2021/09/12
【実銃】パリの銃砲店に並ぶ実銃ラインアップ
フランスでは銃の買い替え需要が高いため、中古銃市場が活況を呈している。そこで今回はパリ最大手の銃砲店FMRに協力いただき、中古銃を中心にピックアップ。フランスの民間人はどんな銃器を所持しているのか、その一端を見ていこう。
フランスの銃器所持許可と中古銃
日本ではあまり知られていないことだが、フランスでは個人で所持できる銃の数が銃刀法によって制限されている。筆者が所持許可を得た頃はセンターファイアの銃は7挺までで、現在は12挺までに拡大された。また、射撃クラブに所属するなどして所持の条件を満たしていても、銃を新規に所持しようとするとその都度警察に届け出て、許可が下りるまで早くても3カ月ほど待たなくてはならない。しかも、バカンスの多いフランスではその倍、半年は待たされることもザラにある。ゆとりある仕事は結構なことだが、あまり長く待たされると購入当時の銃への熱意も萎んでしまうだろう。
しかし所持している銃を手放し、その銃の所持許可証を新たに所持する銃(新品、中古問わず)のものに書き換えることはさほど時間も掛からないため、フランスのシューターの多くは新たに銃が欲しい時には買い替えの手法をとる。その影響から、フランスの銃砲店では新しい銃が売れると、その分中古銃が入荷するというシステムができあがっている。それゆえに、フランスでは中古銃の在庫からどんな銃が人気だったのか読み取れるというわけだ。
それでは今回は、パリ最大手の銃砲店FMRのラインアップをご紹介していこう。
Laugo Arms
ALIEN PISTOL
革新的なデザインでもっとも優れたピストルのひとつとされるラウゴアームズのALIEN。フランスの特殊部隊GIGNも採用したこちら、日本円で1挺およそ100万円。これほど高価な銃を複数在庫できるのはフランスでもFMRだけだ。
Heckler & Koch
HK4
我らが陸上自衛隊も採用したH&Kのピストル。ちなみに、同社初のピストルがこのHK4である。箱付きで状態も良好。
CZ
Scorpion EVO3
コストパフォーマンスに定評のあるCZUBも人気のブランド。こちらのスコーピオンEVO3は中古ではなく新品で、FMRのサプレッサー付き特別価格セット。なお、フランスではサプレッサーを所持する際に特別な許可は必要ない。
Manurhin
PPK/S
マニューランはワルサーからライセンスを受けてP38やPPシリーズなど各種モデルを製造しており、このPPK/Sもそのひとつ。工業が盛んな街、サンテチエンヌで製造された製品で、非常に丁寧に美しく仕上げられている。粗悪なコピー品とはモノが違う。
Manurhin
MR73 4inch
MR73の4インチモデル。.357Magnum仕様で、アジャスタブルサイトを備えている。この個体は状態もよくブルーイング仕上げが美しい。ちなみにフランス警察のリボルバーは3インチが主流の時期があったが、MR73が採用されるようになると4インチモデルが主流となった。
MAB
MODELE C
ブローニング1910をベースに、フランスの銃器メーカー・MABが製造したセミオートピストル。.32ACP仕様。MABは成功したメーカーとは言えずひっそりと消えていったが、同社の最終モデルP15は筆者の愛銃のひとつだ。
パリの銃砲店では紹介した以外にもさまざまな銃を取り扱っている。月刊アームズマガジン2021年8月号ではさらに詳しく紹介しているので参考にしていただければ幸いだ。後編のレポートではパリの銃砲店に眠る第二次世界大戦時の銃などバラエティに富んだ銃を紹介しよう。
Text & Photos:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)
Special Thanks to l'Armurerie FMR Unique:https://armurerie-fmr.fr
この記事は月刊アームズマガジン2021年8月号 P.202~209より抜粋・再編集したものです。