実銃

2021/07/24

【実銃】ワルサーのLE向け最新ハンドガン「PDP」の魅力

 

 鉄の名工ワルサーはスポーツシューター向けのQ5 Match SFの素晴らしいト
リガーフィーリングも受け継ぎ、さらなる進化を遂げたLE向けのハンドガンをリリースする。今回はその銃の詳細を解説しよう。

 

WALTHER PDPラインアップはこちら

 


 

 

近代ピストルとして正統進化したPDP

 

 PDPは従来のPPQにQ5で培ったトリガーフィーリングなどを盛り込み、LE向けに進化させたものだ。一見するとPPQからフルモデルチェンジしたかのように見えるが、フレームをよく見るとPPQと大差はない。PPQと大きく印象を異にする要因はスライドにある。一回りサイズアップしたのではと思えるほどPPQから形状が変えられているのだ。PPQのスライドは正面から見ると山のように上側が絞られていく形状だが、PDPでは真四角の形状となった。

 この無骨なほど四角いスライドには理由がある。PPQシリーズにおいてはQ5のようなスポーツ射撃モデルにのみ採用されたOR(Optics Ready:光学照準器対応)であるが、LE向けモデルには採用されていなかった。それがこのPDPで初めて標準搭載となったのである。つまり、マイクロドットサイトの搭載を前提としたスライド形状となっているのだ。
 というのも、PPQのような上に絞られたスライド形状では、ドットサイトを載せるとその幅とスライド幅に差が生じでこぼこになる。あちこちに引っかかりやすいし、何よりもスライドの操作性が劣悪になってしまうのだ。そのため、PDPではドットサイトを取り付けた状態での操作性を考慮してオーソドックスな四角いスタイルを採用した。ドットサイトの搭載が念頭に置かれて作られているだけあり、その操作感は抜群といえる。

 

アクセサリー類を装着してもスリムなスタイルは崩れず、特にドットサイトはスライドとほぼ同じ幅に収められている。ヘビーデューティでの使用を考慮して、アクセサリー類の装着を前提にデザインされているのだ。こちらはTrijiconのRMRとSUREFIRE XC1との組み合わせ

 

PDPの特徴を解説

 

 

① スライドの前後には掴みやすいよう深くエッジの立ったセレーションが刻まれている

 

② アキュラシー確保のため「ステップチャンバー」を採用。これはチャンバー前方にテーパーを付け、発射時に弾薬を極限までセンターに固定できるというものだ

 

③ スライドはマイクロドットサイトを搭載できるOR(Optics Ready)仕様。装着時にはスライド後方上部のパネルを取り外し、低めの位置にセットできる

 

④ フレーム前方にアンダーマウントレールを装備

 

⑤ PDPの真骨頂ともいえる「パフォーマンスデューティトリガー」。ガラスが「パキッ!」と割れる瞬間を思わせる、キレのよいフィーリングとのこと。トリガープルは25N(約2.55kgf)と軽く、トリガーリリースも短めに設定されている

 

⑥ グリップには新デザインの「パフォーマンスデューティテクスチャー(六角形のドット模様の滑り止め)」を採用。オイルや泥の付着した手でグリップしても滑りにくい。バックストラップはS、M、Lに交換可能

 

⑦ グリップの下部前方のカーブが長く取ってあり、グリップすると小指に当たる。これは「レッドドットエルゴノミクス」と呼ばれ、4本の指でしっかりとグリップでき、このほんのわずかなアクションでレッドドットを見つけやすくするというモノだ

 

ワルサーの新たなマスターピース

 

 こればかりは実際に撃たないことには分からないが、ワルサーはトリガーフィーリングをPDPの大きな特徴としている。これはQ5からの流れとして想像に難くないことではあるが、それによって「伝説のコンバットピストルメーカー」としてのワルサーにふさわしいモデルになったと言えるのではないだろうか。

 月刊アームズマガジン2021年7月号ではこの銃についてより詳しく解説しているのでそちらも参考にしていただければ幸いだ。

 

Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai) 

Photos:Carl Walther GmbH/櫻井朋成
Special Thanks to
Carl Walther GmbH:https://carl-walther.com/defense

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年7月号 P.202~209より抜粋・再編集したものです。

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