2021/02/27
第10回:ソーコムMk23固定スライドガスガン【再注目! 東京マルイ名銃コレクション】
東京マルイの製品の中から歴史的な1挺を紹介していく「再注目! 東京マルイ名銃コレクション」。第10回目は固定スライドガスガン「ソーコムMk23」だ。なお今企画は動画でも同時公開されている。少し毛色の違ったそちらもぜひご覧いただきたい。
ソーコムMk23固定スライドガスガン(以下ソーコム)は、東京マルイをはじめとした各社からガスブローバックガンのラインアップが充実し始めていた2002年11月に発売された。1980年代半ばに登場した固定スライドガスガンは、当時主流だったエアコッキングガンに比べて連射が可能で命中精度が高く、シンプルな構造で価格もリーズナブルなことから瞬く間に人気となった。しかし、1980年代後半からガスブローバックガンが出現し、ガスブローバックガンのレベルが上がるにつれて固定スライドガスガンは各社のカタログから消えていった。
固定スライドガスガンはガスブローバックガンに比べてブローバックしない、リコイルショックが体感できない、ダブルアクショントリガーなので連射しにくいといったデメリットはあるものの、ガスの消費率が低く、安定した初速と高い命中精度、作動音が低くサイレンサーの効果を発揮させやすいといったメリットがある。そうしたトイガンとしての実用性を最大限に引き出したのがソーコムだ。
発売以来、サバイバルゲーマーから根強い支持を受けているソーコム。その特徴は唯一無二の内部構造にある。固定スライドガスガンの内部構造は、トリガーに連動したハンマーがマガジン(もしくはガスタンク)にあるガス放出バルブを叩き、BB弾を発射するというもの。これを基本としてどのようにしてBB弾をチャンバーへ装填するのかによって2種類に分類できる。ひとつはトリガーの後退に伴ってインナーバレルが後退してBB弾をチャンバーに装填するもの(バレル後退式)。この方式は構造がシンプルで固定スライドガスガンではもっとも一般的だ。もうひとつがインナーバレルが固定され、マガジン上部に設けられたトリガーにあわせて前後動するノズルによってBB弾をチャンバーに装填するもの(バレル固定式)。この方式はパーツ構成がやや複雑になるものの、インナーバレルが固定されるので、バレル後退式に比べて高い命中精度が期待できる。
ソーコムはバレル固定式なのだが、トリガーと連動して前後動するガスブローバックガンのシリンダーのような形状をしたノズルユニットを設けることでBB弾をチャンバーに装填する方式を採用している。マガジンはガスブローバックガンのような形状をしており、マガジンからチャンバーへのガスの流入ルートはガスブローバックガンのそれと同じだ。こうした構造を採用したことにより、スライド固定式ながらスライドを引いてハンマーがコックできるギミックの搭載が可能になった。さらに他のスライド固定ガスガンに比べて簡単にスライドの着脱ができる。インナーバレルには可変ホップアップシステムが採用され、高い命中精度を生み出している。
HK45タクティカルやFNX-45タクティカルといった特殊部隊向けハンドガンの元祖であるソーコム。口径も.45ACP、ダブルカアラムマガジン、ダブルアクショントリガー、デコッキング/コックアンドロック機能、サイレンサーが装着なバレル(=スレーデッドバレル)、アンダーレール付き(ただしソーコムは専用規格)など共通項は多い。外観はUSSOCOM(アメリカ特殊作戦司令部)向けに開発されたヘッケラー&コックのMk23ソーコムピストルの中でも開発プログラム初期に製作された「フェーズⅠ」を再現。実銃同様にコックアンドロックできるほか、スライドストップがマニュアルセーフティの役割を担っている。マガジンの装弾数は28発。高い消音効果を発揮する専用サイレンサー、専用規格のアンダーレールに装着される発光ギミック付きL.A.M.(レーザー・エイミング・モジュール)、専用ハードコンテナ・ガンケースが付属している。どちらかといえばチープなイメージのある従来のスライド固定ガスガンとは一線を画す完成度を有している。
今となっては数少ない固定スライドガスガンであるソーコム。トイガンとしての機能性、実用性に徹した作りはまさに名銃にふさわしい。これからも多くのサバイバルゲーマーに支持されることだろう。
DATA
- 全長:245mm/427mm(サイレンサー装着時)
- 重量:850g(マガジン含む)/1,200g(フル装着時)
- 装弾数:28発
- 価格:¥15,800
- お問い合わせ先:東京マルイ
TEXT:毛野ブースカ