装備

2021/04/24

【実銃】グロックファミリーの新星「G48」VS「G19」徹底比較!!


 GLOCK(グロック)の数あるモデルの中で、いまやもっともポピュラーなモデルと言えるのが、G19シリーズだ。性能はもちろん堅牢さ、信頼性を備え、適度なサイズでバランスも良好なこの銃の優秀さは、かのFBIやシークレットサービス、そして米軍特殊部隊が制式採用していることでも証明されているといえる。だが、ここでG19の牙城を脅かすモデルが登場してきた。それが、2019年にリリースされたG48とG43Xである。今回はそちらを比較してレポートしよう。

 


 

GLOCK48

 

 

  • 口径:9mm×19
  • バレル長:4.17インチ( 106mm) 
  • 全長:7.28インチ(185mm)  
  • 全高:5.04インチ(128mm)
  • 全幅:1.1インチ(28mm)
  • 重量:18.31オンス(519g)
  • トリガープル:5.25ポンド(2.38kg)
  • 作動方式:ストライカーファイア
  • 装弾数:10発

 

2019年リリースのGLOCK 9mm Slimline

 

 1988年のデビュー以来今日に至るまで、グロック19が世界におけるベストセラーコンパクトハンドガンであることは、間違いない事実であろう。法執行機関 L E の世界でも数年前にFBIがG19MとG17Mを制式採用したのを始めとして、2019年にはUSCBP(United States Customs and Border Protection=税関国境警備局)とUSSS(United States Secret Service=シークレットサービス)がG19とG47(G17のCBPスペシャルバージョン)、そして昨年はUSCG(United States Coast Guard=沿岸警備隊)が、G19 Gen5 MOSを制式採用するなど、フェデラルLEの世界ではグロックの採用ラッシュが続いているのだ。

 

 

  そんなグロックが2019年、新たに“スリムライン(Slimline)”シリーズのコンパクトモデルG48とサブコンパクトモデルG43Xをリリースしたのである。
 G48は“シングルスタック(シングルカアラム)G19”ともいえる存在で、4.17インチ(106mm:G19より4mmだけ長い)バレルで装弾数が10+1発という以外、G19とまったく同じサイズだ。大きく違うのは厚さで、グロックではこのG48&G43Xスリムラインのために、新しいグリップフレームとマガジンを開発している。
 全幅はG48の1.10インチ(28mm)に対しG19が1.34インチ(34mm)、スライドの厚みで0.87インチ(22mm)対1インチ(約25mm)と、数字上は数mmずつの違いでしかないが、実際に握ってみた感じは、その重量(G48:519g、G19:605g)と相まって、その握りやすさや取り回しは大きく異なっている。グリップサイド部分が平ら過ぎる感じはするものの、トリガーまでの距離が短く感じられ(数字上は3mmの差でしかないが)、手の小さい人には、かなり大きな恩恵となるだろう。

 

10連のシングルスタックマガジンを飲み込むグリップ。G43Xとも共通だ

 

 特に両者の差を感じるのは、G48本来の設計コンセプトのひとつでもあるCCW(Concealed Carry Weapon=隠匿携行武器)として実際にキャリーしてみた場合だ。これまで私はアペンデックスキャリー(へそを12時とすると、1時から2時あたりにガンをセットする)なら、自分のキャリーガンG19MOSでまったく不都合はないと考えていた。しかし、G48に触れることでG19の影が急激に薄くなってしまったような感覚に襲われてしまったのだ。こと隠匿性という点で見れば、その性能に大きな差があることは間違いないだろう。

 

フレームとスライドの薄さが際立つG48。G19と比べると、かなりのダイエットに成功している

 

トライアンドエラーを重ねモディファイされたG48

 

 G48のオリジナルである10連のシングルカアラムマガジンは、5年ほど前にリリースされたG43(9mmシングルカアラムの6連で、スリムラインの筆頭モデルとされる)をベースにデザインされているが、互換性はない。口の悪い人は、このマガジンを“1.5スタックマガジン”と呼ぶ。シングルカアラムとダブルカアラムの中間の厚みを持つマガジンという意味だ。実際の厚みを測ってみると、G19の約22mm(マガジン裏中央部分)に対し、G48のは19mmと3mm薄いだけ。.45ACPシングルカアラムのM1911のマガジンが13mmほどなので、この10連マガジンは明らかに分厚いのだ。

 

写真左からG43(装弾数6)、G48(装弾数10)、G19 Gen5(装弾数17)

 

写真左からG43 6連マガジン+VickersTactical +2Extension、G48 10連マガジン、G19 15連マガジン

 

 まあマガジンだけ薄くしても意味はないので、これはこれとして納得はしていたのだが、一昨年末、ものすごいニュースが業界を駆け巡った。社外品ではあるが、Shield Armsからスチール製のG48用15連マガジン“S15”がリリースされたのだ。つまり、G19より薄く軽いグロックプラットフォームに、なんとG19と同じキャパシティを持つマガジンを装着できるようになってしまったのだ。
 この段階では、私は装弾数とレールの有無、そしてシルバースライドであるという単なる好みの問題でややスルー気味だったが、2019年後半にはG48ブラックというモデルがカタログに追加。そして11月になるとShield ArmsからS15がリリースされたのである。私の中では、もうS15をテストしたくてうずうずしまくっていた。なんといっても社外品なので、しっかりとテストしてみないことには実用できるレベルなのかわからないからだ。ところがここカリフォルニア州では、需要の高まりによりガンショップから銃や弾薬が払底し続けており、新しいガンを入手しづらい状況はまだしばらく続くとされている。

 そこで、今回は友人の所有する初期型のG48を借り出して自分のG19と比較テストを実施。とりあえず憂さ晴らし、いや、みなさんにご覧いただこうというのが主眼である。

 

G19 Gen5 MOSの雄姿。スリムなG48を見た後だと、なんだか力強い印象を受ける

 

G48のトリガーガードはG19に比べるとかなり薄くなっている。グリップの付け根部分(中指が当たる部分)は、ハイグリップを可能にするため、もう少し削り上げたいところ

 

マズル周り。残念ながらこの初期モデルではアクセサリーレールはなくなってしまったが、すぐにレール付きのモデルもリリースされた

 


 

 今回はG19との比較を交えつつ、G48の外観のインプレッションをお伝えした。G48のもつコンパクトハンドガンとしてのポテンシャルを感じていただけたと思う。

 さて、次回はいよいよ気になる実射性能のレポートを行なっていく。コンパクトハンドガンの新たな雄の性能とはいかなものなのか、確かめていただきたい。

 

後編はこちら

 

Text & Photos:Hiro Soga

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年5月号 P.132~139より抜粋・再編集したものです。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×