2026/01/15
【ナイフダイジェスト WEB版】Trinity Project 3:モキナイフ×山秀×HOBBY JAPAN コラボナイフ ROBSON Trinity 発売記念企画 インプレッション by 五十川英明
ROBSON Trinity
モキナイフ、山秀、そしてHOBBY JAPANが手を組んで送り出す三位一体のコラボナイフだ。
刃物の町、岐阜県関市を拠点とする世界を代表するファクトリー、国内外のカスタマーから絶大な信頼を寄せられるショップ。そして日本唯一の専門メディア。
ナイフにそれぞれの立場で深く携わっていた三者が手を組み、それぞれの知見を持ち寄ってつくりだしたモデルだ。
初めてのアウトドアナイフとしても、コレクションとしても、十分にポテンシャルを発揮するだけの用と美が共存したマスターピース。
満を持しての発売を記念して、キーパーソンにそのインプレッションを伺った。
その第二弾は、ハンター・五十川英明。
生まれ育った岐阜県関市でハンターとしてモキナイフの製品をはじめとするナイフを使っている人物。
同時にセレクトナイフショップの『BARCO』も経営。そのきっかけは、モキナイフのデザインに感銘を受けて、社長の櫻井哲平さんに直接会ったことだという。
ハンティングとナイフ、いずれをも生業としている五十川さんは、”ROBSON”を実際にフィールドテストに使用してきた。
「大振りの実用ナイフの中ではトップオブトップ」
そう絶賛する”ROBSON”、そして今回の”ROBSON Trinity”についてのインプレッションを、ご自身の「ここまで」と併せて、櫻井さんも交えたインタビュー形式でご紹介したいと思う。
これこそ、もっともっと世の中に知られていいナイフだ
ーー 五十川さんとは先日の「フィールドスタイル ジャパン 2025」でもお会いしました。五十川さんの経営するナイフショップの『BARCO』のブースを拝見させていただきましたが、モキナイフの製品を数多く扱っていらっしゃることに改めて驚きました。
五十川 僕が「ナイフ屋」をスタートさせたのは、モキナイフさんと出会ったからと言っても過言ではありません。だから、モキさんのナイフを多くの方々に健全に知っていただくことが、私にとっては重要な役割だと考えているんです。アウトドアアイテムやタクティカルギアは他も扱っていますが、ナイフは基本的にモキナイフを中心に扱っています。
一方で、今回の”ROBSON Trinity”のもうひとつのコラボメンバーの山秀さんにもお世話になっています。イベント出展の際には山秀さんが扱っていらっしゃるベンチメイドをはじめとする欧米のファクトリーナイフを並べたりもしてきています。
櫻井 五十川さんとの出会いは、ちょっと面白いんですよ。彼、うちに飛び込みで営業に来たんです(笑)。ほとんどの会社はそうだと思うんですが、私たちもそういった営業は基本的にお断りするんですが、彼は、なんていうか、非常に魅力的な人物だったんです。
五十川 緊張して、一応ちゃんとスーツを着てお伺いしたんです。でも、その節は失礼しました。
櫻井 いえいえ(笑)。お会いして、話を伺っていくと以前は機械工具関係の営業職をされてきたというんです。海外営業にはじまり、国内事業の営業所の立ち上げの責任者も担っている。私たちの業務にも関わる職種での実績があるので興味を持って伺っていたら、そこを退職して、船を売る仕事を始めた、という話になりまして(笑)
五十川 僕、釣りが昔から好きなんです。それでSNSで釣り関連の商品を見ていたら、ランボルギーニみたいな格好いいデザインの小型船が売っていまして。一目惚れです。これは日本にはまだないはずだ。ぜひ、売り出したい。そう思って生産国を調べたら、アラブ首長国連邦(UAE)なんですよ。
なかなかハードルが高いな、と心が萎えかけました。でも、これはやるしかない、あたって砕けろだ、と思い直して「日本で売らせてもらえないか」とメールを送ったんです。そうしたら、相手も乗り気で、ならば会いましょう、とアブダビまで飛びました。当時はまだ会社員だったので、有給を使った2日間の弾丸ツアーでした。
櫻井 すごい行動力でしょ(笑)。
五十川 で、まずは、とにかく船を作ってる工場を見させていただいて、社長さんやら従業員さんの人となりも見させていただいて、これならいいだろうと僕も納得して、話を決めさせていただいたんです。通関をはじめ、いろいろ大変でしたが、どうにか輸入できてさあ売ろう、とした途端にコロナ禍が来ちゃったんです。買い控えが起こって、思っていたように売れなかったんです。
輸入するまでの交渉も含めて有形無形の財産になっている、と今なら断言できるんですが、当時は本当に困りました。会社もやめちゃったし(笑)。何とかしなければと知恵を振り絞って、地元の「いいもの」を世界に売り出そう、と思い立ちました。
そうなった時に、岐阜県関市で生まれ育った私が扱うべきアイテムは刃物だな、と自然に決まりました。さらにターゲットをナイフに絞りました。というのも、僕、釣りやキャンプから野宿にいたるまでアウトドア全般を、子どもの頃から父にひととおり教わってきていたんです。アウトドアで使う道具として、当然ナイフにも親しんでいたので、自分なりに魅力を伝えていけるんじゃないか、と。そう考えたんです。
ナイフを調べていくうちに、モキナイフの「バーグ」と「クープ」に出会いました。こんなにおしゃれなナイフが関から生み出されているんだ、と感動しました。アウトドアで使ったら、気分もあがりますよね。これこそ、もっともっと世の中に知られていいナイフだ。
そう直感して、櫻井社長にお電話したんですよ。
「刃物の町・関市のハンター」が使うナイフって説得力がある
櫻井 実は、私たちもオリジナルブランドをより広く知っていただきたい、と考えているタイミングでした。OEM事業はありがたいことに順調ではありますが、自社製品のシェアも広げていくことで、もう一本事業としてのしっかりとした柱を建てたい、という思いがあったのです。
そのためには、従来の問屋さんとのお取引にとどまらず、私たちもまたユーザーのみなさまに直接、自社製品の魅力を訴えかけて、販売していくようなスタイルを模索しなければならない。そう考えて、業界の有識者に意見を伺ったりしているところでした。
そんな時期にバイタリティとアイデアを持つ方が「モキナイフを広めたい」と来てくださった。これは大きなチャンスだと感じました。
最初に、キャンプ場にナイフを置いてもらうための営業に回ってくれたんですよ。そんな営業、今まで聞いたことも考えたこともありませんでした。
五十川 ずいぶんな数を回りました(笑)。その結果、キャンプ場ではモノは売れない、という結論が出ました。営業は失敗です。でも、櫻井社長が「動いたことで得た事実が、新たな知見として我々に加わった。決して無駄ではない」とおっしゃてくださったので、ポジティブに捉えて次に進むことができました。
櫻井 経験したことのないものは、一度やってみないとわからないですから。
五十川 ブッシュクラフトも実際にスクールで、イチから技術を学んでみました。自分が扱う製品の使い方をよく知っておかなければと考えてのことです。
櫻井 彼は、そこからさらにハンターにもなったんですよ。
五十川 だって「刃物の町・関市のハンター」が使うナイフって説得力があるじゃないですか(笑)。ちょっと偉そうに言えば、モキナイフを実際に使う伝道師的な役割を担えたら、と考えたんです。
関は野山が多い地域ですので、野生動物による被害が一般の方々が想像している以上に大きいということも聞いていたので、何かできることがあればいいな、という思いもありました。そうしたら、たまたまお知り合いになった関市の猟友会の会長さんにお誘いいただいて、銃とわなの免許を取ることになりました。
櫻井 彼はフィルソン(注:米の老舗アウトドアウェアのブランド)とかを着こなして、スタイリッシュな世界観のハンティングに、モキナイフは抜群にフィットすると言ってくれるんです。
五十川 そういった「カッコ良さ」の感性も櫻井社長と合うので、僕も楽しくやらせていただいてます。実際、今、ハンターのなり手が減っています。そこでウェアやナイフといった道具の格好良さをアピールすることで、少しは若い世代もハンティング、そうでなくともアウトドアに興味を持ってくれるきっかけにならないかという思いがあります。
いずれにしても、やるからには、とことんやりたい。
有害鳥獣駆除。関市では被害防止捕獲と言うんですけれど、その活動において、ナイフは「必要不可欠な道具」として存在します。現場で使い手として、しっかりキャリアを積んでいけばナイフを薦める際の説得力も出てくるはず。結果として、モキナイフのブランド戦略にも貢献できるのであれば、こんなに嬉しいことはない。被害防止捕獲をやらせていただくようになって3年目。想像以上にキツいのですが、モチベーションを高く保てるので、本当に楽しくやっています。
フィールドにおいて、ユーティリティ性の高いナイフです
ーー 実際に使っていく中で、”ROBSON”は非常に優れたナイフであると感じたそうですね。
五十川 はい。まずブレードの研ぎ角。刃角が鋭いので、非常に切れ味がいいですね。適度なコンベックス(蛤刃)にしているので、一定以上の強度も確保させています。まさにちょうどいい角度。実際に試したのですが、倒木をチョッピングして叩き切ってから、獲物の解体も問題なく使える。そんな頑丈さと切れ味の良さを併せ持っています。斧(おの)のようにブレード材の硬度がやや低い刃物に比べれば、砂利などの硬いものにあたった際に刃欠けするリスクは高まります。ただ、そのリスクを上回るだけの「よく切れて丈夫な」刃を備えた大振りのナイフです。
ーー シンプルにハンティングで使いやすい1本なんですね。
五十川 狩猟は獲物が生きている状態で確保するケースが多いんです。だから命をいただくために刃物の獲物の頸動脈に刺すいわゆる「止め刺し」が必要になります。また、事切れていたとしてもその肉をいただくことを考慮すると、最初に放血、要するに血抜きが必要になってきます。いずれのケースでもブレードを獲物に「刺し込む」アクションが必要です。だからポイントが鋭くて、獲物の頸動脈まで到達するだけのブレードの長さのある刃物が重宝されるのですが、”ROBSON”はまさにその条件に合致しています。
止め刺ししたあとは解体になります。様々な方法がありますが、いずれも獲物の毛皮を切り分けていく作業が必要になります。毛皮は硬いんですよ。特に大物の猪。だから柔らかい鋼材のナイフはすぐに切れ味が落ちてしまいます。ですが、”ROBSON”は鋭い切れ味のままでスッと入る。強度を優先したより丸みのある蛤刃ですと研ぎ角も鈍くなって、この切れ味は期待できなくなってしまう。硬度と靭性を兼ね備えたVG-10Wの特徴を最大限に活かしていると感じます。
先ほども話しましたが、これらの作業に加えて、チョッピングもこなせる。ハンティングフィールドにおいて、ユーティリティ性の高いナイフです。
櫻井 「ナイフは道具」という基本に立ち返っての商品づくりに取り組んできた我々にとっては、五十川さんのような現場で実際に使っている方からのご意見はとても貴重です。しかもこういった肯定的なご意見をいただけると、大きな励みになりますね。
ーー ハンドル部分の鋼材のセレーションの具合はいかがでしょうか?
五十川 握りやすくて、すごくいいですね。チョッピングも用途に入っているナイフなので、振りかざす、振り回すことも想定されるモデル。そう考えた際に、セレーションの滑り止めはよく考えられていると感じます。あと、このハンドルのマイカルタのざらっとした質感とグリップ感にも安心感がある。全体のデザインがよく考えられている。使い込むほどにそう感じます。
ハンドルエンドの部分も、少し伸ばしてあるので、取り回ししやすくなっています。ミリ単位でデザインを調整していることが伝わってきます。
櫻井 ここのバランスは結構考えたつもりです。ハンドルエンドを伸ばしすぎたらデザインが崩れてしまう。デザインが崩れるってことは、ナイフとしての全体的な機能も損なわれてしまうことでもあるんです。
五十川 チョッピングの時は、ハンドルの出っ張りの方に指をかけると使いやすい。デザインに関しては素人ですが、使い手としては、これくらいの伸ばし方がベストなんじゃないかと思います。
櫻井 剣道でも、小指を柄頭に半分掛けるんですよ(笑)。それに近い感覚で握るとすごくしっくりする。
五十川 いい具合に力が入るんですよね。櫻井さんも僕も、剣道経験者なので、その感覚はとてもわかりやすい(笑)。竹刀の握り方と同じで、あまり強く握り締めないように意識すると、パワーグリップの際でも、ブレードをコントロールしやすいし、手も痛くならない。使い方を工夫することで、さらにこのナイフの性能を引き出せると思います。
ーー ちなみに五十川さんはどれくらいの期間、”ROBSON”を使ってきたのでしょう。
五十川 期間は半年ほどです。使った日数は延べで80日ほど。2025年10月末の時点で、捕獲した頭数は猪と鹿だけで26頭。そのほとんどの解体に使用させていただきました。
持っているだけで気分もあがるナイフですね!!
ーー “ROBSON” について、現段階での総評をお願いできますか?
五十川 初心者から上級者まで、その要求に高いレベルで応えてくれるナイフです。
研ぎ角が鋭角なので大変よく切れる、防錆メンテナンスが基本的に不要、切れ味が持続する。この3点が圧倒的なアドバンテージになります。
まず切れ味。どんな大物にもすっと刃が入っていく感触は引き締まる思いになりますし、妖艶な恐ろしさすら感じさせます。「生き物の命を獲る」という厳かな行為に対して、このナイフは神聖な気持ちにしてくれる1本です。
錆びにくいところもハンターとしてはとても助かります。現場で解体して血をさっと拭って帰ってきても問題ありません。その安心感は、自分が想像していた以上に大きいです。
そして切れ味の持続性。 僕これでもう十頭以上獲物をさばいていますが、現場でタッチアップしなくても切れ味が落ちません。 山の中を動き回って、獲物をさばく作業をしていると、これは本当にありがたいんです。何本も同じサイズのナイフを持ち歩いたり、一頭ずつタッチアップしたり、ということがないと、移動も作業も大幅に楽になりますから。
ハンティングには、用途に合わせたサイズや形状の異なるナイフを複数携行しますが、アウトドアで使うことを考えれば、これ1本持って山に行っても十分。ブッシュクラフトにもつかえる汎用性の高さもあるので、大振りの実用ナイフの中ではトップオブトップと言っていい1本だと自信を持って言えます。
ーー “ROBSON Trinity”のプロトモデルも何度か使っていただいていますが、感想をお聞かせいただけますか。
五十川 純粋に色がいいですよね。特に好きなのは、シースの色合い。渋いです。フィールドでも映えますね。山の現場で「緑」はやっぱり映える色なんです。自然界にある色なので。だから、持っているだけで気分もあがりますね!
櫻井 私たちのオリジナル製品は「綺麗なナイフ」「カスタム並のクオリティの高さ」といった評価をしていただくことが多かった。すごいお褒めの言葉なのですが、 ”ROBSON”をはじめとするアウトドア用のシリーズに関しては、五十川さんのような使う方からの高い評価をいただけることが嬉しいですね。
これからも五十川さんにはアドバイスをいただきながら、オリジナルモデルを送り出していきたいと考えています。
“ROBSON Trinity”はそんな私たちのナイフ作りのコンセプトに共鳴いただいたディーラーの山秀さんとメディアのホビージャパンさんとでコラボして送り出すスペシャルモデル。アウトドアでのアクティビティをより豊かに楽しくしてくれる1本だと自負しています。ぜひお手にとってその魅力を味わっていただけたらと願っています。
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ROBSON Trinity(限定モデル) 全長:280mm ブレード長:150mm ブレード厚:5mm 重量:295g ブレード材:VG-10W ハンドル材:グリーンジュートマイカルタ 付属:グリーンレザーシース 価格:¥45,100(税込)
●HOBBY JAPAN 問い合わせ先:HOBBY THE PEOPLE |
And More!!
⚫︎価格:¥16,500(税込) 写真:五十川英明
問い合わせ:BARCO https://www.instagram.com/barco_rosso/
*ナイフはルールを守って安全に使用しましょう。
TEXT:服部夏生
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