エアガン

2021/06/24

クラウンモデル「コルトパイソン.35マグナムシルバータイプ6インチガスリボルバー」【毛野ブースカの今月の1挺!】

 

「月刊アームズマガジン」編集部の毛野ブースカがおくる『毛野ブースカの今月の1挺!』 。今回はクラウンモデルの『コルトパイソン.35マグナムシルバータイプ6インチガスリボルバー』だ。

 

【番外編パート2】マルゼン「コルト・マークスマンガバメント」はコチラ

前回の「今月の一挺」はコチラ

 


 

 

 トイガンでオートマチックピストルを再現するなら実銃のようにスライドやボルトが後退・前進ブローバックするのが理想的なように、リボルバーをトイガンで再現する場合はシリンダーにカートリッジを装填・排莢できるのが理想的だ。今でこそガスブローバックガンが普及し、オートマチックピストルはブローバックするのが当たり前になっているが、ガスブローバックガンが開発される前はエアコッキングガンやスライド固定式ガスガンしかなく、モデルガンはブローバックモデルであっても「ブローバックしないのは当たり前」のような時代が長かった。その点、リボルバーは実銃同様構造が単純で、発火させることはもちろんカートリッジの装填・排莢が再現しやすかった。モデルガンは当然のことエアガンも黎明期からカートリッジの装填・排莢が楽しめる製品(=ライブカート式)が存在した。
 

対象年齢10歳以上用エアガンが多いクラウンモデルの製品の中で数少ない対象年齢18歳以上用のこのモデル。実銃のようなカートリッジの装填・排莢が楽しめる

 

 エアガン黎明期のリボルバーはグリップ内やカートリッジ内にピストンとシリンダーを内蔵したエアコッキングガンから始まり、低圧ガスを使ったガスガンの誕生に伴いライブカート式とケースレス式が誕生した。しかし、現実にはオートマチックピストルを再現したエアガンの実射性能が向上していくにつれて、リアルなアクションが楽しめながらも実射性能で劣るライブカート式リボルバーは徐々に各社からラインアップが減っていった。そんな少数派となってしまったライブカート式リボルバーを淡々と作り続けているメーカーがある。それはクラウンモデルだ。
 

マットステンレス風の表面は1980年代に作られたステンレスモデルをイメージしており重厚感漂う仕上がり。対象年齢10歳以上用モデルとの差別化が図られている

 

 1966年創業のクラウンモデルはプラモデルメーカーとして誕生し、私の子供の頃(1980年代)は車や人体模型、現在でも生産されている小便小僧のプラモデルを製造していた。今ではプラモデルメーカーというよりエアガンメーカーとして有名だ。エアガンでも特に対象年齢10歳以上用が多く、模型店や玩具店に商品を販売していたプラモデルメーカーであったことの名残なのかもしれない。しかし、それが今では同社の強みになっている。今回取り上げる対象年齢18歳以上用のコルトパイソン.35マグナムシルバータイプ6インチガスリボルバーは、クラウンモデルのラインアップの中では異色と言ってもよい。

 

フロントサイトにはレッドインサートが入れられておりサイティングしやすくなっている。フロントサイトは実銃では取り外しできるが、クラウンモデルは固定式

 

 クラウンモデルの対象年齢18歳以上のエアガンはガスリボルバーとエアコッキング式のハイアップエアリボルバーしかない。しかも両モデルともライブカート式だ。どちらもロングセラー商品なのだが他メーカーに比べて意外と知名度が低い。いわば「知る人ぞ知る」エアガンだったのだ。しかし近年、実銃のようなアクションが楽しめることが再注目され始めてにわかに注目を集めるようになった。

 

発射時の発生する陽炎を防止するために設けられたベンチレーテッドリブにバレル下部のシュラウドがついた6インチバレルはパイソンそのもの。左側の刻印もしっかり施されている

 

 クラウンモデルのガスリボルバーはグリップ内にガスタンクを内蔵し、ハンマーによってガス放出バルブから放出されたガスはフレーム内に設けられたバイパスを通してシリンダーに送られてBB弾が発射される極めてオーソドックスなメカニズムを採用している。もちろんトリガーを引くとシリンダーが回転してハンマーが起きるダブルアクション/シングルアクション方式を再現している。カートリッジの装填・排莢はシリンダーをスイングアウトして行なう。リボルバーならではのアクションであり醍醐味でもある。

 

バレル後端のフォーシングコーンは可動式で、シリンダーギャップのある実銃とは逆にシリンダーとのギャップを埋めることでシリンダーを定位置へ固定させ、命中精度を向上させている

 

 カートリッジが装填されるシリンダーのホール部分には実銃にはないスリーブが追加されており、その上にカートリッジを装填することで実弾、もしくは実弾を模したカートリッジが装填できないようにするクラウンモデル独自の改造防止策が施されている。一見するとネガティブな構造に思われがちだが、このスリーブをインナーバレル代わりとして、なおかつ可動式にすることでカートリッジとフレームとの密着度を上げることでガス漏れを防いでおり、実射性能の向上に一役買っている。

 

リアサイトは樹脂製ながら実銃同様に上下左右に調整が可能

 

 ディテールは細かい部分はデフォルメされているものの、ベンチレーテッドリブやシュラウド付きバレル、レッドインサート入りフロントサイト、可動式リアサイト、そしてコルトのメダリオン付き木目調のラミネートグリップ、マットステンレス仕上げの表面などパイソンらしいスタイルを再現している。また、グリップ内にウエイトが追加されるなど重量感も申し分ない。価格も比較的抑えめで入手しやすい。今回紹介した6インチと4インチがラインアップされている。
 

トリガー左側基部にはエアガンオリジナルのマニュアルセーフティが追加されている。写真はセーフティオフ状態

 

 実射してみるとガスブローバックガン並みとまではいかないが、ライブカート式としては充分な命中精度を発揮する。「ライブカート式リボルバー=命中精度がイマイチ」というかつてのライブカート式ガスリボルバーのイメージがいまだに頭の中にある私のようなオールドスクールにとって、このパイソンは予想以上に集弾する。トリガーフィーリングはメリハリがあり、シリンダーもしっかり固定される。初速もしっかり出ており、屋内だけではなく屋外でも充分楽しめるはすだ。このリボルバーだけのワンメイクサバゲーをやったら面白いかもしれない。

 

 装弾数は6発でカートリッジを装填して撃ち終わったらカートリッジを排莢する…リボルバーならではの緊張感と高揚感が体感できるのが、このクラウンモデルのパイソンだ。撃てばきっと欲しくなるはずだ。

 

実銃よりややアールが緩くなっているトリガー。前面に施されているグルーブはオミットされておりダブルアクションで引きやすくなっている

 

フレーム左側のサイドプレートにコルトのロゴが入れられている。シリンダーラッチをS&Wが押すのに対してコルトは引いてシリンダーをスイングアウトさせる

 

ハンマーの形状はややデフォルメされており、フレーム側に設けられているファイアリングピンはオミットされている

 

シリンダーをスイングアウトしてシリンダー前面を見たところ。各ホールから飛び出ているカートリッジのように見える金色のパーツは安全対策のスリーブ

 

シリンダー後面を見たところ。安全対策のスリーブを追加することで実弾や実弾を模したカートリッジが装填できないようになっている。もちろん取り外したりすることは止めよう

 

専用のカートリッジを装填したところ。安全対策のスリーブはインナーバレルの役割があり、カートリッジとフレームの間にできるギャップを埋めるためにスプリングが内蔵されている

 

リム部分に刻印が施された真鍮製の専用カートリッジ。BB弾は底部に装填する

 

ガスリボルバーの特徴のひとつであるコルトのメダリオン付き木目調のラミネートグリップ。表面のステンレスフィニッシュともマッチしている

 

フレームにガスタンクが内蔵されているのでグリップ底部にガス注入バルブが設けられている

 

グリップを分解したところ。フレーム側にある銀色の筒状のパーツがガスタンクだ。グリップ内部にはウエイトが追加されており重量増に貢献している

 

同社の人気モデルである対象年齢10歳以上用のスパークリングエアガン・コルトパイソン.357マグナム6インチ(写真下)と比較したところ。ガスリボルバーはマットステンレス風の表面やラミネートグリップのおかげで高級感が増している

 

パイソンのバレル長は好みのわかれるところだが、個人的には6インチモデルが好きだ。定番のガンブルー(コルトロイヤルブルー)仕上げもいいが、ステンレスモデルも味があっていい

 

ライブカート式ガスリボルバーの最大の魅力は実銃のようにカートリッジを装填・排莢できることだ。エジェクターはライブなので撃ち終わった後、写真のようにカートリッジを排莢できる

 

8m先にあるA4判のペーパーターゲットにダブルアクションで10発撃ち込んだ結果。集弾性は100mmでライブカート式ガスリボルバーとしては上出来だ

 

 

初速を計測したところ0.20g弾で72.4m/s(0.52J)となった。集弾性とともにライブカート式ガスリボルバーとしては侮れない実射性能だ

 

[プロフィール]

 

アームズマガジンの編集ライター。エアガンシューティング歴35年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで24年、280冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる。

 

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