2026/08/02
【実銃レポート】ユーロサトリ2026 防衛・安全保障関連技術見本市【Gun Pro A.T.】
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Part 1
Démonstrations Dynamiques
ダイナミック デモンストレーション
世界最大級の防衛・安全保障関連技術見本市Eurosatory( ユーロサトリ)が、2026年6月15日から19日まで、フランス パリ近郊のパリ・ノール・ヴィルパント展示センターで開催された。
隔年開催されるこのイベントには、今回65ヵ国以上から2,600社を超える企業が出展し、76,605名の関係者が訪れた。その内、41,423名(54.3%)はフランス以外の国々からの訪問者であったことからも、ユーロサトリが全世界を対象にしていることが窺える。
この巨大な見本市の特徴のひとつが、会期中に毎日行われる“ライブ デモンストレーション(” フランス語ではDémonstrations Dynamiques:デモンストラシオン ダイナミック)。フランス軍と警察治安維持部隊による公開演習の実演だ。
そして開幕の前日、プレス向けに一足早くそのデモが公開された。まずはその模様をお伝えしたい。
フランスの治安組織は二系統に分かれている。ひとつは文民組織の国家警察(Police Nationale)で、都市部を管轄し、介入部隊のRAIDやBRIを擁する。もうひとつが国家憲兵隊(Gendarmerie Nationale)。こちらは隊員が軍人身分のまま警察任務を担う”軍隊”であり、地方を管轄し、機動憲兵隊やGIGNはこちらに属する。2009年以降、警察任務については内務省の指揮下にあるが、軍隊としての性格は保ったままだ。今回のデモは、この軍である機動憲兵隊・GIGNと国家警察BRIが同じ舞台に立つ、またとない機会でもあった。
デモは段階を追って展開した。
口火を切ったのは機動憲兵隊(機甲憲兵機動群)だ。“サッカー欧州杯の暴動に武装した人物が紛れ込む”という想定で、装甲車Centaure(サントール)を投入して秩序を回復していく。隊員は治安維持用の重装防護をまとい、HK UMP9サブマシンガンやSIG SP2022拳銃を手に、段階性と比例原則に沿って前進する。隊列には複数の女性隊員の姿もあった。
続くBRIは、国家警察の司法警察部隊。パリ近郊で、爆発物ベルトを身につけた危険人物の制圧に挑む。覆面車両で接近し、ドローンで上空から偵察、装甲介入車両と精密射手の支援を受けて強行突入する。黒一色の都市型戦術装備が、軍や憲兵隊とは異なる“警察の介入”を際立たせた。
そしてフランス陸軍。二度デモを行ない、一度目は武装グループ相手の大規模介入を単独で、二度目はベルギー軍との共同で「航空地上連合で交戦し勝利する」という想定を見せた。フランス、ベルギー両軍はScorpion計画/ CaMo計画で両国の陸軍を完全に連携させる近代化プロジェクトで、装備と戦術手順を共通化しており、6×6戦闘偵察車EBRCJaguarや各種ドローン、対空ミサイル、野砲までもが連携している。フランス軍が抱えるのはHK416FやFN MAG、ベルギー軍はFN SCARとFN MINIMI。注目は、フランスが短距離対戦車計画(ACCP)に含めて導入を進める再装填式無反動砲カールグスタフM4で、その先陣を空挺部隊が切っていた。
そして見逃せないのが、これら装甲車両の“装い”だ。主力戦車Leclerc(ルクレール)をはじめ、各車体の上面には、上空から襲ってくるドローンを防ぐための金属製の檻、いわゆるCope Cage(コープケージ)が架けられていた。安価なFPVドローンが戦車や装甲車を頭上から仕留める、ウクライナの戦場の現実への、そのままの回答だ。一台ずつの車両がまとうこの檻が、戦争の”今”を静かに伝えていた。
締めはGIGN。2022年2月、ロシアの侵攻が始まったキーウで実際に行なわれた、在外フランス要人の救出作戦の再現である。爆破によるドアブリーチで突入し、負傷した要人にはデモでありながら実際に静脈路を確保して点滴まで施す。増援との交戦では対戦車ロケットで応戦し、小屋に立てこもる残党は、他部隊が空包だったのに対し、GIGNだけは相当数の実弾で制圧した。スチール製の人型標的に着弾する甲高い金属音が連打する様は、射撃練度で知られるGIGNの本領そのものだった。
この任務を実際に担うのが、GIGNの中でも近接警護を専門とするFSP(Force Sécurité Protection)だ。戦争・危機下の国で在外公館と外交官を守る、同隊で最も国際的な部隊で、2022年のキーウでは、フランス・ベルギー・イタリア、そして日本の外交官と民間人を退避させた。
そして全編を貫いたのがドローンだ。BRIの偵察ドローン、陸軍が運用したウクライナ型の自爆FPVドローン、“今後は全歩兵にドローン操作を課す”というフランス軍の方針、そして装甲車両が装備する対ドローンケージ。攻める側のドローン運用と、それを防ぐ対ドローンの両面が、ユーロサトリ2026の主役であったことは言うまでもない。
左側の隊員はSIG SAUER SP2022を両手で構える。2003年末からフランスの警察・憲兵隊・税関が共通のサイドアームとして配備を開始したポリマーフレームハンドガンで、最終的に27万挺前後が納入されたと思われる。現在同シリーズの製造供給は行なわれていない。
先頭の隊員が対弾シールドを保持して、3名で前進する。各員はバイザー付き防弾ヘルメット、GENDARMERIE(ジャンダルムリ)標識のボディアーマー、肘・膝・脛のプロテクターを装着している。
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続きは「月刊アームズマガジン2026年9月号」でどうぞ。
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Test & Photos by Tomonari Sakurai
この記事は月刊アームズマガジン2026年9月号に掲載されたものです。
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