2020/08/15
「CZ P-10F & P-10C」の驚きの実力を実射検証
2018年にリリースされたCZ-USA社初のストライカーファイアとなるP-10シリーズはグロックキラーの称号で、じわじわと注目を集めている。前回の記事では、P-10FとP-10Cの特徴を紹介した。今回はその実射テストの様子をお届けしよう。
今回の実射は、在庫の9mm弾をかき集めて、精度テストと各距離での撃ちやすさを試してみた。第一印象は「これはダブルタップが撃ちやすいな」というもの。もっと撃ち込んでみないと正確な理由は判らないが、とにかく2発の着弾がいつもより近い。自分が上手くなったように錯覚してしまいそうだ。ナチュラルなグリップアングルと、優れたトリガープル/リセットによるものであろう。発射後、フロントサイトが思った場所に戻ってくるため、再アジャストする必要がなく、そのままトリガーを引けばいい。
P-10Cのトリガープル(10回の平均)は3ポンド2.5オンスであった。キャリー用としては軽すぎるくらいだ。ストライカースプリングを軽いものと交換し、各部をポリッシュしただけだという
対するグロックGen.5のトリガープル。撃つほどにスムーズになっていき、ここまでになった。新品の頃は4.5ポンド強だった
さらに驚いたのは、その精度だ。今回のアモはデューティアモとしてポピュラーなFederalの147グレインHST、そして精度には定評のあるPrimeの124グレイン・ヘキサゴンを、15ヤード離れたターゲットに5発ずつ撃った。
P-10Fは、フェデラル147グレインが1.75インチ、プライム124グレインが1.5インチと健闘した。驚いたのはP-10Cの方だ。フェデラル147グレインが.0.8インチ、プライム124グレインが1.25インチに集弾してしまったのだ。箱出しの4インチバレルでこの精度はすごい。デイヴィッドは、まだ500発ほどしか撃っていないといっていたので、この精度がどのくらい維持できるのか、興味深いところだ。
その後も50ヤードや、ローレディポジションから10ヤードで3秒6発、リロードしてチェストに2発、ヘッドショット2発など、いろんなシチュエーションで撃ってみたが、すべてグロックと同等か、場合によってはそれ以上のスピードと精度で撃ちきってしまった。
P-10Cの実射
フルリコイルの様子。やはりフルサイズよりはマズルライズ(銃口の跳ね上がり)がキツイ。グルーピングを見ると、4 発はほとんどワンホールだ(アモはフェデラル147グレインHSTを使用)
P-10Fの実射
こちらは暴れる感はまったくなく、撃ちやすい。グルーピングは1.75インチ。もう少しまとまりそうだ(アモはフェデラル147グレインHSTを使用)
最後に王者グロックと比べ、P-10が優れていると思われる点と劣っている点を列挙してみる。
優れている点
- より人間工学的に優れたグリップのデザインとそのアングル。特に深くえぐられたバックストラップ上部とビーバーテール部分の造形は秀逸
- クリスプかつスムーズなトリガープルとその短くはっきりとしたリセット
- 上記2点の結果だと思われるが、発射時のマズルの戻りが速く、より正確なセカンドショットが撃てるため、ダブルタップ(2連射)の精度が高い
- アグレッシブな前後セレーションとスライドのシェイプにより、スライドが引きやすい
- 弾薬にもよるが、ストックのままでも精度が高い
- 価格が安いP-10Cのストリートプライス(実勢価格)は400ドル台前半なので、グロックとの価格差は100ドルほど
劣っている点
- グロックより部品点数が多い
- ロールピンが3か所も使われている
- リリースされて2年、まだタイムプルーフされているとは言い難い
- カスタムパーツが豊富とは言えない
と、ここまで書いていて考えてしまったのだが、この「劣っている」点、実用上は問題のない点ばかりともいえる。耐久テストをしたわけでもないので、信頼性に関しては未知数だが、このまま壊れずジャムらず撃ち続けることができるなら、これはもうグロックも危うし、といえるのではないだろうか。ぜひとも長期テストをしてみたいところだ。
WEB版ではかいつまんだレポートになったが「月刊アームズマガジン9月号」ではこの実射比較の詳しいレポートが掲載されている。ぜひ、お手に取ってチェックしていただきたい。
Text & Photos: Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2020年9月号 P.134~141より抜粋・再編集したものです。
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