2022/12/06
【陸上自衛隊】邦人を救出セヨ!中央即応連隊のデモンストレーションに密着
前回、中央即応連隊(CRR)の任務や装備を紹介した。この取材に際し、本誌のための特別企画としてCRRの戦技訓練班を中心に、邦人救出任務などを想定したデモンストレーションを実施していただいた。今回は、軽装甲機動車(LAV)に加え貴重な輸送防護車(MRAP)までもが投入されたその模様に、わかりやすく架空戦記風のストーリーを加えて紹介しよう。
【架空】“混乱の某国に残された邦人を救出セヨ”
~朝霞駐屯地で実施されたRJNOデモンストレーション~
RJNO対処行動の発令
令和4年9月某日。クーデターにより軍事政権化した某国にてひとまず治安面の安定を確認した日本政府は、外務省と防衛省にRJNO(Rescue of Japanese Nationals Overseas:在外邦人等の保護措置及び輸送)作戦の立案を命じた。防衛大臣の命令下達を以て陸海空自衛隊は統合作戦を立案し、空自C-2輸送機6機が入間基地へと前進。一方、陸自宇都宮駐屯地では、中央即応連隊が輸送防護車(MRAP)と軽装甲機動車(LAV)各4輌に加え情報小隊のオートバイ4台の編成を整え、東北自動車道で入間基地へと向かった。防衛大臣の発令から数時間後、入間に集合した各部隊は、速やかに車輌と人員、装備をC-2に搭載し、夕闇に向けて飛び立った。
救出ポイントへ急行
現地時間0300。情勢が比較的安定していることが確認され、空自C-2輸送隊は次々と某国首都空港に着陸。現地日本大使館員と合流した。現地エージェントの誘導により、情報小隊のオートバイが先行。続いて中央即応連隊の車列も、避難した日本企業の駐在員とNGO職員約20名が待つ大学へと向かう。
しかし、クーデター後の軍事政権と対峙する反対派の群衆が衝突する可能性は次第に強まっており、待機する邦人たちは日本政府による救出を固唾を飲んで待っていた。
救出した邦人の乗車誘導
0500。中央即応連隊は邦人の避難先となった大学に到着。構内にある建物の捜索を開始する。
「日本の陸上自衛隊です! 日本人はいますか!?」
捜索する中、分散待機していた邦人たちを次々と発見し、周辺警戒しつつ輸送防護車(MRAP)へと誘導。保護対象者たちは、救出に来た者たちの肩口に掲げられた日の丸を見て安堵の溜息を漏らす。
0600。全員の無事が確認され、最後の1人が輸送防護車に収容された。
「コチラマルヒト、現在邦人20名ヲ確保。コレヨリ空港ヘ移動スル。送レ」
……状況終了。
月刊アームズマガジン12月号では、今回紹介した中央即応連隊のデモンストレーションをさらに詳細にレポートしている。下記リンクから購入できるので、より詳しく読みたい方はぜひ手に取ってみてほしい。
Planning & Photos : 笹川英夫
Text : 神崎 大/アームズマガジンウェブ編集部
Special thanks to : 陸上自衛隊 東部方面後方支援隊第104全般支援大隊、陸上総隊司令部、同付隊、中央即応連隊
この記事は月刊アームズマガジン2022年12月号 P.38~49をもとに再編集したものです。