2021/02/07
【実射】オーストリアのセミオートピストル「ステアーGB」の実力
ハンドガンとしてはユニークなガスディレイドブローバック機構を搭載した革新的な銃、ステアーGBはトライアルに敗北、市場での失敗で「不遇の銃」というレッテルを貼られてしまった。だが、実際にはその実力はどうなのだろうか? 今回はその実射レポートを公開する。
実射
ステアーはベレッタほどではないが長い歴史を持ち、そのアキュラシーの高さから絶大な支持を得ている銃器メーカーだ。そのステアーが手掛けたGBは、アルミプレスのフレームに加えトリガーガードにはポリマーパーツを使うなど当時最新の技術が注ぎ込まれており、メーカーの本気度が感じられる。シングルアクションで実射すると、とりわけトリガーフィーリングは抜群に感じ、グロックをはるかにしのいでいる。やや大柄でグリップも良好なので、リコイルをコントロールしやすい。
全弾撃ち尽くしたところで、次のマガジンを叩き込みスライドを引く。今度はデコッキングレバーでハンマーダウンし、ダブルアクションで射撃してみた。
デコッキングレバーの形状はステアーのハンティングライフルに見られるバターナイフのような形状を継承。構えた状態からでもピタリと指になじむ絶妙な曲面形状を持ち、実に心地よく操作できる。ダブルアクションはトリガートラベルが長めとなるが、このGBはシアが切れる直前の感覚が分かりやすい。やはりステアーだけあって細かいところまで気配りが行き届いており、実際に撃ってみると良好な射撃フィーリングを楽しむことができた。
ステアーGBは不遇ではあったが、あのAUGを生んだメーカーの製品だけあって斬新なアイデアが随所に盛り込まれた画期的な銃といえる。操作性のよさなど、銃が持つべき基本要素をしっかり押さえているのも好印象だった。これがトライアルでグロック17に勝っていたら、その後のセミオートピストルの流れは変わっていたかもしれない。
オーストリアのカスタムショップ
VEREX TACTICAL TUNING
最後にお世話になった民間射撃トレーニング施設「エーデルワイス・アドベンチャー」で見せてもらった、オーストリアのカスタムショップ、VEREX TACTICAL TUNINGをご紹介しよう。
こちらでは射撃好きのアーティストがレーザー彫刻やCNC加工などを銃に施し、アーティスティックなカスタムグロックやAR15を作成している。彫刻やペイントはオーダーも可能。ヨーロッパでもこうしたドレスアップカスタムが流行し始めている。
HPに掲載されている作品だけでも見応えがあるので、ぜひご覧いただければ幸いだ。
TEXT & Photos:櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)
Special Thanks to
EDELWISS ADVENTURES:https://www.edelweiss.world/
GIS Tactical:http://www.gistactical.com/
VEREX Tactical:https://www.verex-tactical.com/
この記事は月刊アームズマガジン2021年3月号 P.114~121より抜粋・再編集したものです。