「危機に備える」ための最先端技術の見本市!! 『RISCON・SEECAT2021』レポート

 

 日本最大級の危機管理産業展であるRISCON 2021が10月20日~ 22日の間、東京ビッグサイト青海展示棟にて開催された。多数の企業や官公庁が出展し、最新の防災、救命機器が展示されていた。同時開催されたSEECAT(テロ対策特殊装備展)と合わせてご紹介しよう。

 


 

RISCON 2021(危機管理産業展 2021)

 

防衛省

 

対NBC兵器専門である中央特殊武器防護隊が防衛省のブースに出展。化学兵器による負傷者を治療する処置室や除染スペースをブース内に再現しており、防護隊の技官が来場者に解説を行なっていた

 

NBC偵察車と00式個人用防護装備が並んでいた。化学兵器が使用された状況でも汚染地域にて活動できるNBC偵察車には様々な観測機材が搭載されており、いち早く情報収集が可能となっている

 


 

サイトロンジャパン

 

自衛隊、警察機関などへの納品実績などでも有名なサイトロンジャパンではHIKMICRO(ハイクマイクロ)のサーマルスコープを展示。最大倍率8倍のデジタルズームを搭載しており、どの倍率でもブレが少なく、非常にクリアな視界を保っていた。サイトロンジャパンではHIKMICROの正規代理店を開始するとのことだ

 

 


 

総務省消防庁

 

新型の防火服とバイザーヘルメットセットだ。展示品は現在試験中のものだが、近い将来実用化される目途が立っているのだという。バイザーにはHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)が装備されており、救助隊員の視界内に建物の見取り図などを表示することが可能となっている

 

バイザー内部に備わる複眼カメラによって、このようなサーモグラフィー映像も撮影できる。この映像はバイザーのHUDに表示され、煙が充満した室内などでも要救助者を発見するのに役立つ

 

災害時に用いられる電動アシスト自転車。変わった形をしているが、これは負傷者や物資を運搬するための荷台だ。この荷台には小型ポンプが搭載可能であり、火災が発生した際は消防車が入れない細道などで消火活動を行なう

 


 

Kawasaki(カワサキモータース)

 

二輪車のイメージが強いカワサキだが、海外ではATV(4輪バギー)の販売で業績を伸ばしている。展示されていた『MULEPRO-FXT』は北米で3万台の大ヒットを記録した本格的4輪駆動ATVであり、日本の官公庁でも納入実績があるのだという

 

ブリヂストンのエアフリータイヤがATVの荷台に載せられていた。これはブリヂストンが2017年に発表した空気を使わないタイヤだ。ホイールとトレットの間にある無数の板が伸縮し、地面の衝撃を吸収するという構造になっている

 


 

船山

 

消防車や防災製品を取り扱う船山のブースでは災害時に用いられるドローンを中心に展示が並んでいた。赤外線による暗視装置付き高性能カメラを備えた飛行ドローンは各方面のスペシャリストから大きな関心を得ていた

 

消火器を備えたドローンはEVバイクに用いられるような箱型バッテリー6個で動く。爆発の恐れがある現場や火の勢いが強く人間が近寄れないような状況でこうしたドローンは運用される

 


 

SEECAT 2021(テロ対策特殊装備展 2021)

 

OTS

 

官公庁向け訓練用品の取り扱いやトレーニングサービスを行なうOTSのブースには多数の装備品や光学機器が並んでいた。実物装備品やトレーニングガンの説明を受ける来場者の姿もありブース内は大賑わいとなっていた

 

B&Tの各種モデルが参考品として展示されている。APC9PROは米陸軍に正式採用されたということもあり、日本の法執行機関関係者も注目しているようだ

 

実物光学機器メーカーであるMarchのスコープやEoTECHのホロサイトなど、実銃向けの高性能光学機器には自衛隊関係者も興味があるようで、デモガンを手に取りスコープを覗く方も見受けられた

 

OTSブースの一角には東京マルイがシューティングレンジを併設していた。次世代MP5A5とG19 Gen4が用意されており、5枚のターゲットをすべて倒すまでのタイムに応じて景品が貰えるのだという。この日の最高記録は警察関係者の方であり、MP5A5を使用し3秒台を叩き出した

 


 

ミリテック

 

実物光学機器メーカーHOLOSUNの正規代理店であるミリテックではデモガンに装着した光学機器を自由に手に取って覗くことができた。HOLOSUN製のドットサイトはコストパフォーマンスが高く、性能も良好でありアメリカでも人気となっている

 

ポーランド製のギアメーカーHUSAR(ユサール)やイタリアのS.O.D.といった日本ではあまり見ることができない欧州系の装備品もミリテックでは取り扱っている

 



ボヘミア・インタラクティブ・シミュレーションズ

 

米国全軍をはじめとする世界中の軍隊にて採用されているシミュレーション「VBS4」をブースにて体験することができた。VBS4は陸上の特殊作戦や航空機、戦車の操縦など多岐にわたる状況を再現し、訓練ができるシミュレーターだ

 

編集部員もシミュレーターを体験してみた。ACOGを装着したM16A4を使用した射撃訓練を想定したものであり、射撃前の安全確認やマガジンへの弾薬装填を行なわなければ発射ができないなど、しっかりと訓練手順が再現されている。射撃時の反動や距離と風による弾着位置のズレなども発生するので標的に当てるのは難しい

 


 

ノーベルアームズ

 

ノーベルアームズは自衛隊や警察など官公庁向けのESS製各種アイプロテクションを展示

 

特に注目されたのがCROSSBLADE/CROSSBOWなどに対応するLPL(LaserProtectiveLens)だ。これはレーザー照準器や誘導装置が発するレーザーから網膜を保護(特定の波長の光を遮断)する効果がある。現代の戦闘環境下では必須アイテムといえそうだ

 


 

日本エヤークラフトサプライ

 

イスラエル陸軍での採用実績もあるリフレックスタイプのドットサイトMEPRO M5は単3電池が使えて、アウターは樹脂製で300gと軽量。暗視装置にも対応し、3倍率のMX3-Tマグニファイアと組み合わせての運用もできる。レンズが斜めに配されて、光を直接反射して敵に位置を暴露しにくいのも特徴

 

マイクロドットサイトMEPRO MICRORDSはバックアップのリアサイト(自光式のチューブを内蔵)がQDアタッチメントを兼ねており、工具なしで着脱できる

 


 

防衛装備庁

 

CBRN(化学、生物、放射性物質、核)による汚染環境下で遠隔操縦可能な無人重機の実験結果が、模型を用いたディオラマと共に展示された。Wi-Fiなら1kmほど、衛星通信なら数百km先からでも操作可能とのこと

 



ジャパンセル

 

国産のポータブル高輝度LEDタクティカルライトALPHA-1はグリップ周りがP90を思わせるデザインで、セレクターも人差し指で操作できるのが特徴。各所にピカティニーレールが配され、銃器用のアクセサリー各種を装着できる

 

車載用マウントもあり、こちらは陸海空自衛隊のLAV(軽装甲機動車)などに対応。明るさは310万cdとハイパワー

 


 

キャロット

 

自衛隊や警察向けの訓練用国産ラバーガンを手がけるキャロットは、警察や海上自衛隊SBUが装備するMP5のラバーガン2種が展示された。ブルーの成型色は、訓練向けの要望から製品化された

 

ハイマウントタイプのドットサイトを再現したMP5ラバーガンもある。いずれもハンドガード部にウェポンライトを装着可能

 

9mm機関拳銃のラバーガン。重量やバランスなどは実銃を模しており、エッジは破損を防ぐためにほどよくデフォルメされている

 

TEXT:遥/津軽太郎/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年1月号 P.218~221より加筆・再編集したものです。

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