2022/07/18
【実銃】ARクローン+PDWストック「TROY M7A1 PDW」の思わぬ落とし穴
優れた実銃に隠れた落とし穴
リコイルバッファー、リコイルスプリングを持つAR系列の銃は構造上、フォールディングストックが装備できず、コンパクトに収納することが難しい。その課題を乗り越えたTROY M7A1 PDWを実射、そのレポートを公開する。
TROY M7A1 PDWの実射
今回射撃を行なったのは特殊部隊御用達のディストリビューター、TR Equipment本社内にある射撃場。TR Equipmentのクリストフが手伝ってくれた。銃口にサプレッサーを装着し、クリストフが射撃する。サプレッサーが付いているのでそれほどの発射音があるわけでもなく、派手なマズルフラッシュもない。ところがマガジン1本を射撃したところでクリストフが一言、「俺の頬、赤くなってない?」
前述したがPDWストックはチークパッドがない分、ストックのバー部分が直に頬に当たって撃つ度にリコイルで痛い。おそらくそれだろうと思ったが、彼は「注射でもされているようだ」という。確かにAR15はバレルと一直線上にストックがあるので真っ直ぐリコイルがあり、マズルジャンプはそれほど強くない。ましてやマズルにサプレッサーがあればなおさらその重量でマズルジャンプは抑えられるので、そういう意味ではこのチークパッドのないストックでもそれほど痛みを感じないはずだ。はて、と疑問符を浮かべながらも筆者の番。ストックの頬付けに気をつけながら射撃を開始する。するとすぐにクリストフの言った「注射」の正体がわかった。
頬に走った痛みの原因
M7A1のレシーバーの後ろを見てみると3つの小さなくぼみが見える。そのうちのひとつの周りが変色しており、おそらくそこは穴が貫通しているのだろう。バッファーが射撃の勢いで後退した際、圧縮されたバッファーチューブ内の空気が行き場を失い、この穴から勢いよく噴き出す。それが頬に当たってチクリと感じるのだ。しかも、.223の弾薬はサプレッサーを使うと発射ガスをため込み、その分ボルトに返ってくるガス圧は増えるので、余計に勢いを増しているのだろう。また、ため込んだ発射ガスが抜けてくると涙が出るほどにきついアンモニア臭がしてくる。その上、頬を撃つ度に「注射」がチクチクとくるとなれば、精神的にかなりくるものがある。
優れたARクローンに隠された落とし穴
筆者の所持するARクローンも7.5インチバレルにサプレッサー付きで、同じコンセプトのこのM7A1 PDWにはとても興味があった。実際、最後の最後に注射攻撃されるまでは最高のAR15クローンと(勝手に)思っていただけにこの一点だけが残念である。
この実銃の詳しいレポートは月刊アームズマガジン2022年6月号に掲載されている。この記事を見て細かく気になった方はぜひそちらも併せてご確認いただきたい。次回もめげずにARクローンの実銃レポートをお届けしよう。
Special Thanks to TR Equipment :
https://www.tr-equipement.com
Photo & Text : 櫻井朋成(Tomonari Sakurai)
この記事は月刊アームズマガジン2022年6月号 P.210~217をもとに再編集したものです。