実銃

2022/06/08

【実銃】需要に合わせて進化したARクローン「ALPEN ARMS STG15 & STG9」の実力

 

完全オーストリア製のARクローン

 

 昨今の銃器業界といえば、どこもかしこもARクローンであり、オーストリアの新ブランド「ALPEN ARMS」もまたその1つだ。はたしてこのブランドの銃の実力はどうなのだろうか? 今回はその実射レポートを公開する。

 

【実銃】ALPEN ARMS STG15 & STG9についてはこちら

 


 

 

STGファミリーを実射

 

 射撃場に持ち込んだのはアルペンアームズの2挺。まずは9mm弾仕様のSTG9を試す。グロックの分厚い樹脂製マガジンに9mm弾を装填し、マガジンをハウジングに入れる。
 グロックマガジンを使用する銃を撃つときに注目するのは射撃後のマガジン脱着のしやすさだ。樹脂は熱による膨張が大きく、連射を続けると意外とマガジンが抜けなくなる。下手をすると射撃の途中で装弾不良を引き起こしたりするのだ。特に自社製品のマガジンではなく他社のマガジンを使うとその問題が起きやすい。かといって、それを回避するためにハウジングとマガジンの間にスペースを取り過ぎても遊びが出すぎて不具合の原因になるので、このバランスが存外難しいのだ。そんなことを気にしながら助手のアドリアン君とかなりの数を一気に撃ち込んだ。それでも脱着不良などのトラブルはなかったので、そのあたりの心配は不要のようだ。

 

AR15に慣れていれば体に馴染んだ使い方そのままで扱える。.223レミントンに比べリコイルの軽い9mmを使うのでコントロールは容易。公的機関でもSMGとして扱える

 

唯一の不満はフルに弾を装填したマガジンの装填がスムーズに行かないこと。ボルトをホールドオープンして入れれば問題ないが、タクティカルリロードを考えると装弾数を減らさなければならない

 

 続いてアルペンアームズのメインプロダクトでもある.223レミントン版のSTG15。こちらもフルロードのマガジンだと受け付けてくれないので、ボルトをホールドオープンして装填し直す。実戦を考えればフル装填せずに2、3発抜いた状態にしておくのが間違いないだろう。マガジンを全弾撃ち尽くしてからマグチェンジするよりも、タクティカルリロードをすることの方が多いからだ。

 しかし、9mm×19弾を持った後に.223レミントンの弾を手にすると、軽く細くて9mmの方が威力があるように感じてしまう。弾頭も9mmの方がはるかに重いのである意味当然なのだが、9mmの後に.223レミントンを射撃するとそれは間違っていたと思い知らされる。9mmの射撃音は耳にバンとくるが、.223レミントンは腹にも伝わるズドンという音。撮影のためにマズル付近にいると全身に衝撃波を感じるほど
なのだ。
 アルペンアームズのSTGシリーズは一般的なAR15と同様にガス直噴式で、HK416のようなガスピストンなどは使っていない。現代の工作技術であれば従来のガス直噴式で充分問題なく射撃できると言われていて、実際、フルに弾を詰め込んだマガジン装填のやりにくさこそあったがそれ以外はトラブル皆無。そもそも、フル装填でのマガジンが装填しにくいのは他の銃でも同様だ。AR15として極めてスタンダードな、安心して使える出来映えといったところだろう。

 

10.5インチと短めのバレルのおかげで、余計に発射音が大きく聞こえる。しかし、AR15らしくストレートにキックの来るリコイルのためコントロールはしやすい。トリガーフィーリングがよいので連射も容易だ

 

 今後も多くのARクローンが登場してくることだろう。それらの真価がわかるのは月日が経ち、多くのシューターの手に渡った後だ。このアルペンアームズの2挺が長く愛される銃となるかはその時が来るまでわからない。いずれ、また別のARクローンが登場したときには比較対象として再登場してほしいものだと願いつつ、この日の射撃を終えた。

 この銃のより詳しいレポートは月刊アームズマガジン2022年5月号に掲載しているので、興味がある方はそちらもぜひチェックしていただきたい。

 

Special Thanks to:Le cercle de tir de Wissous
https://www.youtube.com/c/LecercledetirdeWissous/featured

Text & Photos:櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年5月号 P.84~91をもとに再編集したものです。

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