2026/01/14
【ナイフダイジェスト WEB版】Trinity Project 2:モキナイフ×山秀×HOBBY JAPAN コラボナイフ ROBSON Trinity 発売記念企画インプレッション by 島田英承
ROBSON Trinity
モキナイフ、山秀、そしてHOBBY JAPANが手を組んで送り出す三位一体のコラボナイフだ。
刃物の町、岐阜県関市を拠点とする世界を代表するファクトリー、国内外のカスタマーから絶大な信頼を寄せられるショップ。そして日本唯一の専門メディア。
ナイフにそれぞれの立場で深く携わっていた三者が手を組み、それぞれの知見を持ち寄ってつくりだしたモデルだ。
初めてのアウトドアナイフとしても、コレクションとしても、十分にポテンシャルを発揮するだけの用と美が共存したマスターピース。
満を持しての発売を記念して、キーパーソンにそのインプレッションを伺った。
その第一弾は、ナイフ作家・島田英承。
言わずと知れた日本を代表するナイフ作家として、国内外で高く評価を受けている人物。
もともと彫刻を専門としていたこともあり、ハンドルカービングやスクリムショーなども手掛ける技術的な総合力の高さで知られる。加えて、独創的かつ実用性にも配慮したデザインで、ひと目で彼のものとわかる作品を生み出し続けている。
そんな島田さんとモキナイフの代表・櫻井哲平さんとの関係は深い。
島田さんがWAZAMONOブランドと共に企画した『山猫Jr.』。
汎用性の高い「最初の1本」として人気を得ているナイフの製造をモキナイフが手掛けているのだ。
そして実は“ROBSON Trinity”にも、『山猫Jr.』の際に得た技術やアイデアが応用されている。
そのような縁で、今回、貴重なインタビューを島田さんから伺った!
一言で言って、これは良いナイフです
昔からモキナイフのクオリティは高かったんです。創設者の櫻井茂貴さんの時代から、独創的なデザインや装飾などで世界レベルで戦える存在でしたから。機械をフルに活用する海外ファクトリーが台頭してきた近年も、手仕事の工程を数多く残して、日本ならではのプロダクトをつくっている。そう感じています。
このモデルもよくできています。一言で言って、良いナイフです。
ディテールまで気配りされているし、高い技術で理にかなったアイデアを現実に落とし込めてもいる。
いわゆる実用品と、コレクターズアイテムって分けて考えた方がいいんですよ。ハンドルの立ち上がりの滑らかさや、ブレードの鎬の通り方などといった部分を、実用にそこまで影響ないところまで細かく追求するか、どうか。カスタムナイフに代表される「コレクターズアイテム」なら追求すべきかもしれません。でも、ファクトリー製品に代表される「実用品」の場合、追求しすぎると、コストとの釣り合いが取れないものになってしまう。
そこのバランスはつくり手は常に考えなければならない。でもこのモデルはあくまで使ってもらうことを想定した実用品でありながら、コレクションアイテムにもなり得る仕上がりになっています。
“ROBSON Trinity”に応用された『山猫Jr.』での試み
WAZAMONOで『山猫Jr.』を企画した時はモキナイフに製造を依頼しました。
『山猫Jr.』は私のカスタムモデル『山猫』をベースにしたエントリーモデルという位置付け。多くの方に手に取っていただけるような価格帯でありながら、太めの薪を割る丈夫さとひと通りの調理ができる繊細さを兼ね備えたユーティリティナイフです。
ファクトリーメーカー側からすると、なかなかハードルの高いモデルなんです。しかも日本産にこだわりたい、という運営サイドの意向もありました。
ならば製造をどこに? となった時に真っ先に挙がったのが「モキナイフ」でした。
今の社長の櫻井哲平さんとも以前から付き合いがあって、先代からの技術を継承しつつ、新しい取り組みにも積極的に挑戦していることを知っていたから、自然に決まりましたね。哲平さんも快く引き受けてくれました。
”ROBSON Trinity”にも『山猫Jr.』での試みが応用されているんですよね。
ここです。
ハンドル部分の鋼材がハンドル材よりもわずかにはみ出ていますよね。さらにセレーションが入っている。これは『山猫Jr.』で行ったデザインと加工なんです。
もとは『山猫Jr.』は小型ナイフなので、バトニングなどの際にハンドル部分に木材を打ち付ける可能性を考慮して、ハンドル材にダメージを与えないようにしたんです。そこに程良く、バリをダラしたセレーションを設けることで、握った際に手や指を痛めにくく、かつ滑りにくくする効果も出しました。
アウトドアナイフとしてしっかり使えるモデルにしたかったから、こういったディテールについてはモキナイフとも何度もやりとりをしました。
”ROBSON Trinity”では、『山猫Jr.』に比べて、鋼材のはみ出しもギリギリに抑えて、スマートな印象を出していますね。モキナイフのアウトドアナイフシリーズ最初のモデル『バーグ』はここの部分は全部すり合わせ(ハンドル材と鋼材のタング部分が段差なくツライチになっている状態)でした。そのデザインを踏襲しつつ、セレーションスタイルを取り入れた結果の処理でしょうね。
ファクトリーとして、この処理をここまでの精度でできることは、本当にすごいと感じます。技術力もだけど、応用力も高いですよね。もちろん手仕事だけではなく、最新の機械も使って、3Dでハンドルを削り出すようなことも行える。先ほども言いましたが、技術がベースにあって、モキナイフならではのアイデアも生きているんですよ。
”ROBSON Trinity”に応用された『山猫Jr.』での試み
ナイフ作家として、いいなと思ったのが、ハンドルの厚み。
持っていて純粋に気持ちいい。持ちやすいということはナイフの操作性の高さに直結します。
あと、マイカルタ材に残したツールマークもいい。あえて削ったままのラフなテクスチャーを残したことで、デザイン的な味わいが深まっています。
このテクスチャーの残しは、『山猫Jr.』のときにも提案した記憶があります。
哲平さんは、こういったアイデアを私からもらった、と言ってくれているそうですね。私からすれば「節度を保ち合う仲間同士の技術の共有」という思いなんです。自分との共同制作で何か得るものがあって、それを自分たちの製品に活かしている。私としては、どんどん良いものを作ってもらいたいので、そのサポートになったのなら、嬉しい限りです。
ブレードのコンベックスグラインドも完成度が高いですね。
『山猫Jr.』のときも、フラットグラインドで小刃の部分をコンベックス、という難題を出したのですが、希望にかなった仕上げをしてくれました。量産品として、一定以上のクオリティを保ち続ける姿勢は、この"ROBSON Trinity”でも健在ですね。
モキナイフは素晴らしいレガシーを持っています。そこにとどまらず、時代のニーズを読みながら、アップデートを続けている。その姿勢にとても共感します。旧モデルも現代ユーザーのトレンドにあわせてフォールダー(折りたたみナイフ)のブレードを薄くして切れ味を鋭くするなどのリファインをした上で再販したら楽しいな、なんて妄想したりしています。
"ROBSON Trinity”は、アウトドアでタフに使える頑丈さを持たせながらも、ポケットナイフに代表される「モキナイフ」らしい美しさを備えている。
まさにアウトドア用の相棒が欲しいという方におすすめできる1本だと思います。
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ROBSON Trinity(限定モデル) 全長:280mm ブレード長:150mm ブレード厚:5mm 重量:295g ブレード材:VG-10W ハンドル材:グリーンジュートマイカルタ 付属:グリーンレザーシース 価格:¥45,100(税込)
●HOBBY JAPAN 問い合わせ先:HOBBY THE PEOPLE |
And More!!
⚫︎ブレード長:120mm、ブレード材:VG XEOS、価格:¥68,000(税込)
問い合わせ:
山下刃物店 https://yamashita.ocnk.net/
アウトドアクラブ https://www.odclub.net/
イエローナイフ アウトドアショップ https://ablaze-corp.shop/
*ナイフはルールを守って安全に使用しましょう。
TEXT:服部夏生
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