軍の制式拳銃になったと聞いたときは目を丸くしてしまった。そもそもストライカーファイア式の利点にはパーツ点数が少ないことからくる低価格と、ハンマーがない分バレルをグリップに近づけて配置でき、マズルジャンプを抑えることができる点がある。しかし、SIG謹製のポリマーフレーム・ストライカーファイアピストルであるP320がそういった特徴を活かした銃だとは考えにくい。SIGはそもそも高品質・高価格の物づくりをしている会社なので低価格化に本腰を入れるとは思えないし、ストライカーファイアピストルとして1から作られたものではないのでバレルやスライドも高く作られている。もちろんSIGが作り上げた銃であるからにはその性能は申し分ないだろうとは思いながらも、まさか米軍が採用するほどとは考えていなかったのだ。
SIGが送る最高の競技用拳銃
SIG SAUER P320は前身のP250から進化し、ミリタリーピストルとして認められたわけだが、SIGはそれに加えて競技用として最高のピストルを目指したP320 XFIVE LEGIONを登場させた。先にも述べたようにP320はポリマーフレームとして開発されたわけだが、ポリマーフレームのピストルは常に携行する分には重量の負担が少なくてよいが、射撃の時には頭が重たくて大きなリコイルを生んでしまう。そこで、まずはフレームを金属にして射撃時の重量バランスを最適にしている。
この「ポリマーフレームの銃の重量バランスを考慮して金属フレームに換装する」という手法はワルサーのQ5 MATCH SFを彷彿とさせる。もっとも、あちらがPPQをベースにスチールフレームとしているのに対し、P320 XFIVE LEGIONはアルミフレームを使用し、金属フレームながらポリマーフレームのようなグリップ一体型のシステムを採用している。マグウェルも追加されたこのグリップは握ると非常にしっくりくる。さらにトリガーもチューニングされ、スライドは動作性向上のために上面をカットし軽量化してある。フロントサイトはアイアンサイトながらドットサイト並みの視認性を得るためにファイバーが埋め込まれたものが使われている。オプティクスレディのスライドだが、そのパネルはXFIVEらしいリアサイトと一体化されたデザインとなっており、どこかに引っけかる心配はなさそうだ。
SIG SAUER P320 XFIVE LEGION
- 使用弾:9mm×19
- 全長:216mm
- バレル長:127mm
- 重量:1,200g
- 装弾数:17発
SIG SAUER P320-M17
- 使用弾:9mm×19
- 全長:203mm
- バレル長:119mm
- 重量:833g
- 装弾数:17/21発
同じP320でありながらコンセプトが違う2挺。比較してみるとそれぞれ特徴があって興味深い。月刊アームズマガジン2022年4月号ではこの2挺をさらに詳しく比較しているので、そちらも参考にしていただければ幸いだ。
次回はSIG SAUER P320 XFIVE LEGIONの実射レポートを公開しよう。
Photo & Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)
撮影協力:Le cercle de tir de Wissous
https://www.youtube.com/c/LecercledetirdeWissous/featured
この記事は月刊アームズマガジン2022年4月号 P.194~201をもとに再編集したものです。