2020/11/16
【実射】「UZI VS PM-63」サブマシンガン実射対決!!
前回比較した2挺のSMG「UZI」と「PM-63」はどちらもエポックメイキングな存在であり、後のSMG開発にも大きな影響を与えている。両者ともオープンボルト式であり、シルエットもなんとなく似ている。今回はこの銃たちを実射し、その感触をレポートする。
UZIの実射
さて、早速UZIを実射しよう。カートリッジを一杯に詰め込んだマガジンをグリップに叩き込み、折り畳まれたストックの肩当ての下部を手のひらで叩くとロックが外れ、肩当て部を掴んでぐっと引っ張ればストックが展開して固定される。
ストックを肩に当て、グリップを握る。グリップセーフティがあるため、グリップはしっかり握らないとボルトを引くことができない。コッキングノブをぐっと引くと、結構な重さ。シンプルブローバックなのでスプリングがなかなかきついのだ。ボルトが固定されるまで引いたら、エイミングして射撃をする。トリガーを絞ると重いボルトの前進に伴う慣性の力で、自分も前に引っ張られるような感覚がある。弾が発射されてボルトが後退すると、今度は後ろに引っ張られるような感覚だ。そして銃が重いので、マズルジャンプはほとんどない。これがUZIの撃ち味だ。
実際にストックを展開。案外、素早くできる。筆者はグリップを握った右手は離さず左手でやっていたが、体と腕に挟まれて素早くできない。それよりもグリップから手を放して右手でやった方が確実に素早くできることがわかった
きちんとホールドしないで射撃をすると、セミオート仕様のUZIは完全にボルトが後退しきらずフルオート(暴発状態)になってしまった。この現象を応用してフルオート射撃を楽しもうと、写真のミカエルと筆者は挑戦してみたが、しっかりホールドする癖が抜けず、結局フルオート状態は再現できなかった……
PM-63の実射
続いてPM-63を撃つ。最初はストックとフォアグリップを展開し、しっかり保持した状態で射撃する。PM-63のストック肩当て部は折り畳むとロアフレームの後部にすっきり収まるデザインとなっている。ストックを展開する際はまずストック本体を引っ張り出し、肩当て部分を上に270度回転させて固定する。ストックの展開は、やはりUZIの方が素早くできるだろう。フォアグリップは引っ張り出すだけで、90度回して固定される。
弾を詰め込んだマガジンをグリップの下から装填し、スライドを一杯に引く。こちらはUZIと違って、こんなモノでいいのか? と思うほど軽く感じる。スライドは後退位置で固定されるので、ストックを肩に押し当て構える。スライド後退位置との関係を把握しやすく、射撃時の恐怖感はない。
このPM-63をはじめ、スライドが激しく前後動するマシンピストルは、スライド後端が鼻や目に飛び込んできそうで怖い。写真を見ても、ミカエルの眼鏡のかなり近い所までスライドが接近しているのがわかる
PM-63は後退位置からの射撃となるので、リアサイトはスライドの中央寄りに配されているが、それでも焦点を合わせづらい。さらにスライドが激しく前後するため、連射時のエイミングは難しい。
撃ち始めると、9mm×18マカロフということもあり、リコイルは心地よい。続いて、ストックを引っ込めて左手でフォアグリップを保持し、腰だめで撃ってみる。射撃時にスライドが動くため、身体に当たる怖さはある。身体に当たると痛いのもあるが、実戦ならスライドが後退しきらずマルファンクションを誘発してしまうと、再度コッキングしなければならず命取りになるだろう。
ストックやフォアグリップを畳んでピストルのように射撃。両手保持に加え、写真のようにフォアグリップをハンドガードのように保持して撃つこともできる
まとめ
青春時代の映画や現実世界での活躍を見て憧れたUZIと、ユニークな外観やリコイルの心地よさが魅力的なPM-63。いずれも半世紀以上前の東西冷戦期に設計され、マガジンハウジングがグリップにあり、さらにオープンボルト式という共通項はある。しかし、撃ち比べてみることで、大きく異なる2挺の個性を楽しむことができた。「月刊アームズマガジン12月号」ではこれらの銃の写真を数多く掲載。また他のライターが紹介する実銃記事もあるため、ぜひそちらもご覧いただければ幸いだ。
この記事は月刊アームズマガジン2020年12月号 P.120~127より抜粋・再編集したものです。