2021/02/09
AW/CYBERGUN「デザートイーグル.50AE GBB JP」【毛野ブースカの今月の1挺!】
「月刊アームズマガジン」編集部の毛野ブースカがおくる『毛野ブースカの今月の1挺!』 。今月はAW/CYBERGUNのガスブローバックガン『デザートイーグル.50AE GBB JP』をご紹介!
私がデザートイーグルを知ったのは中学生時代、1980年代半ばのこと。月刊コンバットマガジン誌に掲載されたレポートを見たのがきっかけだった。その当時コンバットマガジン誌とあわせて月刊Gun誌も読んでいたが、デザートイーグルは見たことがなかった。ウッドランドのBDUを着た外国人のモデルさんが手にしても大きく見えるボディと、実射に使ったスイカが木っ端微塵になってしまうほどのパワーに圧倒された。「これがマグナム弾が撃てる最新のハンドガンか!」と感心してしまった。
当時マグナム弾が撃てるオートマチックピストルは.45ウインチェスターマグナム弾が撃てるLARグリズリー、.45ウィルディマグナム弾が撃てるウィルディピストル、近年リバイバルされたことで注目を集めた.44オートマグ弾が撃てるオートマグくらいしかなかった。リボルバー用のマグナム弾はカートリッジの底にあるリムが出っ張っている「リムドカートリッジ」(ちなみにオートマチックピストル用はリムが出っ張っていないためリムレスカートリッジと呼ばれる)のため、オートマチックピストルには適さなかった。さらに、パワーもリムドカートリッジのほうが優れていた。シンプルな構造のリボルバーに比べてマグナム弾が撃てるオートマチックピストルの構造は複雑で故障も多く、いずれも成功作と呼べるものはなかった。
そんな中、マグナムリサーチとIMI(イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ)が製造したデザートイーグルは突出した存在だった。まるでアサルトライフルのようなガス圧作動方式/ロータリーボルトを採用し、誕生当初は.357マグナム弾仕様だった(コンバットマガジン誌でレポートされたのもこのタイプ)。次に.44マグナム弾仕様が登場し、そして世界最強と言われるオートマチックピストル用カートリッジである.50AE(アクションエキスプレス)弾が撃てるモデルが誕生して一気にブレークした。かつてはマグナム弾が撃てるハンドガンと言えばスミス&ウェッソンM29だったが、今ではデザートイーグルのイメージが定着している。
トイガンでも東京マルイ(ガスブロ、エアコキ、スライド固定式ガスガン)を筆頭にタナカ(モデルガン)、ウエスタンアームズ(ガスブロ)、ハドソン(モデルガン)、アオシマ(エアコキ)など各社からリリースされてきた。今回紹介するのは海外メーカーのAW/サイバーガンからリリースされたガスブローバックガンだ。海外メーカーからデザートイーグルがリリースされるのはおそらく初めてだろう。多くのバリエーションを持つデザートイーグルの中でも1990年代前半にアメリカのマグナムリサーチで製造された.50AE仕様がチョイスされている。
マグナムリサーチとの正式契約によりスライドには実銃同様の刻印が施され、グリップにはマグナムリサーチのトレードマークが再現されている。デカくてゴツくてマッシブなフォルムはまさにデザートイーグルそのもの。ひと目で見分けがつく。日本の法規制にあわせてフレーム、スライド、バレルは樹脂製となっている。フルストロークするスライドをホールドオープンするとバレル側にロッキングリセス、ボルト(スライド)側にロッキングラグが現れる。この風景だけでもデザートイーグルがただのハンドガンではないことがイメージできる。
実際に手にしてみるとそのイメージが間違っていないことに気づかされる。どちらかといえば私は手が大きいほうだが、それでもガバメントはベレッタM92Fのようにすんなりとは握れない。重量も1kgを超えており手応えはまさにマグナムクラス。スライドが勢いよくフルストロークするブローバックは圧巻の一言。ブローバックした瞬間、思わず「オオッ!」と声を上げてしまうほどだ。しかし、撃ち続けるとそれが快感になるのか、ついつい連射したくなってしまう。
デザートイーグルはパワーはピカイチでも実用性はほとんどゼロに等しい。しかし、どこか麻薬的な魅力を秘めており、究極を求めた先にある非日常性は人々を惹きつけて止まない。まさにエモーショナルな存在だ。エコカー全盛時代の今でもフェラーリやマクラーレンといったスーパーカーがもてはやされるのと似ている。一度でいいのでAW/サイバーガンのデザートイーグルを撃ってみてほしい。実銃でなくても非日常へタイムスリップできるはずだ。
[プロフィール]
アームズマガジンの編集ライター。エアガンシューティング歴35年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで24年、280冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる。
Twitter:@keno_booska