実銃

2022/06/26

【実銃】自宅防御用に適した銃の種類とは?

 

CQBに必要充分な機能を備えたガン

 

 自宅においてもし強盗が入ってきた際、防御に適した実銃は何だろうか? 室内で取り回しのいいハンドガンや10.5インチバレルのM4など選択肢が挙がるが、普段銃器に慣れていない一般人が扱うには無理がある、あるいは不安が残ってしまう。

 今回は、現役ポリスオフィサー&タクティカル インストラクターのジェイソン・デイヴィスの意見を元に、ハウスプロテクションについて考えたレポートを公開しよう。

 

自宅防御用に適した銃

 

 とある土曜日の午後、現役ポリスオフィサー&タクティカルインストラクターのジェイソン・デイヴィスとファイティングガンについて話していた。
「CQB(近接戦闘)で効果的なガンって何だと思う?」とジェイソン。
「10.5インチバレルのM4にRDS(レッドドットサイト)かな」
「それはスペシャルフォース(特殊部隊)だ。俺の質問は今、現実に、我々にとって、という条件での話だよ。聞き方を変えよう。お前のハウスプロテクションガン(自宅防御用の銃)は何だ?」
「部屋によって違うけど、ベッドルームはレミントン870で、自分の部屋はG19、スタジオは……」
「OK、オーケイ。そう、ショットガンというのはひとつの正解なんだ。ハウスプロテクションは究極のCQBだからね。生き残るための確率を突き詰めていくと、建物の中でも充分な威力と効果、そして有効なタクティクスを備えたウェポンが不可欠となる。
 そこで浮かび上がってくるのがショットガンだ。もちろん、普段のトレーニングの度合いにもよるが、やはりポンプアクションがいいね。今どきはよくできたセミオートも出てきているが、最悪の条件下ではキチンと肩付けができない場合もある。リコイルオペレーテッドのショットガンは、ジャムしてしまう可能性もあるからね。信頼性の高さと堅牢性ならやはりレミントン870がグッドチョイスになる。ポンプアクションならショットシェルの撃ち分けもできるしね」

 

 

ハウスプロテクションに優れたショットガン

 

 ここでジェイソンは、ハウスプロテクションにおける、ショットガンのアドバンテージを挙げてくれた。

 

  • コンパクトなハンドガンは、家の中など狭いところでは動きやすくていいような気がするが、非常時のプレッシャー下では、かなりの訓練を積んでいても、動くターゲットに当てるのは難しい。その点ショットガンやライフルなどのショルダーウェポン(肩付けして撃つガン)は、命中率が大幅に上がる。特にショットガンは散弾が広がるため、命中率は何十倍も高くなる。

 

  • フルサイズハンドガンで、両手を伸ばした状態でホールドすると、18インチ銃身のショットガンを肩付けした場合と、その身体から銃口までの距離は数インチしか違わない。つまり射撃姿勢だけでいうと、ショットガンがかさばり過ぎるとはいえない部分がある。

 

  • 市街地の屋内で発砲する場合、オーバーペネトレーション(壁などを貫通して、隣家など2次被害が起きてしまうこと)には充分に気をつけなければならない。拳銃弾が壁を2枚貫通して隣家に飛び込んだという被害も報告されている。壁の厚さや材質にもよるが、ショットガンならOOバックだけでなく、バードショット(鳥撃ち用小粒ショットシェル)やスラッグ(一粒弾)まで選ぶことができる。

 

  • 引き金を引けば弾が出る、という意味での信頼性でポンプアクションショットガンの右に出る銃は存在しない。重いという人もいるが、20ゲージ(通常の12ゲージより口径が小さく、リコイルが少ない。女性用の小型モデルもある)ショットガンを選ぶというチョイスもある。

 

 もっとも、ポンプアクションショットガンも万能というわけではない。ジェイソンは補足事項としてこうも言っていた。


装弾数に限りがあるために、チューブマガジンへのリロードが重要な練習課題となる。ポートロード(ボルトオープンの状態で、排夾ポートから1発ロードする)、タクティカルリロード(チャンバーにロードした状態で、右手はピストルグリップを握ったまま、周りを確認しながら、左手でロードする)、標準リロード(平常時に、周りに危険がない状態でチューブ弾倉にフルリロードする)の3種類をマスターしておく必要があるだろうね

 

USではショットガンの人気ブランドはレミントン

 

 そんなハウスプロテクションに適した銃を学ぶべく、米カリフォルニア州LA地区では「タクティカルショットガンクラス」が催されている。総勢12名いた参加者が使っていたショットガンの内訳は、レミントン870が8名、モスバーグ590が1名、モスバーグ930(セミオート)1名、SAIGA12が1名、ベネリNOVA1名と、レミントンが圧倒的に優勢。これはとりも直さずアメリカにおけるショットガンの“勢力分布図”と言えるだろう。

 インストラクターはミリタリー&ポリス歴28年のドウェイン・ヘイデルだった。

12ゲージのポンプショットガンをマスターするには、そのリコイルをコントロールする術を覚え、そしてポンプアクションのメカニズムを理解して、効果的なリロードテクニックを身に付けなくてはならない。リコイルは慣れるものだ。とにかく自分や家族を危険から守るために、ポジティブな(前向きな)決断をすること。つまりマインドセットが重要になってくる

 と気合を入れていた。

 

アンダーカバーオフィサーであるこの女性は、MESAタクティカルのアクセサリーでドレスアップしたレミントンを使いこなしていた

 

この元ポリス氏は、モスバーグとレミントンを交互に使いまわしていた

 

手に入れたばかりのSAIGA12をテストしているオーナー。現役ポリスオフィサーだ

 

リロードにかかる受講者。このレシーバーにシェルキャリアは、ほぼ必需品といえる

 

 次回は、ジェイソンとの会話に出てきた、我が家の守護神、レミントン870ポンプアクションと、TTI(タラン・タクティカル・イノヴェーションズ)がカスタマイズしたベネリM2を実射し、自宅防御に適した銃の実力をご覧いただこう。

 

続きはこちら

 

Text & Photos:Hiro Soga

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年6月号 P.62~69をもとに再編集したものです。

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