実銃

2022/07/17

【実銃】異彩を放つコンパクトARクローン「TROY M7A1 PDW」

 

ARクローンの大家のコンパクトAR

 

 ARクローンメーカーが手掛けるTROY M7A1 PDWは7.5インチのショートバレルにサプレッサー、テレスコピックのメタルストックを装備してSMG並みの機動力を持っている。今回はこの実銃レポートを公開しよう。

 


 

 

ARクローン界の傾奇者

 

 とかく今の世にはAR15クローンがあふれている。その多くが高い加工精度の工場を持ったメーカーによって作られているため、銃自体に大きな特徴があるわけでもなく、あくまでもビジネスの延長線上として生産されている。実際にそのメーカーに「御社のAR15の優れている点は?」と聞くと「う~ん」とうなってしまうのがほとんど。ARクローンに共通する精度の高さと価格という長所はあるが、これは銃自体が持つ特徴ではない(もちろん大量に導入する公的機関には大きなアドバンテージになるが)。際立った特徴がないとなると原稿も書きづらいわけで、なかなかレポーター泣かせの銃でもあるのだ。しかし、今回紹介するARクローンはちょっと違う。ARクローンの大家・トロイアームズのARクローンのひとつ、M7A1 PDWだ。

 

 

TROY M7A1 PDW

  • 口径:5.56mm×45NATO弾
  • 全長:533mm/654mm( ストック伸長時)
  • バレル長:190mm(7.5インチ)
  • 重量:2,630g
  • 装弾数:30発

 

 トロイアームズはもともとパーツメーカーだったこともあり、装備するパーツもすべて自社ブランドである。このCQBモデルはテレスコピック式のストックを備えているところが大きな特徴だ。AR系列はリコイルバッファー、リコイルスプリングをストックの中に納めているためフォールディングストックが装備できない。つまり、運搬時に銃本体をコンパクトにすることが難しい構造になっているのだ。しかし、このM7A1 PDWはバッファーの構造を見直して少しでも全長を短くすることに成功している。このスタイルのテレスコピックストックが出てきたのはもう何年も前のこと。カナダのメーカーが持ち込み、一躍有名になった。だが、実際には素材がメタルになることで重量がかさみ、改良型のバッファーとセット売りになるので他のストックよりもはるかに高額ということで、時間が経つにつれて騒がれなくなった。
 それでも、トロイアームズはそのコンパクトさを活かしたCQBモデルとしてM7A1 PDWを現行でラインアップしている。最初からM7A1に組み込むことを前提にしているので、ポン付けのカスタムパーツと違い専用のボルトキャリアを使用する。ボルトキャリアにバッファーを組み込んでしまうのだ。ストックは装備や体格に合わせて6段階の調整が可能で、伸縮は簡単に長さが変わらないように二重構造としている。そのため、通常の樹脂のストックであれば片手で長さを調整することができるが、このPDWストックは両手での操作が必要だ。実射レポートで詳細に話すが、この手のストックはAR15でなくともチークパッドがない分構えにくい。下手をすると頬骨などに当たって射撃の度に痛い思いをする。それも大きく普及しなかった理由の1つだろう。とはいえ、それを補って余りあるほどに格好いいのもまた事実だ。

 

潔く上面のレール以外は何も付けず、円形であることを活かして銃を保持する。シンプルで美しい

 

ストックの伸縮には裏にあるボタンを押すのだが、誤作動させないために二重構造となっている。トロイ製のグリップにはコンパートメント(収納部)も備わっている

 

セレクターはアンビ。この状態で射撃することは少ないだろうが、最短まで縮めるとセレクターへの干渉が心配になる。トリガーはマッチグレードだ

 

マガジンハウジングにはマグウェルなどはなく、スタンダードなスタイルとなっている。トリガーガードは自社製のもの

 

ストックを最大まで引き出したところの裏側。6段階にポジションが設けられているのがわかる。細身のパイプ2つで支えられているが、安心して構えることができる強度と工作精度を持つ

 

 次回はスタイリッシュなメタルストックとサプレッサーを装備したこのARクローンの実射レポートを公開する。実射すると、ちょっとしたところに落とし穴があることが判明する。そちらもぜひチェックしていただければ幸いだ。

 

続きはこちら

 

Special Thanks to TR Equipment :

https://www.tr-equipement.com
Photo & Text : 櫻井朋成(Tomonari Sakurai)

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年6月号 P.210~217をもとに再編集したものです。

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