2020/11/17
【実射】ショットガン対決!「UTAS UTS-15」の実力とは?
「UTAS UTS-15」は15連射が可能な上に、軽量かつブルパップデザインによって全長が約72cmしかないという新デザインのショットガンだ。前編のレポートでは、こちらの特徴と弱点に触れた。今回はこれを実射しつつ、ファイアーアームズインストラクターの扱うショットガンと比較、レポートする。
UTS-15 VS ベネリM4
実射には前編で紹介した、現役ファイアーアームズインストラクターであるヴィクター・ロペスに協力してもらった。彼の所有するプライベートレンジを使用し、ショットシェルの違いやそのパターンを踏まえたうえで、UTS-15とヴィクターの愛銃ベネリM4との比較テストを行なった。ショットシェルのパターンテストは、10ヤード(約9m)の距離からSEBシルエットターゲットを撃つ。用意したショットシェルは以下の通りだ。
- PRIME製00バック
直径8mmほどの鉛球が9個入った鹿、もしくは人用ショットシェル。
- ウィンチェスター製バードショット
直径2mmほどの鉛球が無数に入っている。鳥撃ち用。
- フェデラル製00バック
LAPDのデューティアモ。PRIME製と同じく9粒弾だが、よりパターンがまとまるような緩衝材が入っている
UTA-15の様子
PRIME製00バックを1発、ウィンチェスター製バードショットを1発撃ったターゲット。00バックは6インチほどにまとまっているが、バードショットは12~13インチほど広がっているのが分かる。そのうち、80%は10インチ以内に集中している。
ベネリM4の様子
PRIME製00バックを2発、ウィンチェスター製バードショットを1発撃ったターゲット。00バックが4.5~5インチ、バードショットは10インチ以内にまとまった。どちらも同じ18.5インチバレルなので、この違いはマズルにねじ込まれたチョークによるものだとわかる。ベネリM4のストックチョークはモディファイドと呼ばれるもので、その名の通りほんの少し絞られている。そのままの結果が出たといえよう。
またフェデラル製00バックをベネリM4で撃つと、こちらはなんと2.5インチほどに集弾する結果になった。これはフェデラル00バックがフライトコントロールワッドと呼ぶ特別なワッドを使用しており、LE用としては一番タイトなパターンを誇る、と謳われているからだ。同じ銃で撃っているとは思えないほど、大きな違いだ。
インストラクターの感想
ヴィクターはこのテストのためにさまざまなショットガンを持ってきてくれた。それらを一通り比較した上で、彼はこう語った。
「この中で私のチョイスとなれば、やはりその信頼性の高さとセミオートの確実性から、ベネリM4ということになる。デューティアモが決まっている我々にとって、きちんとチューンされたセミオートショットガンの信頼性は抜群だからね。
UTS-15はポリス用に開発されたということだが、ポリスに対する状況が厳しくなってきている現代において、こういった新しいデザインのツールが採用される可能性はかなり難しいね。ショットガンそのものの出番が少なくなってきている上に、ポリスが求める信頼性に到達していないとあっては、無理としか言いようがない」
UTS-15は10発ほど撃ったあたりから排莢不良が起き始め、50発を超えた頃からはほぼ2発に1発の割合で排莢しなくなった。これはうまく排莢できた例だが、エジェクションの勢いはいまひとつだ
これはヴィクターが持ってきてくれた銃の一つ。PDの放出品としてリリースされたレミントン11-87だ。サイクルの速いセミオートとして知られている。排莢の勢いも明らかに違う
理想のショットガン
他にもヴィクターはUTS-15にシビアな感想を述べた。では、ファイアーアームズインストラクターの彼が理想とするショットガンはどのようなものだろうか? 彼はそれについても語ってくれた。
「ベネリM4を16インチバレル化し、10連小型ドラムマガジンが付いたら最高だね。いずれにせよ、パトロールカーへの装備もAR15に変更されたし、ショットガンの出番は減ってきているといえる」
この考えは私も気に入った。モスバーグに5 ~20連のボックスマガジンはあるが、ポンプアクションのみしかない。ドラムマガジンをできるだけコンパクトにデザインしてもらえたら、ショットガンでの3秒以内のマグチェンジが期待できてしまう。これこそ究極のハウスプロテクションガンとなるであろう。
今回のレポートは「月刊アームズマガジン12月号」でさらに詳しく紹介されている。UTA-15の細部やヴィクターの装備なども掲載したので、ぜひご覧いただきたい。
ベネリM4の射撃。重量があるので、撃ち心地はマイルドだ。これを16インチバレル化し、10連小型ドラムマガジンがついたらと思うと胸が躍る
Text & Photos: Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2020年12月号 P.112~119より抜粋・再編集したものです。