ミリタリー

2026/10/11

日本の島嶼部が訓練の舞台となった実動訓練「日米共同訓練 レゾリュートドラゴン26」

 

日仏共同訓練 Resolute Dragon 26

レゾリュートドラゴン26

 

「にほんばれ」から奄美大島佐大熊岸壁へと降りてくる第8地対艦ミサイル連隊の12式地対艦誘導弾。この部隊は、2025年3月24日に新編されたばかりの部隊で、湯布院駐屯地(大分県)に所在している。有事の際は、こうして九州沖縄の離島地域へと展開して戦う戦術をとる

 

 陸上自衛隊と米海兵隊による日米共同訓練「レゾリュートドラゴン」が今年も実施された。今回は、これまで以上に島嶼防衛強化を反映させた内容となっており、奄美大島など、実際に日本の島嶼部が訓練の舞台となった─

 


 

 2026年6月20日から30日にかけて「レゾリュートドラゴン26」が行われた。これは毎年陸自と米海兵隊との間で行われている訓練であり、部内では、英語表記のResolute Dragon 26を略し、RD26と呼ぶ。ちなみに日本側の正式名称は「令和8年度米海兵隊との実動訓練」となっている。
 他の日米共同訓練と同様に、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する際の相互連携要領を実行動により演練し、日米の連携強化及び共同対処能力の向上を図ることを目的としている。
 日本側は西部方面総監・鳥海誠司陸将が担任官を務め、西部方面隊の各師団・旅団及び陸上総隊等が参加。米側は第3海兵機動展開部隊司令官ロジャー・B・ターナー中将が担任官を務め、第3海兵機動展開部隊等が参加。数ある訓練科目の中で、メインとなったのは、日出生台演習場(大分県)で行われた16式機動戦闘車を含む日米部隊による共同戦闘射撃ではあったが、本誌では、兵站作戦に力を入れた実戦的な訓練科目に注目した。

 

艦首側にある操作卓では、バウドアの開放やバウランプの上げ下ろしなどの作業を行う

 

バウランプを自走して岸壁を目指す12式地対艦誘導弾。移動式発射台を務める重装輪車は、4軸8輪の足回りで、機動力が高いばかりか発射時もがっちりと発射機を安定させる

 

バウランプの接地面にゴム製の板を強いたり、土嚢で角度を調整したりと、設置はかなり慎重に行っていた

 

海上輸送群隷下の第2海上輸送隊に配備されている「にほんばれ」。今後同型艦をトータル4隻配備する。今年2番艦「あまつそら」、3番艦「あおぞら」が就役した

 

 2025年3月24日に新編されたばかりの海上輸送群が参加し、奄美大島まで展開した。RDへの参加はもちろん初めてではあるが、ここまで大規模な展開自体が部隊新編以来初といっても良い。
 海上輸送群は、海上輸送を主とする自衛隊共同部隊として新編された。群司令部(呉)以下、第1海上輸送隊(呉)と第2海上輸送隊(阪神)の2個隊が編成されている。LSV-4101「ようこう」は第1海上輸送隊、LCU-4151「にほんばれ」は第2海上輸送隊に、それぞれ配備されている。将来的に、海上輸送群としては、「ようこう」型2隻、「にほんばれ」型4隻、さらに小型の機動舟艇4隻体制とする計画だ。
 この艦艇部隊は、自衛隊共同部隊となっているのが特徴だ。しかしながら部隊の指揮官も、中核を担っている隊員たちもすべて陸上自衛官である。よって、陸自艦艇部隊という呼ばれ方もしている。


 今回は「ようこう」と「にほんばれ」が、大分や志布志等を経由して奄美大島まで車両やコンテナ等を輸送した。
 まず「にほんばれ」が、佐大熊港まで第2特科団隷下の第8地対艦ミサイル連隊の12式地対艦誘導弾及び弾薬車を運んだ。有事の際、中国海軍は、宮古海峡や奄美群島沖に艦艇を展開させることが予測される。そこで、第2特科団は、南西島嶼部へと部隊を進出させ、島々から洋上の敵艦艇を攻撃することになる。まさに実戦に即した内容だ。
 岸壁に横付けした「にほんばれ」は、観音開き方式となっている艦首部分のバウドアを開き、車両甲板と陸地をつなぐバウランプを下ろした。ここまでの作業はおよそ20分。訓練と言うこともあり、かなり慎重に作業を行っていたとのことで、実際はもっと早いそうだ。そのバウランプを通って、12式地対艦誘導弾が下りてきた。目的地は非公表とされたが、地元記者によると瀬戸内分屯地へと向かったという。同分屯地には第7地対艦ミサイル連隊の第1中隊が所在しており、この部隊を増強するという想定だったのだろう。
 一方、「ようこう」は、名瀬港観光船バース側に入港し、積載されたコンテナを下ろしていった。中央輸送隊第5方面分遣隊の大型のトラッククレーンを用いて、トレーラーへと積みこんでいった。トレーラーはレンタルした民間車両であったが、運転手は自衛官が務めた。
 この他にも、総合兵站訓練、救護所設置、共同患者治療、航空機を使った機外懸吊など、後方作戦がいろいろと演練されており、我々はRDを通じてリアルな戦闘状況を知ることとなった。

 

「ようこう」よりコンテナが次々と下ろされていく。使用するクレーンは陸自輸送科に配備されている港湾荷役用のトラッククレーンだ

 

名瀬港観光船バースに停泊中の「ようこう」。今回の訓練ではコンテナのみを積載していたが、右舷側にある2つのランプを通じ、車両の揚陸作業も可能。今年度中に2隻目が進水する計画があり、2隻体制を構築する

 

Text & Photos : 菊池雅之

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年11月号に掲載されたものです。

 

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