2020/07/16
【実銃】「.38スペシャル VS .380 ACP」ポケットキャリー対決!
前回の記事では.45ACPと9mm、二つのポピュラーな弾丸を撃ち比べてみた。今回はセルフディフェンスガンとしてその存在は常に意識させられる小型コンシールドウェポンに注目し、レポートしてみた。
Mitch Rosen PSF ホルスター(上)/ De Santis Pocket-Tuk ホルスター(下)
Tシャツで過ごすことが多くなるこれからの季節、ジーンズのフロントポケットに収めることのできる小型のセルフディフェンスガンの存在がクローズアップされてくる。いわゆる、ポケットキャリーガンのことだ。
昨今の流行りとして9mmルガー口径のマイクロコンパクトと呼ばれる魅力的なモデル(SIG社の“P365”や、スプリングフィールド・アーモリー社の“ヘルキャット”等)もあるが、フルロードの重量やリコイルのキツさからいうと、やはり万人向けとは言い難いハードルがある。
そこで今回は、ジーンズのフロントポケットに難なく収まり、撃ちやすさも兼ね備えた.38スペシャル口径のリボルバー“S&W M640”と、最新モデルではないがその安定感に定評のある.380ACP口径のセミオート“SIG P230”を取り上げ、比較してみようと思う。
.38スペシャル
.38スペシャル、別名.38 Smith & WessonSpecial 9×29.5mmRは、1898年に.38ロングコルト口径の後継カートリッジとして開発され、1920年代からはほぼ全米のポリスデパートメントが制式採用するリボルバーのデューティアモとして、長い間定番ともいえる存在であった。
.38スペシャルとは呼ばれているが、実際の口径は0.357インチ(約9.07mm)である。その銃口エネルギーは約240フィートポンドだが、典型的な9×19mm口径が333フィートポンドとなり、その差は歴然たるものがあるといえる。
使用する銃はS&W M640、全長160mm、高さ110mm、厚さ33mm、銃身長46mm。グリップはHerrett製ウォルナットグリップをちょん切ったモノだ。
1991年製。シリアルナンバーからごく初期の頃に作られたモデルであることがわかっている。この初期モデルでは1 7/8インチ(約46mm)がスタンダードで、ほかに3インチのモデルもあった
.380ACP
パフォーマンス上の比較として今回、使用した銃弾はフェデラル 90グレイン・ハイドラショック .380ACPだ。ハイパフォーマンスをうたってはいるが、銃口エネルギーは200フィートポンドに過ぎず、.38スペシャルと比べるとやや低い数値にとどまっている。とはいえ、ハンドガンの威力、効能というのはこれらの数値だけで測りきれるものではなく、その用途やコンシーラビリティ(秘匿性)、そしてストッピングパワー、ペネトレーション(貫通力)、エクスパンション(着弾時に弾頭が変形する度合い)といった要素のバランスが決め手となってくるからだ。
この銃弾を放つ銃は、SIG P230。全長170mm、高さ120mm、厚み30mm、銃身長91mm。1977年にリリースされたダブル/シングル・アクションセミオート。ヨーロッパスタイルのボトムロックマガジンリリースを備えている。時代を感じる部分だ。
ダブルアクションもスムーズだが、シングルは3ポンド弱でクリスプに切れる。あまり撃ちなれていない人が撃つと、左手がすっぽ抜ける。かわいい.380ACPらしからぬリコイルだ
後編のレポートでは、この二つの銃を使って実射比較を行う。データの上では、威力が大きいのは.38スペシャルのように見える。だが、実際に物を撃ったときにどのような衝撃を両者はもたらすのだろうか?
詳しいレポートは「月刊アームズマガジン8月号」に掲載されている。ぜひ、チェックしてほしい。
この記事は月刊アームズマガジン2020年8月号 P.118~125より抜粋・再編集したものです。
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