2026/05/15
削ぎ落とされた実戦仕様 トンプソンM1A1短機関銃 無可動実銃ディテール紹介
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この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。
アメリカのアイコンとなったSMG
トンプソンサブマシンガンは、第一次世界大戦の塹壕戦で使用する「一人手持ち機関銃」として開発された。欧州ではマシンピストルと呼ばれていたものに、SMGの語源となるサブマシンガンと名付けた最初の銃器でもある。しかし、トンプソンが完成する直前に戦争が終結してしまい、トンプソンが活躍したのは禁酒法時代のアメリカ国内である。当初から価格が高く大量に購入してくれるマーケット自体がなく、コルトに生産を委託した1万5千挺のトンプソンを販売するのに20年かかっている。
その状況が好転したのは第二次世界大戦の勃発だ。大戦初期に連合国が入手できる唯一のサブマシンガンがトンプソンだったからである。最終的に1944年初頭に軍用の生産を終了するまでに大戦前の100倍近い100万挺以上が生産された。戦後もその頑丈さから戦争、紛争に関わらず使用され続け、第一世代のサブマシンガンのなかでは最も成功し、アメリカを象徴するサブマシンガンとなった。
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- 全長:813mm
- 口径:.45ACP
- 装弾数:20発/ 30発
- 価格:¥275,000
- 商品番号:【10109】
戦時型に簡略化されて完成
M1A1はアメリカ軍が高価なトンプソンに対して要求した廉価版といえるモデルだ。完成してから20年も経っていたそれまでのモデルでは1挺あたりのコストが約200ドルの高級品であったが、これは新型のM1ガーランドの約85ドルに対して余りにもコストが高く、その原因は豪華すぎるほどの構造にあった。トンプソンのブローバック機構には鋼鉄のボルトに設けられた斜めの溝に真鍮製のロッキングピースを嵌合するブリッシュ・ロックシステムによるところが大きかった。構造が複雑で製造に手間が多かったブリッシュ・ロックを廃止し、ボルト自体の重量を増やしたシンプル・ブローバック方式に変更された。
他にもバレルに装着されていたコンペンセイターや放熱フィン、ドラムマガジン装着用の横スリット溝の廃止など多くの改良を行い、約10時間の製造時間の短縮と、1挺あたりのコストを45ドルにまで下げることに成功した。これには改良の主体となったサベージが改修に伴うロイヤリティーを一切要求しなかったことも大きい。設計の古いトンプソンではコストダウンに限界があり、同時に進められた新しいサブマシンガンの開発にその座を奪われることが明白であったからであろう。実際にM3グリースガンが短期間で開発され、すぐに採用されたが、グリースガンの生産が軌道に乗るまでの期間に有効的なサブマシンガンはトンプソンしか存在せず、終戦直前まで大量に生産することで短期間で利益を稼ぐことに成功している。M1A1はこの戦時型トンプソンの最終モデルであるが、前期型のM1タイプも修理などのタイミングで随時A1タイプに改修されるなど軍用サブマシンガンとしては十分な性能をもっていた。特にその5Kgにも及ぶ重量はリコイルショックを抑えるには有効で、セミオートならば十分な命中精度も期待できたようだ。また鉄板プレスではなく金属ブロックからの削り出しの頑丈さは現場の兵士からの信頼も厚く、無理に破棄されるようなこともなく1970年まで使用が続けられたほどだ。
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TEXT:IRON SIGHT
この記事は月刊アームズマガジン2026年6月号に掲載されたものです。
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