2022/05/05
【実銃】SIG SAUER P320を射撃に特化させた「XFIVE LEGION」を実射!!
射撃に特化させたストライカーファイアピストルの実力
SIG SAUER P320 XFIVE LEGIONは米軍制式拳銃M17を射撃に特化させたハンドガンだ。これはストライカーファイアピストルであり、ハンマー式のピストルに比べるとシアの切れる瞬間のキレが悪いという欠点がある。はたしてXFIVE LEGIONはその欠点を克服することができたのだろうか?
今回はSIG SAUER P320 XFIVE LEGIONの射撃レポートを公開しよう。
【実銃】SIG SAUER P320 XFIVE LEGIONのレポートはこちら
SIG SAUER P320-M17の実射
前述の通り、ストライカーファイアピストルの欠点として、ハンマー式と比べシアの切れる瞬間のキレが悪く、どこで発射されるか掴みにくいというものがある。はたしてP320ではどうだろうかと思いながら、まずはP320のオリジナルとしてM17を射撃。このM17だが呆れるほど撃ち込まれていて、良い味を出している。P250から受け継がれているポリマーフレームの一見ぼてっとした丸っこいグリップだが、実際に持ってみると意外としっくりくる。使い込まれてすべてのパーツが馴染んだのであろうか、スムーズに作動し射撃に不安はない。ただし、予想通りストライカーファイアらしくシアの切れる感触はもっさりと生ぬるい感じ。
SIG SAUER P320 XFIVE LEGIONの実射
次に手にしたLEGIONは見るからに握りやすそうなグリップをしている。実際、一体化されたマグウェルのおかげで手の設置面積も大きくなり、かなり握りやすい。また、マグウェルがある分大型化されたマグバンパーのおかげでマガジンの装填もしやすくなっている。構えてみると、ステンレスとなり重量が増したフレームのおかげでバランスがよく、マズルジャンプまでしっかり受け止められる。ファイバー入りのフロントサイトも見やすく、チューニングされたストレートトリガーは細かな感覚でトリガーをコントロールしやすい。しかし、いくらチューニングされたトリガーでもやはり限界があるようで、シアのキレはM17よりは多少マシなものの、それほど大きな差はなかった。ここは期待していただけに残念だ。
撃ち終わって
むろん個人の好みとしての話だが、筆者はハンマー式の拳銃の方が好きだ。ストライカーファイアの銃はどうしてもコスト軽減や持ち運びの利便さなど、商品的な都合がちらついてしまって「射撃のための銃」という印象が薄れてしまうのだ。
しかし、今回撃ったP320 XFIVE LEGIONはストライカーファイアながら射撃のための銃に特化していた。金属フレームや保持しやすいグリップなど、シューター目線で考えられた構造は群を抜いて素晴らしい。ただ、トリガーフィーリングだけはさすがのSIGでも限界があったようだ。ストライカーファイアの競技用拳銃でいえば、ワルサーQ5 MATCH SFのトリガーフィーリングは断トツであった。ポリマーフレームのスタンダードモデルに限ればCZ P-10は箱出しの状態でハンマー式なみのキレを持っている。それらの撃ち心地と比べると少し劣ってしまうものの、フレームの素材から見直された射撃用拳銃であるP320 XFIVE LEGIONもまた、ストライカーファイアピストルとしてトップレベルの銃であることは間違いない。
より詳しいレポートは月刊アームズマガジン2022年4月号に掲載されているので、そちらも参考にしていただければ幸いだ。
Photo & Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)
撮影協力:Le cercle de tir de Wissous
https://www.youtube.com/c/LecercledetirdeWissous/featured
この記事は月刊アームズマガジン2022年4月号 P.194~201をもとに再編集したものです。