ミリタリー

2022/06/23

【陸上自衛隊】令和3年度第2回 水陸機動団演習を取材!!

 

陸自の新戦力として注目される水陸機動団

 

 昨年10月、熊本県の大矢野原演習場で陸上自衛隊の水陸機動団による「令和3年度 第2回水陸機動団演習」が実施された。日本の安全保障環境が厳しさを増すなか、陸自の新戦力として注目される彼らの本領「島嶼奪還」を想定した訓練を密着取材した。

 


 

 

水陸機動団とは

 

 陸上自衛隊の水陸機動団(略称:水機団)は、日本の防衛大綱に示されている「統合機動防衛力」に基づき、島嶼奪還能力を保持し水陸両用作戦任務に対応する部隊として、それまでの西部方面普通科連隊を基幹に陸上総隊直轄の機動運用部隊として平成30(2018)年3月に新編された。
 日本は本州、北海道、四国、九州、沖縄本島を含め6,852の島嶼で構成されその多くが離島であることから、島が敵に上陸・占拠された場合、自衛隊が水陸両用作戦(上陸用舟艇や航空機などを用いた、海からの上陸作戦)を敢行し、制圧して取り戻すための能力を備える必要がある。米・英海兵隊のような本格的な水陸両用作戦能力をこれまで自衛隊は備えていなかったが、近年日本の安全保障環境、とりわけ南西方面への中国の脅威が増すなかこうした部隊の必要性は高まり、“日本版海兵隊”ともいえる水陸機動団は誕生した。

 

 

新たに導入された装備

 

 水機団は水陸両用作戦に対応するため、新たな装備がいくつか導入され、話題となった。代表的なのは、米海兵隊でも運用されている水陸両用車AAV7の採用だろう。海上の輸送艦から浮上航行して海岸に上陸し部隊をそのまま内陸へと輸送できる装軌式の装甲車で、上陸初期における重要な役回りを担っている。ある程度の防御力を持ち、旋回砲塔に12.7mm重機関銃M2と、40mmグレネードランチャーMk.19を備えるが、単独の火力・防御力は決して高くはないため、着上陸に際しては状況に応じて艦砲や航空機による支援が必要となる。また、水機団の展開に際しては、ヘリコプターより高速で航続距離の長いV-22オスプレイが陸自に導入されつつあり、部隊の着上陸や空輸などの大きな力となる。
 個人装備では、水陸両用作戦に必要な救命胴衣をはじめ、排水性などを高めた戦闘服(水陸一般用・装甲用)、そしていよいよ配備が始まった20式5.56mm小銃なども注目すべき点だろう。20式小銃については月刊アームズマガジン2022年6月号で取材レポートを公開しているので併せてご覧いただければ幸いだ。

 

 

島嶼奪還作戦

 

 令和3(2021)年10月27日~ 29日、「令和3年度 第2回水陸機動団演習」が、熊本県の陸上自衛隊大矢野原演習場で実施された。状況(想定)は敵(対抗部隊)に上陸された島を、水機団の第1連隊上陸隊が水陸両用作戦により奪還するというものだ。

 

輸送艦内(想定)にて作戦準備中の第1連隊上陸隊。戦闘上陸大隊の水陸両用車AAV7に水陸機動連隊の普通科1個中隊が乗車し、着上陸後も共に行動することになる

 

装備品は常に使える状態でなければならない。特に89式5.56mm小銃は重要な個人装備であり、念入りな機能点検を実施する

 

戦闘上陸大隊のAAV7乗員

 

水陸機動連隊の普通科隊員。水機団の隊員は救命胴衣に加え、戦闘服や靴も水陸一般用・装甲用と水陸両用作戦向けに開発されたものを着用している

 

 次のレポートでは、今回はAAV7に乗車した水陸機動連隊の普通科に同行し、取材した様子をご覧いただこう。またさらに詳しいレポートは月刊アームズマガジン2022年5月号で掲載されている。それも併せてご覧いただければ幸いだ。

 

続きはこちら

 

Text & Photo : 笹川英夫
取材協力:陸上自衛隊 水陸機動団/陸上総隊

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年5月号 P.198~201をもとに再編集したものです。

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