エアガン

2026/05/11

オールド・モデルガン・アーカイブ:金属オートマチック名銃対決「第2ラウンド ベレッタモデル1934」

 

モデルガンでも、ライバルがいたおかげで片方がより進化するということがある。今回はそんな例をご紹介しよう。

 

 前回の記事はこちら 

 

 

第2ラウンド

ベレッタモデル1934(ベレッタM1934)

 

MGC ベレッタM-1934( 1967年)

 

MGC製ベレッタM-1934(オプションの木製グリップを装着した状態)

 

ブローバック化を念頭に設計されたモデル!

 

 ベレッタM1934は、映画『007は殺しの番号』(1962年)で主人公のジェームズ・ボンドが上司のMからワルサーPPKに換えるように言われるまで使っていた愛銃という設定だった(原作ではベレッタ418とされる)。そのためPPKの人気が一気に高まったものの、一方で外されたベレッタM1934にも注目が集まった。また1960年代はヨーロッパ映画も人気で、ベレッタM1934もスクリーンによく登場していた。そんなことから、MGCはベレッタM1934のモデルガン化を決定したらしい。
 設計を手がけた小林太三(こばやしたぞう)さんは、土浦の自衛隊武器学校にあった実銃の.32口径のベレッタを取材し、洋書資料もかき集めて設計した。当時すでにモデルガンを玩具火薬でブローバック作動させる研究は始まっていて、MGCのベレッタM-1934はブローバック化を念頭に設計を進めたという。
 ところが、CMCからほとんど同じ仕様のベレッタM-1934がカートリッジ7発付き3,500円で発売されることがわかり、MGCは4,000円で発売する予定だったのを3,400円に変更したらしい。


 発売当初、指アクションのPPKほどの大人気とはならなかった。それが大きく変わるのが、ブローバックモデルの発売。1971年、9mmガバメントに次ぐブローバックハンドガン第2弾としてベレッタM-1934が選ばれた。もちろん快調作動で、第1次モデルガン法規制後は発火ガスが抜けなくなったため連続で撃てる数が限られることになってしまったが、9mmガバメントが10,000円だったのに対して、ベレッタM-1934は7,000円と比較的割安だったこともあって、大ヒットとなった。ベレッタM-1934をメジャーにしたのはひとえにブローバックモデルのおかげだと言えるのかもしれない。まさに名銃だった。

 

1971年の第1次モデルガン法規制によって発火ガスが銃口から抜けなくなり、ブローバックの快調作動のためバレル上部にガス抜き穴が設けられた

 

マガジンの残弾確認孔(ウインドー)は、変形を防ぐため2つに分割したとされる

 

多少パーツ形状に違いがあるものの、ほぼ実銃どおりの構成。設計を手がけた小林太三さんがベレッタ好きだったということも関係しているのかもしれない

 

スライドのディスコネクター部が入る部分は量産しやすいよう切り欠きにされた

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイキャスト
作動方式:スタンダード:手動式
ブローバック:自動式
発火機構:前撃針/ファイアリングプレート(のちにファイアリングブロック)
撃発機構:シングルアクションハンマー
使用火薬:平玉紙火薬3粒
カートリッジ:
 スタンダード=9mmパラベラムショート、ソリッドタイプ【同社P38と共用】
 ブローバック=ブローバックモデルは9mmショート【9.5mm×21】、オープンタイプ
作動方式:手動(のちにデトネーター方式ブローバック)
全長:153mm
重量:580g(ブローバックモデル600g)
口径:9mm
装弾数:7発
発売年:1967年
発売当時価格:3,400円

 (のちにスタンダード2,900円、ガンブルー仕上げ3,200円、ブローバック7,000円) 

 (すべてカートリッジ別売り)
オプション:

 スタンダードカートリッジ12発箱入り350円、

 ブローバックカートリッジ1発15円、
 20発箱入り300円、木製グリップ400円

 

※スタンダードモデルには発火機構を持たないディスプレイタイプもあったとされる。


※表面を白・黄・金色などに着色し、銃口を閉塞していれば所持可。
※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

※このページの写真はすべてPhoto by Keisuke.K

 


 

CMC ベレッタM-1934 (1967年)

 

CMC製ベレッタM-1934(後期型)Photo by Keisuke.K

 

ブローバック化に至らなかった名銃!

 

 CMCがベレッタM1934をモデルガン化したのは、加盟していたN.K.Gグループの中心となっていた中田商店の基本方針「第二次世界大戦中の世界各国の銃器をモデルガン化する」に従ったからとされる。発売年がMGCと重なったのは、まったくの偶然だったらしい。しかし背景に007映画の大ヒットがあったのは間違いないだろう。
 原型製作を手がけたのは六人部登(むとべのぼる)さん。六人部さんは設計にあたり、資料を集めるとともに、土浦の自衛隊武器学校に取材に行ったという。ということは、まさにMGCと同じ実銃を取材していたことになる。
 にもかかわらず、完成したモデルガンにはいろいろと違いがあった。それは、量産に当たって製造しやすくする工夫や、コストを抑える工夫といった部分だけではなく、仕様のチョイスの違いという感性の違い、もしくは単にMGCとのバッティングを避けるためもあったかもしれない。


 すぐにわかる外観上の違いはグリップだ。CMCの初期型は戦後版の3本矢のベレッタロゴを使ったタイプ。MGCは戦前版の古いタイプ。細かな点では、MGCは製造しやすくするため、スライドのセーフティーキャッチが入る切り欠きからフレームが見え、ディスコネクター部分の入るスリット(ポケット)も切り欠きになっている。CMCはどちらも実銃どおり。そしてマガジンも、CMCは残弾確認孔(ウィンドー)が大きな1つタイプで、MGCは2つに分かれたタイプ、といった違いがある。
 人気はMGCと五分五分だったらしい。ただ1971年にMGCからブローバックモデルが発売されると一変する。MGCはデトネーター方式ブローバックの特許を持っており、当時、他社にはその技術がなくCMCも簡単にブローバックモデルを作ることができなかったのだ。そこが明暗を分けた。

 

スライドのセーフティーキャッチが入るノッチは切り欠きではなく凹みで、実銃同様フレームが見えることはない

 

スライドのディスコネクター部が入る部分は、実銃同様スリット(ポケット)となっていて、外観からはわからない

 

マガジンキャッチはMGCより幅が狭い。MGCが幅広だったのは、ブローバック時により確実にマガジンを保持できるからではないかといわれている

 

実銃でよく見かける残弾確認孔が大きなタイプのマガジン。残弾は確認しやすいが、確かに変形しやすいような印象は受ける

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金ダイキャスト、ABS樹脂(グリップ)
発火機構:前撃針/ファイアリングブロック
撃発機構:シングルアクションハンマー
カートリッジ:ソリッドタイプ
使用火薬:平玉紙火薬 1 〜3粒
作動方式:手動操作
全長:150mm
重量:610g
口径:9mm
装弾数:7発
発売年:1967年
発売当時価格:3,500円(カートリッジ7発付き)

 

※表面を白・黄・金色などに着色し、銃口を閉塞していれば所持可。
※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。


 

※モデル名やパーツ名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。

 

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2026年6月号に掲載されたものです。

 

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