エアガン

2026/10/12

トイガンメーカーに聞くハンドガンの作り方&選び方

 

 

 エアガン、モデルガンを問わず毎月トイガンメーカーから数多くのハンドガンが発売されている。その陰にはトイガンメーカーならではの機種選定の過程や、製品化までの苦労があるはずだ。ここでは日本を代表するトイガンメーカーにハンドガンの選び方、作り方を伺ってみた。

 

質問事項

(1)機種選定はどのように行っているのですか?
(2)開発から製品化まで、特に大変なこと(大変だったこと)を教えてください。
(3)今、お薦めするハンドガンをお知らせください。
(4)今後のラインアップの予定を教えてください。

 


 

タナカ

https://www.tanaka-works.com/

 

(1) 弊社では「実銃としての魅力」をまず第一の軸に選定を進めております。単に人気の高い銃を選ぶのではなく、メカニズム的に再現しがいのある「タナカワークスらしさ」を発揮できる機種を優先しています。加えて、国内海外での実銃トレンドも参考にしながら、開発・営業など垣根を取り払い、候補を絞り込んでいく形です。


(2) いちばん苦労するのは、やはり日本国内の法規制に適合させながら「タナカワークスらしく」実銃同様の可動ギミックを再現する部分です。トイガンは樹脂で製作しているため、スチール製の実銃と同じ形状に起こしただけでは正しく動作しません。強度と可動感のバランスを取るために、何度も試作を重ねる必要があります。
 また、試作段階ではうまくいったとしても、金型製作後のテストショットで品質にばらつきが出てしまうといったトラブルも起こります。開発が長期化した案件では、素材選定のやり直しや、耐久テストでの想定外の破損など、地道な検証の積み重ねが続きます。
 さらに弊社は、手間やコストがかかることから他社では採用例の少ない「木製品」や「メッキ製品」を主軸のひとつにしていることもあり、独自の苦労も多くあります。

 

(3) ガスガンですと「PEGASASⅡコルトSAA」シリーズ、モデルガンですと『S&W M29 No Dash 4screw 6.5inch HW モデルガン』がお薦めです。

 

(4)ライノリボルバーガスガン・モデルガン、ルガーP08ガスブローバックガン

 

ガスリボルバーとしては驚異的な命中精度とリアルな作動フィーリング、高い耐久性を実現したPEGASASⅡコルトSAA。まさにSAAシューターの夢が叶った1挺だ

 


 

ハートフォード

http://www.hartford.co.jp/

 

(1) 社名(ハートフォード)が示すように当社は設立当初よりコルト社、特に古き良き西部開拓時代前後の銃を中心に機種選択をしています。特にコルトSAA45 モデルガンのバリエーション展開に力を入れています。


(2) 開発過程で機種が決まったあと実銃の採寸をどうするかはまず最初の「大変」になると思います。モデルガンは「一分の一の模型」というコンセプトから正確な採寸作業はとても大事です。特に西部時代のオールドガンは価格が高いものが多く、現地、特に米国でこなれた価格のものを探して購入、採寸します。採寸後、次の「大変」はそれらのデータを基にしたモデルガン設計です。鉄(ほとんどのオールドガンの場合)で出来た実物とは違い硬度の低い亜鉛ダイキャストや樹脂にコンバートする設計作業は「大変」です。


(3) 当社はモデルガンに軸足を置いた製品開発をしてします。その中でも組み立てキットの分野に精力的に取り組んでいます。組み立て工程を省くことで価格的に抑えられ、同時にメカニズムの理解に大いに役立つと考えているからです。


(4) 短期的には以下の再販及び新製品の予定があります。コルトSAA45シェリフス、コルトSAA45 バントライン・スペシャルモデル、コルトM1860アーミーオールシルバー、コルトM1860コンバージョン・ギャンブラースモデル、コルトホイットニービル・ドラグーン、コスモガン。長期的にはHK P7-M8、コルトナンバー2 デリンジャー、ニューモデルアーミー・ガスガン再販

 

ハートフォードはモデルガンメーカーの中でも組み立てキットを、手頃な価格でコンスタントにリリースしている貴重なメーカーだ。写真はFDCベーシック・キット

 


 

A!CTION

https://modelgun-action.com/

 

(1) 当社の場合の候補選定は、3つのパターンが存在します。

  • A型リサーチ 過去40年分の「月刊GUN」「月刊コンバットマガジン」の読者欄をOCR で読み込み、未発売で読者が強く販売を望まれたものを製品化の候補としています。
  • B型リサーチ 過去30年分の銃が登場する映画、ドラマ、漫画、アニメのデータベースからここ10年間でX(Twitter)、Facebook、Instagramで製品化を望まれているものを製品化の候補としています。
  • C型リサーチ 当社へのメールで要望の多かった製品、販売店様での聞き取りを中心に候補としています。

 候補からの最終決定には、実銃が手に入ること、初期コストと販売個数との兼ね合いを考慮して最終決定されます。

 

(2) 当社はライセンスにかかわる製品が多いため、ライセンス供給会社様や作者様のイメージに近づけるという作業が存在します。この擦り合わせが非常に苦労します。

 

(3) やはり「C96Red9 Type-X バージョン(お座敷専用カートリッジ仕様)」ですね。

 

(4)「20式5.56mm小銃」「ボルカニックピストル」「沖田刑事PPCカスタム」「ミリポリ22」

 

次期新製品のPPCカスタムは西部警察PART-Ⅱに登場した沖田五郎刑事が劇中で使用したプロップガンを再現している

 


 

ウエスタンアームズ

https://wa-gunnet.co.jp/

 

(1) コンニチワ。ウエスタンアームズ渋谷店の松尾です。海外のファイアアームズマーケットの動向を参考にして、今なにが面白いか、何が魅力的なのかを常に検討しています。いたずらに流行を追うだけではなく、お客様のお声を取り入れさせていただいて、わたくしどもが製品化できる範囲で、ファンの皆様に喜んでいただける商品は何かを重視しています。

 

(2) 強いて言うなら昨年リリースした映画『ベイビーわるきゅーれ』とのコラボは、企画から準備まで長い道のりでした。でも、販売にこぎつけた折にはビックリするほどの反響をいただいて感無量でした。あと私事で恐縮ですが、最近は渋谷店にご来店いただいたお客様より「公式Webサイトの写真より、現物のほうがイイね!」と言っていただけるのですが、広告写真を担当している身としては複雑な心境です(笑)。

 

(3)「TRP 4.25 CC ボブテイル・カスタムG10グリップ付き」(わたくしも購入しました)と王道の「コルトMkⅣシリーズ70プレミアム・エディション」は、今現在の弊社のクラフトマンシップが存分に味わっていただける1挺かと存じ上げます。

 

(4) 秘密です。日本国内で新規金型を製作することがかなり厳しい状況になっています。今後は海外業者にも視点を移して、まずは新しいパーツなどを取り入れていきたいとは考えております。また、海外のファイアアームズマーケットで1911オートが完全に廃れない限りは1911を極め続けるつもりです。あと、個人的にはベレッタM92を何とかしたいなぁ、と夢見ております。
 この8月に公式Webサイトをリニューアルさせていただきましたので、今後ともウエスタンアームズを末永くご愛顧のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

TRP 4.25 CC ボブテイル・カスタムG10グリップ付きはフレーム後部下端がラウンドバット形状になっているのが特徴。さらに実物G10グリップが標準装備されている

 


 

マルゼン

https://maruzen-aps.com/

 

(1) ユーザーのご要望をお聞きしながら、企画会議を重ねて新製品の開発を決定しています。

 

(2)「実物」と「エアースポーツガン」では主要部品の素材が異なるため、実物の金属切削で作られている複雑な部品形状を、エアースポーツガンの場合、樹脂金型成型品でリアルに再現したいため、高度な金型設計が求められることです。また、限られたスペースにエアースポーツガンとしてのBB 弾の発射・作動に必要なメカニズムを組み込むのと同時に、実物同様のギミックを両立させることに苦心します。

 

(3) ワルサーハンドガンシリーズがお薦めです。「PP シリーズ(PP・PPK・PPK/S)」、「P38」、「P99」はワルサー社正式承認モデルです。おかげさまで、今年の春に限定発売した「ワルサーPPK シークレットエディション」は大変好評でした。

 

(4)「ワルサーPPK」の限定モデル、競技銃の「APS-3」の限定モデル等を企画しています。

 

ワルサーPPKシークレットエディションはアルミ製専用サイレンサー、メタルアウターバレル、アンティーク洋書風ブック型ガンケースが付属し、さらに可変ホップアップバレルが搭載されている

 


 

KSC

https://ksc-guns.co.jp/

 

(1) 弊社製品(銃本体) を購入いただいた方を対象に実施している新製品希望アンケートデータと市場状況、さらに開発陣の技術的アイデア等を加味して発売機種を決定しています。

 

(2) 実銃を模したものに関しては、ベースとなる実銃のディテールを忠実に再現しつつ、安全性に考慮しながらトイガン化することにこだわっています。モデルガンの場合は火薬使用時の耐久性、エアガンの場合はシリンダーを入れるためのスペースをいかに作るか。また、シリンダーを入れることで、本来そのスペースにあるべき部品の機能をいかに別な形態で再現するか。それらがいつも設計者の頭を悩ませる点です。

 

(3) 公式ライセンスモデル「APX」です。特徴的な外観や操作性の再現はもちろん、スライドやグリップ、マガジンベースには実銃同様のBERETTA ロゴを刻印しています。さらに、エンジンにはKSC 製品最大級の大口径16mm ピストンを採用しており、ダイナミックなブローバックをお楽しみいただけます。

 

(4) 2027年度に新製品のガスブローバックガン「スチェッキン」のリリースを目指し、現在開発を進めています。その他にもモデルガンやガスブローバックガンのカスタムモデル、アクセサリーなども並行して同時進行しています。今後もどうぞKSC 製品をお楽しみに!

 

ベレッタとの正式契約により再現されたベレッタの最新ポリマーフレームオートAPX。ディテールや刻印、内部メカに至るまでKSCらしいこだわりを感じる1挺に仕上がっている

 


 

タニオ・コバ

http://www.taniokoba.co.jp/

 

(1) 基本、弊社社長の小林太三による試作等を基本として関係スタッフの協議によって決定しています。ただし、外部同業他社よりのドナー提供によって小林太三が現物試作し、決定する場合もあります。

 

(2) 以前は実銃資料から基本設計を始めたのですが、モデルガンは製造数が少ないため、現在は海外メーカーから提供されるガスブローバックモデルをモデルガン化する場合もあります。ただし海外メーカーは“コピー防止”のために基本設計データを出さないため、小林太三が現物からモデルガンパーツを試作して図面化する繰り返し。“量産前提でのアレンジ”がいちばん大変ですが、一方で面白いかもしれません。

 

(3) 今はなんたってGM-8コルトコマンダーです。

 

(4) ガスブローバックガンをベースにしたもので数機種やってるけれども今は言えません。今年末には1 機種発表できるかもしれません。

 

タニオ・コバ初となるコルトコマンダーを再現したKOBA/GM-8コルトコマンダーモデルガン。GM-7.5同様、ダブルヘッド・オープンタイプデトネーターと7mmキャップ火薬を使用するオープンカートリッジによる快調な発火が楽しめる

 

 

TEXT:アームズマガジン編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年10月号に掲載されたものです。

 

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