ミリタリー

2026/09/11

米インド太平洋軍が主体となり多種多様な訓練が行われた「米国主催多国間共同訓練 Valiant Shield 2026」

 

旧奄美空港跡地に展開した第7地対艦ミサイル連隊の12式地対艦誘導弾。その前後には89式小銃をかまえた隊員が警戒に就く

 

 米インド太平洋軍が主体となり、2年に一度開催されているのが「Valiant Shield」だ。2024年より多国間共同訓練へと大きく進化し、同年より陸海空自衛隊も参加。日本にとっては島嶼防衛強化のために欠かせない重要な訓練と位置付けられている。

 


 

 2026年6月22日から7月1日にわたり、太平洋及びフィリピン海等にて、米国主催多国間共同訓練「Valiant Shield(ヴァリアント・シールド)26」が行われた。アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、そして日本が参加した。日本からは、陸海空自衛隊が参加し、対水上や対空訓練、宇宙やサイバー空間をも横断したシームレスな運用訓練を繰り広げ、それらを通じ、同盟国及び同志国間の連携を深めていった。
 この演習は、2006年より始まり、以降2年ごとに開催している。日本は、2024年より参加し、今回で2回目となる。日本も訓練の舞台となっており、国内にある自衛隊及び米軍施設等で、実に多種多様な訓練が行われた。さらに実際の地形を生かした生地(せいち)訓練として、奄美大島も使われた。

 

島嶼防衛の要となる12式地対艦誘導弾。現在第2特科団(団本部:湯布院駐屯地)隷下の第5、第7、第8地対艦ミサイル連隊にのみ配備されている

 

ミサイルの装填作業。6本のキャニスターがユニット化されており、そのまま載せ替える形をとる

 

ランチャー部分を直立させ、発射体制を整えた12式地対艦誘導弾

 

89式小銃をかまえて警戒態勢をとる女性自衛官。戦闘職種とはいえ、特科部隊など後方で戦う部隊にはまだ20式小銃は配備されていない


 その奄美大島では、陸上自衛隊の第2特科団第7地対艦ミサイル連隊が展開し、島嶼防衛を目的とした訓練が行われた。同部隊は、本部を沖縄本島に置き、中隊を奄美大島や宮古島、石垣島へと配置している九州・沖縄エリア防衛部隊だ。今回は、実弾射撃は伴わないものの、日本南西諸島へと進出してきた敵艦艇に対して攻撃する任務が与えられた。この部隊の主力装備は12式地対艦誘導弾であり、同装備を旧奄美空港跡地へと展開させ、敵を迎え撃つ。
 12式地対艦誘導弾は、重装輪車両の荷台部分に6発積載されている。各ミサイルは1発ずつ四角いキャニスター(発射筒)に収容されており、その部分を垂直に立たせ、発射態勢をとる。陸上から敵水上艦艇を攻撃することで、海自の戦闘を支援し、日本領土に接近させないようにする。射距離は約200kmとも言われており、陸自で最も長射程のミサイルでもある。現在この12式地対艦誘導弾を改造し、さらに射程を伸ばした25式地対艦誘導弾も開発されており、すでに第2特科団の第5地対艦ミサイル連隊へと配備されている。今後は、今回訓練を実施した第7地対艦ミサイル連隊へと配備される日も来るであろう。


 なお、6月27日には、フィリピン海にて、敵艦艇を模した標的に対し、対艦ミサイル等による実弾射撃訓練も行われた。標的艦となったのは退役した米ドック型揚陸艦LPD-10ジュノーだ。こちらへの攻撃として、米空軍の爆撃機B-2からのLRASMでの攻撃から始まり、護衛艦「ふゆづき」により対艦ミサイル・ハープーン、SH-60Kによりヘルファイア・ミサイル、さらには潜水艦「じんげい」により魚雷などが撃ち込まれた。また、オーストラリア空軍が配備するボーイング製の無人機MQ-28「ゴーストバット」が米空軍のF-15EXと連携し、初めての飛行試験および戦術検証を行った。
 こうして「ヴァリアント・シールド26」の全体像を見てみると、かなり実戦的かつ先進的な訓練となっているのが分かる。これからは、さらに参加国も増え、内容も今ある危機に対処すべく“生々しい” 内容の訓練となっていくことだろう。

 

日米艦隊によるフォーメーション。陣形の先頭を護衛艦「かが」と米空母「ジョージワシントン」が行く。その間に挟まれた2隻の潜水艦のうち左側が「じんげい」(写真:海上自衛隊)

 

標的艦に向けてヘルファイア・ミサイルを射撃する海自哨戒ヘリSH-60K(写真:海上自衛隊)

 

対艦射撃訓練SINKEXにて標的となった旧ドック型揚陸艦「ジュノー」。潜水艦「じんげい」の魚雷攻撃などによりフィリピン海へと沈んだ(写真・米海軍)

 

米空軍F-15EXと並んで飛行しているのはオーストラリア空軍のMQ-28ゴーストバット(写真・米空軍)

 

 

Text & Photos:菊池雅之

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年10月号に掲載されたものです。

 

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