2021/01/12
【実銃編】ヨーロッパ最大級の銃器見本市「IWA OUTDOOR CLASSIC」とは?
今回、ご紹介するレポートは2018年3月に開催されたヨーロッパ最大級の銃器見本市「IWA OUTDOOR CLASSIC 2018」だ。本来ならば、海外では「SHOT SHOW」をはじめとした銃器展示会などが執り行われるが、今年は昨今のコロナ禍の影響で軒並み中止となってしまっている。例年行なわれるはずだった銃器見本市の雰囲気を味わっていただければ幸いだ。
※このレポートは月刊アームズマガジン2018年6月号に掲載されたものを再編集したものです
IWAとは
「Internationale Waffen Ausstellung OUTDOOR CLASSICS」はドイツの古都ニュルンベルクで開催される銃器見本市であり、そこで展示されるのはヨーロッパで市場の大きなハンティングなど市販向けの各種アイテムを中心としてきた。しかしここ数年は法執行機関をターゲットにした「ENFORCE TAC」がIWAに先行して2日間開催されており、その影響でFNHのようなミリタリー&LE向けを主体とするメーカーも同イベントに続けてIWAにも参加するようになり、展示されるアイテムも多様化した。今回は両イベントの様子をご紹介していこう。
H&K
近年、アサルトライフルは小型化の傾向に拍車がかかり、5.56mm×45口径ではかつてのサブマシンガンに近いサイズとなっている。歩兵装備の軽量化要求に加え、テロリストの装備が高度化したことで、LE向けのいわゆる「ポストMP5」に位置づけられているのも理由であるようだ。今回、H&Kのブースで展示されていたHK433もその一つである。当時はドイツ軍の次期制式小銃候補の一つと目されていたため、それを手にできる機会に注目を集めていた。
SIG SAUER
SIG SAUERのブースで展示されていたのは、MCX Tatteler SBRだ。この銃はMCXのバリエーションでSMGサイズながら5.56mm×45NATO弾を使用。ガスピストン作動でサイドフォールディングストックを備える。
ちなみにMCXのシリーズの一つ、MCX VIRTUS SBRはSIG SAUERのエアソフトガンブランド、SIG AIRが2019年12月にエアガン化している。そちらもぜひチェックしていただきたい。
▼SIG AIR第2弾のエアガンも注目▼
FNH
FNハースタルは1889年に設立されたベルギーの銃器メーカーである。軍用、民間用問わず銃器の歴史に大きな影響を与え続けるメーカーももちろん、見本市に参加していた。展示されていたのは、FN USAで開発されたストライカー方式のFN509。
後にこの銃は米軍次期採用ピストルを決めるMHS(Modular Handgun System)計画に参加したが、SIG SAUER P320に惜しくも敗れてしまった。
CZ
CZのブースに展示されていたのは、グリップの素晴らしさにフランスの特殊部隊GIGNが飛びついたというストライカーピストルP-10 Cだ。マイクロドットサイトに対応し、オープンサイトはドットサイト故障時も使えるよう、ひと回り高くしているのがわかる。
当時展示されたモデルも現在、グロックキラーという異名を得ている。実射レポートもあるため、ぜひそちらもチェックしていただきたい。
WALTHER
老舗ワルサーのストライカーファイアピストルPPQ。マイクロドットサイト搭載モデルを展開しており、写真はその中でもスポーツ色の濃いPPQ Q5 MATCH。5インチのフルレングスバレルを採用している。
ワルサーはこれをスチールフレーム化したモデル、Q5 MATCH SF(STEEL FRAME)を開発したが、2020年のIWAは開催されず、新製品発表の場を失ってしまった。筆者は運良くワルサーにいる友人からデータをいただけたので、そちらのレポートも併せてご覧いただければ幸いだ。
いかがだろうか。IWAではその年でも新進気鋭のモデルが登場し、それを手に取ることができる。また実銃の他にも、トイガンの展示も行なっている。後編ではそちらの模様もレポートしよう。
「IWA OUTDOOR CLASSIC」(トイガン編)はこちら
TEXT & Photos: 櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)
この記事は月刊アームズマガジン2018年6月号 P.116~123より抜粋・再編集したものです。