エアガン

2018/12/18

Way of the Gun withフランク・プロクター 【2019年1月号掲載】

 

THE GUNFIGHT TECHNIQUES FROM EXPARTS

~プロから学ぶ最新実践的射撃術~

 

米国では西部開拓時代から現代まで、銃器のプロフェッショナルであるガンファイター達は注目を集め、その技術は時代とともに進化してきた。この連載では、米国の誇るガンファイター達のテクニックを、基礎から発展までひとつづつ紹介していこう。

 


 

 銃は扱い方を間違えば、大きな事故に繋がる武器である。だからと言ってむやみに恐れる必要はなく、道具として安全に扱うためのシンプルな「フォーファイアアームズセーフティルールズ(4つのセーフティルール」を守るだけで事故は防げる。

 

  1. すべての銃は絶えず装填されている
  2. 破壊したくない物には銃口を絶対に向けない
  3. サイトがターゲットに向くまで、引き金から指を離しておく
  4. ターゲットを確認し、そしてその背後に何があるのかを認識する

 

4つの安全ルールのうち、1つが破られたとしても危険は起こらない。だが、2つ、3つと複数の安全ルールが同時に破られた時、意図しない発射(誤射)が起こり、事故に繋がってしまう。4つのルールは、例え実戦であっても守られるべきルールである。

 

Way of the Gun withフランク・プロクター

 

 フランク・プロクターは18年間米陸軍に所属し、その内11年間を米陸軍特殊部隊で過ごし、イラクとアフガニスタンにおける豊富な実戦経験を持つベテランである。2003年に始まったイラク戦から今日まで、米軍はこれまでにはないほどの実戦経験を得るとともに特殊作戦を実行してきた。平時における特殊部隊員とは違い、プロクターはもっとも戦闘の激しい時代に、そのキャリアのほとんどを過したことになる。DOD(米国防総省人員=米政府と契約する民間コントラクター)の訓練も担当し、彼の担当した内容はCQB、ブリーチング、スナイピングと監視であり、幅広い技術を誇る。退役後、2007年から始めたピストルを使ったアクションシューティングであるUSPSA競技で1年強の短期間で最高ランクであるグランドマスターとなり、高い射撃技術を証明している。現在では射撃トレーニングを中心とする「Way of theGun」を主宰し、全米で様々な射撃クラスを教えているガンファイターである。

 

Way of the Gun withフランク・プロクター

プロクターは民間、軍及び法執行関係者に対して、より効率的な射撃術を広めている

 

 プロクターは言う「実戦においても、より高いレベルでのパフォーマンスシューティング、つまりスピードと命中精度を正しい割合で行なうことで、より短い時間でより高いヒットを得た者が勝利する」としている。これは彼の豊富な実戦経験を、競技射撃からのフィードバックによって分析することで、どのようにしてシューティングレンジでの訓練を行なうべきかを形成した結果であるという。これをプロクターは「銃の道」つまり「Way of the Gun」であるとしてクラスで伝えているのである。

 

Way of the Gun withフランク・プロクター

 

プロクターが教えるパフォーマンスシューティングを支えるのが「プロセス」「コントロール」「メカニクス」「ムーブメント」である。視覚から得たターゲットのサイズや距離をプロセスし、その情報にあわせた射撃スピードと精度のコントロールが行なわれる。それを実現するために必要な射撃のメカニクスがあり、メカニクスを実行するための動き(ムーブメント)がある。戦闘射撃をコンポーネントに分けて分析し、理解することでシューターのパフォーマンスは向上していく。

 

Way of the Gun withフランク・プロクター

 

人は見ることで多くの情報を得ている。しかし、射撃をしている時はターゲットに集中してしまうので多くの情報を見逃してしまう。ターゲットに目を向けたまま、左右上下に手を伸ばし得られる視野の広さを確認する。広い視野を保ち続けることで、より素早く複数のターゲットのへの射撃を行なえる。これは実戦においても状況を素早く察知することに繋がる。

 

Way of the Gun withフランク・プロクター

 

生徒の射撃姿勢を例にとり、改善できる部分を示して行く。実戦でも射撃競技でも、素早く無駄のない姿勢変化と移動がスピードに繋がる。写真のシューターは必要以上にカービンを押さえ込み、足を開きすぎることで移動しにくい構えとなっている。構えやすく動きやすいことを考えて射撃姿勢を学ばなければならない。

 

Way of the Gun withフランク・プロクター

バリケードの左右から射撃を行なう。銃口をコントロールしつつカービンを体に引き寄せて移動を行なう。早く行なうのではなく、無駄のない動きが早さを生むのである

 

Way of the Gun withフランク・プロクター

バリケードから離れないようにシューターの後ろに立って邪魔し、狭い場所でのカービン取り扱いを学ぶ。撃つ、動く、止る、これらがスムーズに、時に同時に行えるように訓練して行く

 

Way of the Gun withフランク・プロクター

本誌ではプロクターによる無駄なくスムーズで素早いリロードも紹介している。プロクターは言う「10回に1度できる素早いリロードに価値はない。10回やって10回確実に行なえる操作こそ、ストレスのかかる実戦で役に立つテクニックとなる。そのためにはカラダの構造に無理のない自然なポジションでの操作を学ぶのが重要だ」

 

 プロクターの「Way of the Gun(銃の道)」は、プロクター自身の学んできた経験をわかりやすい言葉で説明し、それを実射で実践するパターンで構成されている。「パフォーマンスシューティングとは、必要最小限の精度とそれを実現できる最速のスピードで射撃を行なう無駄を徹底的に省いた射撃術だ。最小限のエネルギーで最大の効果を出す。これを意識することで実戦において重要である時間、機会、体力といったものを有効に使えるようになるのである」とプロクターは言う。

 

TEXT&PHOTO:SHIN

 


この記事は2019年1月号 P.86~89より抜粋・再編集したものです。

 

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