2026/11/08
オールド・ モデルガン・ アーカイブ:CMCからひとつかみ【後編】
CMCは第一次ガンブームの頃に創業した老舗のモデルガンメーカーだった。エアソフトガンは一切作らず、エアソフトガンが台頭してきた1980年代中頃に解散してしまったが、模型寄りのリアル志向な製品は多くのファンを魅了した。そんなリアル派のCMC製品の中にも、冒険したなあと思わせるようなモデルが存在した。今回はそんな意外性のあるCMC製モデルガンをひとつかみ。
CMC
WALTHER PPK(1974年)
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PHOTO BY Keisuke.K
脱「指アクション」PPKの最初の一歩!
1971年の第一次モデルガン法規制でハンドガン人気はガタ落ちとなった。一方で新機軸のブローバックは大好評。ハンドガンでもブローバックであれば売れた。そんな中、CMCはラーマで中型ブローバックがイケることを確信すると、いよいよ人気モデルを手がけることにする。
まずブローニング380が実銃に準じたリアルメカ、リアル外観で1973年に発売された。そして7カ月後くらいの1974年にワルサーPPKの発売予告が専門誌広告に載った。
PPKは、MGCの指アクションPPKがあり、あまりに大人気で、大ヒットで、他社が手を付けられないでいたモデル。コピー品も出回っていたし、新たに作られた指アクションのPPKでさえ、ファンからニセモノ呼ばわりされることもあるほど。それならば指アクションではなく、リアル志向で作れば良かったのに思うのだが、PPKは大型拳銃のP38と同等のメカニズムが中型というかポケットサイズの拳銃に詰め込まれているわけで、技術的に難しかったらしい。コスト的にもそうだったのだろう。手間はP38と変わらないか、小さい分それ以上かもしれない。そこに踏み込んだのがCMCだった。CMCが六人部登さんに依頼したらしい。
当然PPKはブローバックでなければならなかった。しかもMGCのPPKの価格とあまりにかけ離れていては勝負にならない。六人部さんは1969年、マルゴーのPPを設計した際に使用した.22口径の無可動実銃のPPのデータなどを参考に、設計を進めた。
完成したPPKは、リアル志向ではあったものの、マルゴーのPP同様、ダブルアクション機構やデコッキング機構、残弾指示ピンなどが省略されていた。しかし発売されるとブローバックだったことが功を奏し、市場には好意的に迎えられた。最初は動きが硬いものの、すり合わせが終われば快調にブローバック作動したことと、比較的手頃な価格だったこともあって、大ヒットになった。
DATA
主材質:亜鉛合金ダイカスト、ABS樹脂(グリップ)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングプレート
作動方式:手動(スタンダード)、ブローバック
カートリッジ:ソリッドタイプ(スタンダード)、オープンタイプ(ブローバック)
使用火薬:平玉紙火薬1〜3粒(ブローバックは3粒)
全長:150mm
重量:560g
口径:7.65mm(.32口径)
装弾数:7発+1(薬室内)
発売年:1974年
発売当時価格:
5,000円(スタンダード)、
6,500円(ブローバック)、各カートリッジ7発付き
※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。
CMC
WALTHER GSP(1979年)
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PHOTO BY Keisuke.K
まさかの本格的標的射撃競技専用銃でしかもブローバック!
1977年12月1日、ついに恐れていた第二次モデルガン法規制が施行された。金属製モデルガンの銃身分離タイプ、全面禁止(販売目的の所持禁止)だ。プラスチック製以外、大半のモデルガンが規制対象となった。長物も対象だったが、各メーカーはレシーバーとバレル基部を一体で作り直し、どうにか復活させた。一方オートマチックハンドガンはそうはいかず、多くが姿を消してしまった。
CMCは長物を規制対応型にリメイクしつつ、すぐにプラスチック製へ移行することなく、スタームルガーなどのバレル&レシーバー一体形の新規金属オートマチックを作り続けた。1979年に発売したのが標的射撃競技専用銃のワルサーGSPだった。
標的射撃競技をやる人にとってはメジャーな銃だったに違いないが、ボクのようなミーハーガンファンはほぼまったく知らなかった。そんな銃をなぜ?
2000年代に入って間もない頃、GSPの原型製作を手がけた六人部登さんにその質問をぶつけたことがある。すると、銃器関係の洋書を読んでいた時に偶然見つけてひと目で気に入り、CMCに提案したところ「おもしろい、すぐにやりましょう」という返事があったのだという。
バレルとレシーバーを一体で作ることができるので、法規制に抵触しない。必須となっていたブローバックも、実銃がシンプルブローバックなので問題なし。
ただ、その時、六人部さんの手元には資料の洋書と、実銃のグリップだけがある状態だったという。そこでドイツの床井雅美さんに連絡を取り、実銃の取材を依頼した。
そしてGSPはCMCらしく、可能な限り実銃に忠実に、リアルに作り上げられた。全長30cmの大型銃。重量も1kgを優に超え、パーツ点数は79点にも及ぶ精巧な作り。モデルガンとしては破格だ。ただ一般的なガンファンにとっては、超マイナーな銃だった。
DATA
主材質:亜鉛合金ダイカスト、輸入木材(グリップ)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングプレート
作動方式:バレルフロントファイアリング方式ブローバック
カートリッジ:オープンタイプ
使用火薬:平玉紙火薬3粒
全長:30cm
重量:1,200g
口径:.22ロングライフル(LR)
装弾数:5発
発売年:1979年
発売当時価格:18,000円(カートリッジ5発付き)
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。
※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。
※金属製ハンドガンは、経年変化等によってめっきの金色が取れると銀色と判断されて法規制の対象となることがあります。その場合は黄色や白色、または金色の塗料を塗るなどの処置が必要です。
TEXT&PHOTO:くろがね ゆう
この記事は月刊アームズマガジン2026年12月号に掲載されたものです。
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