2021/08/25
【実射】ベレッタ92F VS ベレッタ96 STEEL1!! ベレッタ実射比較!!
2004年に約1年間だけ製造された稀少モデル、ベレッタ96 STEEL 1はスチールフレームをはじめ、フレームマウントサムセーフティ、バーテックスグリップ、ノバックサイトなど射撃競技銃としてのスペシャルな要素が盛り込まれている。今回はこちらの実射レポートを公開しよう。
今回の実射では15ヤードからの精度と、IDPAなどの競技を前提とした操作性や撃ち心地を試してみた。.40S&Wを撃つのは久しぶりで、あのリコイルとスチールターゲットを弾き飛ばす威力を思い出して、わくわくする。
ベストグルーピングはフェデラル180グレインHSTによるもので1.25インチ(約32mm)。他の150グレインや165グレインは2~2.5インチに集弾した。実用上充分な精度であろう。リコイルは結構ある。スライドの重量から重く響くようなリコイルで、マズル部分をアッパーで殴られたようなマズルライズもある。銃本体は重めで鋭いリコイルはないが、フロントサイトを意識して戻す必要があり、素早いダブルタップには時間がかかってしまいそうだ。
次に、10ヤードでホルスターからドロウして、5秒以内に2つのターゲットに2発ずつ、というドリルをこなしてみる。ネックとなるのはその重さだ。ドロウしてから最初のターゲットを撃つまでに時間がかかってしまう。動きに余裕がなくなり、弾着も広がってしまう。ただしシングルアクションのトリガープルは好感が持てる。明らかにファクトリーチューンが施してあり、ゲージで測ってみると10回の平均が約4ポンド弱と絶妙なのだ。92FSは約6ポンド弱と、まあ平均的な値であった。
さて、この2004年製ベレッタ96 STEEL 1。どういった人に向いているだろう。IPSC競技のリミテッドクラスなら、まだまだ現役として活躍できそうだ。トレーニング用やキャリーガンとしては、はっきり言って重すぎて向いていない。だが、コレクターズアイテムとしては最高ではなかろうか。完成度の高さはベレッタのエンジニアによる、努力の賜物であろう。特に各部のフィット&フィニッシュには最近の工業製品に見られない職人のプライドが感じられる。IPSC競技を引退してしまった私には宝の持ち腐れだが、今後もセーフクイーンとして大切にしていきたいと考えている。
Text & Photos : Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2021年8月号 P.194~201より抜粋・再編集したものです。