2020/12/27
第8回:ボルトアクションエアライフルVSR-10プロスナイパーバージョン【再注目! 東京マルイ名銃コレクション】
東京マルイの製品の中から歴史的な1挺を紹介していく「再注目! 東京マルイ名銃コレクション」。第8回目はボルトアクションエアライフル「VSR-10プロスナイパーバージョン」だ。なお今企画は動画でも同時公開されている。少し毛色の違ったそちらもぜひご覧いただきたい。
20年近く前、エアコッキング式のボルトアクションライフルと言えばタカトク(マツシロ)のSS9000/スーパー9(1980年代後半に登場したBB弾仕様は丸越のUX-9)か、マルゼンのAPS-2であった。ボルトアクションライフルを再現したエアガンが少なく選択肢が限られているという事情はあったものの、ボルトを引いてピストンをコッキングするシンプルな構造とカスタマイズのしやすさから根強い人気を誇っていた。そんな二強体制の牙城を崩したのが、東京マルイのVSR-10シリーズだ。
VSR-10は2003年年末に発売され、今回紹介するプロスナイパーバージョンとリアルショックバージョンが同時にリリースされた。当時から多くの製品ラインアップを誇っていた東京マルイだが、ボルトアクションライフルのエアガンはVSR-10が初めて。そのため発売当時は19,800円という低価格とあいまって大変話題になった。ちなみに2000年代前半の東京マルイは、このVSR-10を筆頭にガスブローバックガンのハイキャパ5.1ガバメントモデル、電動ガンハンドガンタイプのG18Cをリリースするなど、エアガンの歴史を変えたロングセラー商品を続々と開発、世に送り出していた。
VSR-10はモチーフとした実銃が存在しない、今でいう架空銃だ。レミントンM700などのポピュラーなボルトアクションライフルのスタイルを取り入れているものの、あくまでも東京マルイのオリジナルデザインだ。今でこそメーカーオリジナルのエアガンは人気があるものの当時は今よりもリアル志向が強く、誌面レポートでVSR-10のことを「オリジナルデザイン」と表現することに対して抵抗感があった。そのため、ちょっとお茶を濁したような書き方をした記憶がある。
しかし、そんな外観に対するネガティブなイメージを払拭したのは、期待を裏切らない実射性能の高さだった。エアコッキングガンと電動ガンで培った可変ホップアップシステムに加えて、特にプロスナイパーバージョンは作動音と発射時のブレを抑えるシステムがシリンダー内に搭載。現在でもトップクラスの命中精度を発揮する。ピストンストロークを確保するためにチャンバー部分をマズル寄りにしてシリンダーがアウターバレルに入り込むようなデザインを導入。レシーバー部分のデフォルメを極力抑え、実射性能との両立を図った。さらにシリンダーサポートリングの採用によりスムーズなコッキングを実現している。構造はエアコッキングガンとしてはオーソドックスでシンプル。それゆえに実射性能を突き詰めることは難しい。しかしそれを東京マルイはVSR-10でやってのけたのだ。
あらためて外観を見ると、オリジナルながら実銃をモチーフにしたかのようなスタイルで、ブラックアウトされたスリムなストックは構えやすく、軽量さとあいまってハンドリングしやすい。ノーマルはオープンサイト仕様なのでライフルスコープを装着する場合は別途マウントベースを購入する必要がある。フォアエンド部分に収まるボックスマガジンの装弾数は30発。低価格ながらトリガープルやストロークが微調整でき、精密射撃にも対応している。
「当って」「動いて」「壊れない」ことがエアガンの三大原則と考えている私にとって、東京マルイのVSR-10はそれを地で行くエアガンだ。VSR-10以後に製品化されたL96 AWSやM40A5はVSR-10とは真逆のリアル路線を進んでいる。それはそれでいいのだが、東京マルイのエアコッキング式ボルトアクションライフルの礎を築いたVSR-10を、今こそモジュラーストックやM-LOKフォアエンドを採用した最新版にアップデートしてもいいのではないだろうか。
DATA
- 全長:1,075mm
- 重量:1,923g(空マガジン含む)
- 装弾数:30発
- 価格:¥19,800
- お問い合わせ先:東京マルイ
TEXT:毛野ブースカ