2020/10/17
【実銃】エキスパート向けの銃を撃ち比べ!!「GRAND POWER Q100 VS K100/P1」
中欧スロバキアの銃器メーカー・グランドパワーのポリマーフレームオートK100は、あのSTIが認めたほどのすばらしいトリガーフィーリングを備え、コストパフォーマンスの高さが人気を呼び、さまざまなバリエーション展開がなされている。今回ご紹介するQ100はK100をベースにストライカー式としたものだ。両者を比較し、その魅力をレポートする。
グランドパワーのハンドガン。上からK100、Q100、P1
その銃の性格は、トリガーを引くと分かる。セミオートマチックピストルの場合は、弾は入れずにコッキングしトリガーを絞って空撃ちする。そうするとトリガーがシアを解き放つ瞬間までの距離、シアが切れる感触や重さを感じられる。トリガーを絞った指はそのままで、スライドを再度引いてコッキング。ゆっくりトリガーを戻していくと、カチッと感触が伝わる瞬間がある。それがトリガーリセットで、その位置から再び射撃できる。その距離が短いとダブルタップ、連射がしやすいのだ。また、ターゲットに銃口を向ける動作や反動の制御といったコントロール性においては銃の重さが肝心となってくる。
つまり、競技向け、あるいはエキスパート向けのセッティングは、銃本体はある程度の重さがあり、トリガーは軽くてキレがよく短いトリガーリセットにする、ということになる。例えば、先月号でご紹介したベレッタ92XPERFORMANCEなどは重いスチールフレームとアジャスタブルトリガーを持ち、まさに射撃のエキスパート向けの銃といえよう。そちらのレポートはWEBでも公開しているので、ぜひご覧いただきたい。
中欧スロバキアの銃器メーカー・グランドパワーは、競技向けのピストルメーカーであるSTIが自社ラインアップに入れたことで注目を集めた。そのラインナップに加えられたK100をベースとして、ストライカー式を採用したハンドガンがQ100だ。
GRAND POWER Q100
- 使用弾:9mm×19
- 全 長:202mm
- バレル長:108mm
- 重 量:760g
- 装弾数:15発
ストライカー式を採用したことでスライドが新設計となり、ハンマーがなくトリガーおよびセーフティ周りが変更された点を除けば、Q100の外観的な特徴はK100とほぼ同じで、K100からハンマーをなくしただけ、というようなデザインである。グリップはモジュール式となっており、射手の手のサイズに応じて簡単に交換できる。Q100をラインアップしたのは2年ほど前であり、実は筆者もまだ撃ったことがないので、ぜひ試してみたくなった。どうしたものかと考えていたところ、取材で一緒だったハンガリーのディストリビューターが「うちにあるからそれを撃てばいいよ」と、後日射撃をセッティング。Q100に加え比較用にK100(初期型)も用意してくださった。
GRAND POWER K100
- 使用弾:9mm×19
- 全 長:202.5mm
- バレル長:108mm
- 重 量:740g
- 装弾数:15発
こちらがK100。グランドパワーの歴史はこのK100から始まった。最大の特徴は、その抜群のトリガーフィーリングといえるだろう。今回撮影したモデルは初期型でテイクダウンレバーがなく、テイクダウンの際にはトリガーガードの前方を下げることでスライドがフレームから解かれる。STIは、かつてIPSCにおけるプロダクションディビジョン(いわゆる「箱出し銃」を使う競技)向けピストルとして、自社開発ではなくこのK100を輸入し、STI GP6として販売したことがあり、このことでグランドパワーは知名度を高めることになった。
フレームの比較(左がK100、右がQ100)。一見して、リコイルスプリングがまったく異なっていることがわかる
下側から見たスライドの比較(上がQ100、下がK100)。バレルは色違いだが構造は同じ。後部の撃発機構を収めたブロックはハンマー式とストライカー式の違いが見て取れる
GRAND POWER P1
- 使用弾:9mm×19
- 全 長:187.5mm
- バレル長:93mm
- 重 量:690g
- 装弾数:15発
スタンダードのK100からバレルを15mm短くしたコンパクトモデルがP1だ。フレームはK100と同サイズで装弾数も15発と同じ。写真のモデルは現行型のK100と同様テイクダウンレバーを装備している。今回はK100と共に、このP1も用意した。「月刊アームズマガジン11月号」では、これらの銃の写真をさまざまな角度から撮影し、細部まで紹介している。手に取ってご覧いただければ幸いだ。後編のレポートではいよいよ実射を行なう。Q100とK100の比較レポートをぜひ、ご覧いただきたい。
Text & Photos: 櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)
Special Thanks:Steiner Scenics Armourers SFX Kft.
この記事は月刊アームズマガジン2020年11月号 P.136~143より抜粋・再編集したものです。