2022/08/20
【実銃】近距離用消音ボルトアクションライフル「B&T SPR300」とは
法執行機関用に開発された狙撃銃
.300ブラックアウトを使用する、何かと話題の近距離用消音ボルトアクションライフルが、B&T(Brügger & Thomet AG)のSPR300である。今回はこの実銃レポートを公開しよう。
B&T SPR300
- 使用弾:.300 Blackout/.300 Whisper
- バレル長:250mm(9.8インチ)
- 全長:782mm(折り畳み時)/1,001mm(伸長時)
- 重量: 3.86kg
- 作動方式:ボルトアクション
- 装弾数:10発
LE用に開発されたボルトアクションライフル
B&Tといえば、数年前に米陸軍が同社のAPC9 Pro K(9mm×19)をベースとしたサブマシンガンを“SCW(サブコンパクトウェポン)”として制式採用したことは記憶に新しい。B&Tは1991年にカール・ブルッガーとハインリッヒ・トーメによって創立された、スイスに本拠地を置く銃器メーカーである。創業当初はサウンドサプレッサーやスコープマウントなどのアクセサリーパーツを製造していたが、2004年からは自社生産による小火器を結構な勢いでリリースし始めている。現在では自社製のピストルから5.56mm×45、.308Winのセミオートライフル、さらには.338ラプアマグナムの高精度ボルトアクションライフルまでもプロデュースする一大企業に成長している。
そして2017年に米国でリリースされたのが、今回紹介する“SPR300(Special Purpose Rifle 300)”である。
LEのスナイパー向けに開発されたこの銃は、長大なサプレッサーとアルミストックを備えたボルトアクションライフルだ。近距離(メーカーによると165ヤード【約150m】まで)における高精度と、.300AAC Blackout+サプレッサーにおける静音性、またサプレッサーを外してストックを畳むと全長が16インチ(約40cm)になってしまう、優れた携行性を兼ね備えた魅力的なモデルとなっている。
スナイパーライフルは遠距離を狙撃するイメージがあるが、ポリススナイパーの射撃はその90%以上が100ヤード以内で起きているという統計もある。それに特化したアモ(弾薬)を使うことで、近距離に目的を絞り込んだモデルがこの銃なのだ。次回はこのモデルの実射レポートを公開しよう。
Text & Photos:Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2022年8月号 P.130~137をもとに再編集したものです。