2021/01/15
【実銃】珠玉のマイクロコンパクトガン「SIG SAUER P365」前編
今回紹介する実銃は「SIG SAUER P365」。全長148mm、全幅27mmしかないマイクロコンパクトガンにして、9mm口径で10+1の装弾数を持つポケットピストルだ。2018年のリリース当初はファイアリングピンの不具合が指摘されるなど、順風満帆のスタートとは言い切れなかったが、タイムプルーフされた現在では珠玉の E D C ガンとして人気を博している。今回はその魅力を実射を交えてレポートしよう。
SIG SAUER P365
- 口 径:9mm×19
- 全 長:147mm
- バレル長:78mm
- 重 量:500g
- 装弾数:10発
- 全 幅:25mm
- 全 高:109mm
- グリップ幅:25mm
- マガジン幅:21mm
珠玉のマイクロコンパクトCCW
2018年にSIG SAUERからリリースされたP365は、装弾数10、12、15発のマガジンを装填可能なマイクロコンパクトカテゴリーに分類される、ポリマーフレーム/ストライカーファイア方式のセミオートピストルである。当時圧倒的に人気だったグロックのG43(9mmの6連発コンパクトセミオート)が堅持するベストCCW(Concealed Carry Weapon)の領域を一挙に覆してしまったとも言われる、人気モデルなのだ。
その理由はいくつかあるが、まずは何といってもマガジンキャパシティであろう。P365のスタンダードである10+1発に対して、G43のそれは6+1発でしかない。同時にリリースされたエクステンデッドマガジンベース付きの12連マガジンを使用すると、G43とはそれほど変わらない大きさで、なんと2倍の装弾数を持っていることになる。
SIG SAUERによると、P365の開発に際してまずこの画期的な超小型10連マガジンを設計。このマガジンをベースにマイクロコンパクトガンとして極限の隠匿性と撃ちやすさを両立させるべく、グリップから内部機構、そしてスライド、ファイアリングコントロールといった他の部分をデザインし、熟成させていったのだという。まさに“はじめにマガジンありき”のマイクロコンパクトガンだったのだ。
そしてP365のもうひとつの魅力が、その精度と、トリガープルコントロールのしやすさだ。P365は基本ほとんどの種類の弾でも問題なく発射でき、15ヤードで2インチ以下の精度を保証してくれる。次はその実射レポートをご覧いただこう。
実射
15ヤードの距離からレストに委託させた状態で、Speerの147グレインG2とFederalの147グレインHSTを5発ずつ撃ち、うち4発のグルーピングを計測した。テストした日は風が強く、グルーピングが散り気味ではあったが、マイクロコンパクトガンとしては充分以上の精度を発揮した。
私の入手以来、18カ月ほど使い込んでいるP365のトリガープルは5.5lb。特にカスタムせずとも、このままでも何ら支障なくキャリーガンとして使用できる。サイトは前後ともにトリチウムのインサートが入った3ドットシステムで、フロントサイトにはグリーンの縁取りが入り見やすくなっている。
今回使用した2種類のアモはどちらも法執行機関の制式に選ばれている重量147グレインのハードコアな弾なので、当然のことながらリコイルはきつい。それでも太めのバックストラップがリコイルを分散してくれる。また、グリップの角度とデザインがいいため、グリーンに縁どられたフロントサイトがきれいにターゲットに戻ってくるという性質を持っている。理想的には、ポケットホルスターに収めて右前ポケットに入れるか、アペンデックスホルスターに収めて右腰骨の前あたりに吊っておくというのがよさそうだ。
さて、そんな珠玉のコンパクトガンであるP365だが、実は最近、SIG SAUERのエアソフト部門SIG AIRからリリースされたCO2 パワーのエアガン「SIG AIR P365 BB」がある。そちらのレポートもご覧いただければ幸いだ。
SIG AIRのCO2パワーエアガン「SIG AIR P365 BB」のレポートはこちら
Text & Photos: Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2021年2月号 P.122~129より抜粋・再編集したものです。