2022/08/06
【実銃】FN HERSTAL最新拳銃「FN HERSTAL HiPer」【2022年】
ハイパワーの後継拳銃
伝説のピストル、ブローニングハイパワーの後継とされるFN HiPerが満を持してついに発表された。はたしてそのモデルの実力はどのようだろうか。今回はFNから送られてきた写真をご紹介し、それを解説したレポートを公開する。
FNの最新ピストル、満を持して登場
「FNの最新ピストルはハイパワーらしい」。そんな噂がまことしやかに囁かれている中、5月31日にFNのプレスリリースが発表された。そこで明かされたニューモデルの名前は「FN HiPer」。ハイパー、であってハイパワーではないが、名銃ブローニング ハイパワーを意識した名称であるのは間違いない。なんであれ、FNが本腰を入れて開発したピストルがいよいよ登場するということで、期待が膨らんでしまうのは仕方ないことだろう。今回は速報ということで、FNから送られてきた写真をお見せするのにとどまるが、6月の半ばにパリで行なわれる国防省主催の防衛見本市ユーロサトリで実物が見られるということだ。実際に射撃をする機会を得たら改めてレポートするとして、まずはプレスリリースからこの最新モデルを少し紹介しよう。
FN HiPer
- 使用弾:9mm×19
- 全長:180mm
- バレル長:100mm
- 重量:730g
- 装弾数:15発
FN HiPerはFNが本陣であるベルギー・ハースタルで設計、開発、製造まで行なったモデルであり、その本気度がうかがえる。FNはここしばらくピストルをラインアップしていなかったので、その穴を埋める最新ピストルという意味でも待望のモデルだ。FN USAではFNPやFN45などがFNブランドとしてラインアップされていたが、これはアメリカ市場向けであり本国のFNの製品ではない。そういう意味でも、FN HiPerは待ちに待ったFN HERSTAL製のピストルと言えるのだ。
現代のピストルらしく、ポリマーフレームにストライカーファイアを採用している。エルゴノミックデザインの最終形と自ら謳うだけあって、特にグリップ力を重視した設計がなされているらしい。確かにグリップ周りを見ると、チェッカリングを含めやや複雑な形状をしていることが見て取れる。どうやらグリップパネルも再調整が可能なようだ。グリップに埋め込まれ、左右からアクセスできるマガジンリリースレバーも特徴的だ。これが使いやすいかどうかは、実物を手にするまでは何とも言えないだろう。
送られてきた写真にはOR(オプティクスレディ)モデルのものもあった。マイクロドットサイトが装着され、それに合わせてアイアンサイトも背が高いものに換装されている。このあたりが実戦的な銃としての配慮だと言えよう。そのドットサイトに目が行きがちだが、よく見るとスライドの後端のパネルにはタクティカルロッキングプレートがついている。これはヘッケラー&コックのSFP9に付属する、コッキングをサポートするプレートのような役割になるだろう。どうやらこれはオプションとして用意されているらしい。外装だけでなく、トリガーやストライカーなど内部のシステムも独創的に仕上がっているということで、ユーロサトリで実物を手にするのが楽しみだ。なお、カラーリングはブラックとタンの2種類が予定されている。
さて、FNの最新ピストルであるFN HiPerを紹介したわけだが、タイミングよくフランスにあるFNの総代理店、TR EquipmentでFN 509を射撃したきた。そのレポートを次回に公開しよう。
Special Thanks to
FN HERSTAL S.A. : https://fnherstal.com
Le cercle de tir de Wissous:https://www.youtube.com/c/
LecercledetirdeWissous/featured
Photo&Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)
この記事は月刊アームズマガジン2022年8月号 P.138-145をもとに再編集したものです。