2021/07/26
BCM AIR「BCM MCMR 11.5インチ電動ガン」【毛野ブースカの今月の1挺!】
「月刊アームズマガジン」編集部の毛野ブースカがおくる『毛野ブースカの今月の1挺!』 。今回はBCM AIRの『BCM MCMR 11.5インチ電動ガン』だ。
このモデルを見た瞬間、BCMのM4カービンが好きな私は「これは欲しい!」と思った。今までもBCMの刻印が入ったM4カービンのエアガンはあったものの、ここまで完成度が高く、最新の電子トリガーシステムが搭載され、しかも価格を抑えた製品はなかった。発表直後から話題になっていたことから入手困難かと思われたが、なんとかファーストロットを入手することができた。あらためて製品版を手にしてみると意外なほど完成度が高いことがわかった。
BCM(ブラボー・カンパニー・マニュファクチャリング)というメーカーの説明はここでは割愛させていただくとして、私がBCMのM4カービンが好きになるきっかけとなったのは、今から8年ほど前のこと。あのマグプルDVD「THE ART OF TACTICAL CARBINE」で一躍有名になった元アメリカ海兵隊のインストラクター、トラビス・ヘイリーとコラボした「THE JACK CARBINE」だ。BCMのM4カービンをベースにガイズリーのスーパーモジュラーレール、B5システムズのSOPMODブラボーストックが装着され、Disruptive Greyという渋いメタリックグレーのセラコートで仕上げられていた。あまりのカッコよさに衝撃を受けて、レシーバーだけ実銃をモチーフに再現した電動ガンカスタムを作ったことがある。
この「THE JACK CARBINE」をきっかけにBCMのM4カービンが好きになっていくのだが、さらにタクトレ好きな私は、先に挙げたトラビス・ヘイリーや私の師匠であるラリー・ヴィッカーズ、パット・マクナマラ、トム・スプーナー、マイク・グローバーなど元特殊部隊出身の著名インストラクターたちによって構成されている「ガンファイターズ(GUNFIGHTERS)」と呼ばれるBCMのシューティングチームにも興味を持つようになった。また、ガンファイターズという言葉の響きもよく、誌面用にカスタムしたM4カービンの名前にちょくちょくこの言葉を使った。
BCMのM4カービンはどちらかというと派手さはなく地味なのだが、ガンファイターズによってブラッシュアップされた銃本体やカスタムパーツは実戦的で使いやすいものばかり。特に日本で知られているのがガンファイターストックやガンファイターバーチカルグリップだろう。USボーダーパトロールや国土安全保障省、いくつかの合衆国政府機関で制式採用されており、アメリカ陸軍特殊部隊グリーンベレーもアッパーレシーバーグループを購入、使用しているユニットもあるという。要するにプロフェッショナル御用達のメーカーなのだ。そんなBCMのオフィシャルライセンスドモデルが、今回紹介するBCM AIRのBCM MCMR 11.5インチ電動ガンなのだ。第1弾として発売されるのは、同社のM-LOKハンドガード「MCMR(M-LOK COMPATIBLE MODULAR RAIL SYSTEM)」と11.5インチバレルが組み合わされたトレンディなモデルだ。
各部に実銃同様の刻印やロゴが施されているのは当然としてガンファイターパーツがフル装備されているのがポイントだ。M-LOKハンドガードをはじめチャージングハンドル(個人的には「ガンファイターチャージングハンドル」という言葉が大好き)、コンペンセイター、Mod.1 SOPMODストック、グリップ、トリガーガード、QDエンドプレートが標準装備されている。個々に揃えると入手困難なパーツもあり意外と厄介だ。それがまとめて装着されているのだからマニアにとっては堪らない。内部にはVFC製電動ガンの最上位機種に採用されている電子トリガーシステム「Virgo」を搭載。セミオート時のキレもよく、3点射バーストやプリコックなど各種設定ができる。チャンバーパッキンやインナーバレルは高精度で定評のあるメイプルリーフ製がチョイスされている。セレクターレバーやマガジンキャッチ、ボルトキャッチは片側のみでアンビタイプではない。
先日、購入してから初めてサバゲーに実戦投入した。外装パーツを数点追加した以外は箱出し状態で臨んだが、ホップアップの掛け具合がややシビアかなと感じた以外は弾の飛びは安定しており集弾性も良好。遠距離からでもヒットを取ることができた。プリコック状態から発射できるのでセミオートでも充分。11.5インチバレルとMCMRのコンビネーションは絶妙で、軽量なボディと相まってバリケードが立て込んでいる場所でも取り回しやすく、良好な前後バランスをもたらしてくれる。今までどちらかといえば長め(14.5~16インチ)のバレル長のM4カービンを使う機会が多かったので、11.5インチバレルと10インチハンドガードの組み合わせは新鮮で、想像以上使いやすいので病み付きになりそうだ。
電子トリガーシステムが標準装備されている以外はスタンダード電動ガンとしてオーソドックスな作りだが、さり気ないカッコよさや無駄がなく質実剛健なところは実銃譲り。サバゲーはもちろんシューティングマッチやタクトレにも充分対応できる。しばらくはサバゲーやタクトレの相棒としてBCM AIRが手放せそうにない。
[プロフィール]
アームズマガジンの編集ライター。エアガンシューティング歴36年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで25年、280冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる。